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京都・門川大作市長

京都市に“観光公害”発生中!?外国人客増加で市バス大混雑の状況に「観光客だけ運賃値上げ」の案出るも独断で導入できない法的事情と現実的ハードル

 列島が賑わいを取り戻しつつある2023年。海外からの観光客も増え、街が活気づく一方で、“観光公害”と呼ばれる問題が発生しています。特に、日本を代表する観光地・京都の市民の間で混乱を招いているのが、市バスの大混雑です。外国人客の急増で、市営バスに市民が乗りにくい事態となり、生活に支障が出ている市民も…果たして、京都市の対策は?

京都市が「市バス救済」要望

 京都市は、市バスの経営状況が極めて厳しいとして、国に「公共交通の維持・確保のため支援制度の構築を求める要望書」を提出しました。その中に、「観光利用が多い京都市の特性を踏まえ、観光利用と日常利用との“住み分け”について、運賃制度を始め各種規制を柔軟に運用できるようにしてほしい」というものがあり、「京都市、観光客の運賃を市民より高く設定へ?」との報道が出ました。それに対し、京都・門川大作市長は「観光客の運賃だけ高くするのは、あり得ない」としたうえで、「客の属性によって運賃に差をつけることは、法律によって、できない。将来は『ダイヤによって』『路線によって』価格差をつけることは、あり得る」と話しました。

運賃に関する法律

 門川市長の発言に「法律によって、できない」とありましたが、それはどのような法律なのでしょうか?そもそも公共交通機関は、「誰が乗っても同じ料金」が基本です(高齢者・障害者・子どもへの割引は除く)。さらに、道路運送法で「“公共交通”を経営する者は、旅客の運賃を定め、国交大臣の許可を受けなければならない。運賃を変更するときも同様とする(※要旨)」と決められており、許可の条件の一つに「特定の旅客に対し、不当な差別的取り扱いをするものではないこと」とあります。そのため、京都市の独断では、市バスの運賃は変えられないということです。

利用客減少も変わらぬ混雑

 市バスの利用客数ですが、コロナ前の2019年と比べると、35.7万人から30.9万人(2022年度)に減少しています。しかしバス内の混雑は変わっておらず、市バスを利用する市民は「観光客は大きなカバンを持っている方もいるし、出歩くと交通機関もいっぱいなので不便」と言い、一方の観光客も「他の乗客と体を密着させた状態で乗らないといけないから、快適とは言えない」と話しています。京都市は、この状況を緩和しようと、4回以上乗ればお得になる『バス一日券』の販売を9月に終了し、2024年3月に廃止する方針を決めました。

“旅のプロ”鳥海高太朗氏の見解

 航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏は、「京都は、外国人観光客のインバウンドが想定よりも早く戻っている。これから中国の団体旅行が解禁されれば、状況はさらに深刻化する」といいます。そのうえで、京都市が取るべき対策については、「外国人の運賃を400円にし、市民は証明カードなどの提示で従来の230円にする。同時に、臨機応変なバスの増便も検討すべきだ」としています。

 京都市も、いろいろと検討しました。例えば…。

・スーツケース用のスペースを車内に設置する
・一定の大きさ以上の荷物には持ち込み手数料を徴収する
・市民バスと観光バスを完全に分ける
・市民優先レーンを設ける
・観光客運賃を高めに設定する

 しかし、交通局担当者によると、「乗客を区別することは、ほぼ不可能」「導入のハードルは極めて高い」と、断念したということです。果たして京都市は今後、どのような対策を進めていくのでしょうか?

(「情報ライブ ミヤネ屋」2023年6月21日放送)

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