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特殊詐欺グループ元主犯格 フナイム氏

【独自解説】特殊詐欺の元主犯格「だまされやすいのは金融に詳しい人」音声ガイダンス詐欺に方言詐欺…急増中の新たな手口と対策を専門家が解説

 カンボジアのリゾートホテルを拠点に特殊詐欺を行ったとされる、25歳から55歳の日本人の男19人が日本に移送、逮捕されました。中には暴力団関係者も含まれているといいます。こういった詐欺にだまされないために知っておきたい、特殊詐欺グループ元主犯格のフナイム氏が語る実際の手口とは?特殊犯罪に詳しいジャーナリストの多田文明氏と元埼玉県警の佐々木成三氏が解説します。

拠点は中国から東南アジアへ 増加する海外からの特殊詐欺

東南アジアに移った特殊詐欺の拠点

 近年増加する特殊詐欺ですが、2018年と2022年を比べると、認知件数は1万8000件弱とさほど変わりません。しかし国内の摘発件数は3分の1ほどに減っていて、その分が東南アジアなどに流れていると思われます。過去の海外での摘発件数を見てみると、2017年頃は中国が多かったのですが、2019年にはタイやフィリピンと東南アジアに移っているのが分かります。

特殊犯罪に詳しいジャーナリスト 多田文明氏

Q.当初、犯罪拠点が中国だったのが、中国の規制が厳しくなって東南アジアに移っていったのですか?
(ジャーナリスト 多田文明氏)
「今の手口は、たくさんのメッセージを送って、慌てた人に電話をかけさせるのですが、電話を受ける人がどれだけたくさんいるかがポイントなのです。今回のように19人もいると目についてしまうのです。しかし東南アジアだと、『日本人の観光ツアー客』ということにすれば不自然ではないのです」

特殊詐欺の年間発生数

 警察庁によると、2022年1年間の特殊詐欺の認知件数は1万7520件で、被害額は361億円を超えています。

Q.今回は電子マネーを使って送金させるという手口でしたが、実際に通販サイトの不払いがあったとして、「電子マネーで払え」ということはあるのでしょうか?
(多田氏)
「ないと思ってください。もし不安であれば、自分でサイトを調べて問い合わせてください」

Q.「郵便や宅配を届けましたが不在でしたので、ここに電話してください」というショートメッセージもよく来るのですが、タップして電話をかけるとどうなるのでしょうか?
(多田氏)
「タップしてしまうと、不正な遠隔アプリなどがダウンロードされて、スマートフォンなどを乗っ取られてしまいます。絶対にタップしないでください」

元主犯格が語る実際の手口、急増する新たな手口

フナイム氏が行っていた特殊詐欺の手口

 元特殊詐欺グループの主犯格・フナイム氏が実際に行っていた、老人ホームの入居権を使った特殊詐欺の手口は次のようなものでした。まず架空の業者から「あなたは老人ホームの入居権があります。入居を待つ人にその権利を譲ってくれませんか?」という電話が被害者にかかってきます。被害者が承諾すると、架空の老人ホームから「名前貸しは犯罪です。訴えます」という連絡が来ます。さらに架空の弁護士から「資産を守りたければ、一度すべて預けなさい」という連絡が来て、焦った被害者が資産をすべて預けてしまうと、そのまま返ってこなくなります。“解決金”の名目で、多額の金をだまし取る詐欺です。愛媛では今も似たような手口が報告されていて、愛媛県警は、在宅中でも固定電話は留守番電話にするなど呼びかけているということです。

元埼玉県警・警部補 佐々木成三氏

Q.意図せず「犯罪者になる」と言われると驚きますよね?
(元埼玉県警・佐々木成三氏)
「不安をあおって、被害者に冷静な判断をさせないという手口です。一人で悩んでしまって、『恥ずかしい。犯罪者になってしまう。誰にも相談できない』ということで、お金をだまし取られてしまうのですが、他人に相談することで防げる事件なのです」

急増している特殊詐欺の手口

 さらに、今急増しているのが、自動音声ガイダンスに従って電話をかけさせたり、方言を使って信用させるというものです。自動音声ガイダンスを使った手口では、電話をかけるとオペレーターを名乗る人物が出てきて、「未納金がある。違約金や遅延損害金などで合計○○万円です」などと告げられ、「身に覚えがない」と言っても「毎月10日にメールボックスに入れたが、確認されていませんか?こちらでは電子記録で確認できています」などと高圧的に言われるということです。

Q.ショートメッセージの手口が知られたので、固定電話を使うようになったのですか?
(多田氏)
「ショートメッセージは、手口が知れ渡ってしまっているのと、スマートフォンや携帯電話にしか送れないので、今度は固定電話を使った手口として、この音声ガイダンス詐欺が出てきたのです」

NTTファイナンスは、「不審な電話・不審なショートメッセージ・NTT社員をかたる訪問」は全て詐欺の手口だと注意喚起をしています。

また、方言を使った詐欺の一例では、風邪をひいているといって声の違和感をごまかし、さらに娘と信じ込ませるために、熊本弁で会話をしています。

Q.方言を使うことで、また古典的な手口に戻ってきているのですね
(佐々木氏)
「かけ子を“闇バイト”で募集するようになって、熊本弁など方言を使えるかけ子も簡単に集められてしまいます。例えば、『青森で特殊詐欺の被害が少ないのは、方言を使えるかけ子がいないからだ』というのがありましたが、これはもう昔の話で、かけ子が方言をしゃべれるようになったことが、全国的な被害の要因になっています」

(多田氏)
「やはり息子・娘をかたって方言を使われると、信用してしまいます。また地方だと、今まで詐欺の電話が少なかったので、方言でだまされてしまうのかなと思います」

元主犯格が語る“だまされやすい人”の特徴

だまされやすい人の特徴と対策

 特殊詐欺にだまされやすい人の特徴ですが、フナイム氏によると、「電話を切らずに話を聞いてしまう人」「自分はだまされないと思っている人」「金融に詳しい人」だということです。

Q.金融に詳しい人がだまされやすいのですか?
(多田氏)
「詐欺師は褒めるのです。『いやぁ、素晴らしいですね。知っていますね。こんな人がだまされるわけがないですね』と言って、だますのです」

多田氏によると、特殊詐欺の対策は「非通知や知らない番号の電話は取らないことだと言います。また、佐々木氏は「かかってきた通話を録音できる『迷惑電話防止機能付き』の固定電話があるので、そういうものを使ってほしい」と言います。NTT東日本・西日本は5月から、70歳以上の人がいる世帯に、相手の番号を表示するサービスを無料で提供するということです。 

カンボジアの特殊詐欺拠点

Q.フィリピンでの特殊詐欺は、捜査がどうなっているのか情報が入ってきませんが、カンボジアの19人の事件も、本当に主犯格やトップまで行きつけるのでしょうか?
(佐々木氏)
「今回の件がフィリピンのときと大きく違うのは、容疑者が移送される前に、警察が証拠品を押収できているのです。スマートフォンが50台以上と、詐欺マニュアルやリストもあります。現地で指示役・仲介役と接触している可能性も、大いにあると思います」

(情報ライブミヤネ屋2023年4月11日放送)

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