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4戦全勝で準々決勝に進んだ「侍ジャパン」

【独自解説】人気急上昇!侍ジャパンの“愛されキャラ”ヌートバー選手 「日本代表」の夢を叶え、ファンの心を鷲づかみにしたその実力と人柄

 侍ジャパン、無傷の4連勝をけん引し、今大人気のヌートバー選手。最初こそ疑問の声もありましたが、いまは“愛されキャラ”となって大人気です。なぜ彼は一瞬にして日本のファンの心を鷲づかみにしたのでしょうか?メジャー取材歴28年のMLBアナリスト古内義明氏が解説します。

ヌートバー選手進化の秘密は「ドライブライン」

 ラーズ・ヌートバー選手は身長191cm体重95㎏右投左打の外野手です。アメリカ・カリフォルニア州でオランダ系米国人の父と日本人の母の間に生まれました。高校時代はアメリカンフットボールと野球をプレーしていて、大学進学時には両方の部から争奪戦になったそうです。2018年にカージナルスからドラフト8巡目で指名され、2021年からはメジャーリーグに移って活躍しています。マイナーリーグ時代には、最先端の動作解析や理学療法を導入し世界有数のデータを駆使した野球選手育成組織の「ドライブライン」の門をたたき、トレーニングをしたことで約2年でスウィングスピードを時速約13km上げることに成功するなど、進化したということです。

MLBアナリスト古内義明氏

Q.このドライブラインは、どんなところですか?
(MLBアナリスト古内義明氏)
「ドライブラインは、アメリカのシアトルにあるのですが、侍ジャパンですと今永投手も利用しています。大谷選手が試合前に重さの違うボールでウォーミングアップをしていますが、それもこのドライブラインが開発したといわれています」

Q.ヌートバー選手は、2022年の後半から活躍していますが、どんな選手ですか?
(古内氏)
「打順は3番4番以外どの打順も打てますし、外野はどこでも守れる選手です。カージナルスのあるセントルイスは野球どころなんですが、そのカージナルスのファンがデビュー1年半の選手に『ヌー』という応援“ヌーイング”をしたというのは、ファンのハートを掴むのがうまい選手だといえます」

ヌートバー選手は愛されキャラ

 ヌートバー選手は“愛されキャラ”だということで、侍ジャパンの栗山監督も「直接話したら100%全員が好きになる愛すべき人格」と話しています。3月10日の日韓戦でデッドボールを受けたときは、「ちょうど凝っていたところにぶつかってちょうどよかった」と粋な発言をしたり、円陣での声掛けでも日本語を覚えて「頑張ります!さぁいこう!」と言っています。また試合中お辞儀をする姿も見られました。

Q.ヌートバー選手が、初出塁したときにいきなり“ペッパーミルパフォーマンス”をしましたが、大谷選手の助言があったそうですね
(古内氏)
「ヌートバー選手がメジャーリーグでやって来たパフォーマンスを、ぜひ日本のファンの前でもしてほしいという大谷選手の思いとチームワークの良さでできたと思います」

「日本はもうヌートを帰さないかもしれないな」の声も

 MLB公式ツイッターでは、WBC試合後のヌートバー選手のインタビュー映像を公開しています。そこでヌートバー選手は「日本大好き!みんなありがとうー!」とコメントしています。その投稿文言は「Noot loves Japan and Japan loves Noot. (=日本を愛したヌートとヌートを愛した日本)」となっていて、それをみた海外ファンからは「日本はもうヌートを帰さないかもしれないな」などの声も聞かれました。

幼少期から「日本代表」宣言

 2006年、9歳のヌートバー選手は、当時高校日本代表としてアメリカを訪れた田中将大投手や斎藤佑樹投手と交流を深め、「いつの日か、この日本代表として参加したい」と思いを抱いたそうです。その後、リトルリーグのオールスターチームに選抜された際のインタビューでは、「ラーズ・ヌートバー背番号21番、日本人です」「私は自国の日本を代表しています」と自己紹介していました。WBC開幕前の母の久美子さんへのインタビューによると、家で自分のことを「侍ジャパン」と呼ぶほど喜んでいたということです。

Q.ヌートバー選手は、アメリカのリトルリーグの頃に日本代表になりたいと言っていたんですね。
(古内氏)
「栗山監督は、このヌートバーに賭けましたよね。もしヌートバー選手が活躍しなかったら批判も甘んじて受ける覚悟だったと思います。しかし、栗山監督はその賭けに勝ちました。栗山監督のジャーナリスト時代からの情報収集能力があったからです。今後、日系選手が日本代表に選ばれるという下地も作りました」

Q.メジャーリーグの左バッターは引っ張る人が多いという印象ですが、ヌートバーは違っていて、センター方向に徹底して撃ち返しているのは、出塁を重視しているからですか?
(古内氏)
「元々のヌートバー選手は14本のホームランもセンターから右方向に撃っている“引っ張りバッター”なんですが、この大会では初対戦の投手が多いのでセンター中心に打ち分けていると思います。彼は出塁率が高い選手で選球眼が良いんです。また長打も狙える選手です」

Q.当たり前にメジャーリーガーがWBCに出ることによってWBCの存在意義が変わりますよね
(古内氏)
「野球が国際化していく中で、WBCがもっと大きな大会になってほしいと思っています。大谷選手も『WBCで優勝した国がシンプルに世界一だ、と言えるような大会にしてほしい』と言っていました。大谷選手の所属するエンジェルスはWBCに31人の選手を出していますが、ヤンキースは2人しか出していません。アメリカ代表の監督も言っていますが、メジャーリーグもWBCを主宰するのであれば、良い選手をどんどん出して、WBCを盛り上げていく流れになってほしいです」

(情報ライブミヤネ屋2023年3月14日放送)

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