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【独自解説】青山繁晴氏が吠えた!「派閥は諸悪の根源」「必ず派閥全廃を実現する!」 今自民党で何が!?自民党現役議員と政治ジャーナリストが舞台裏を解説
2024年1月23日 UP
自民党の裏金問題を巡り岸田派を含めた3つの派閥が解散を表明するなど党内の混乱が続いています。今、いったい何が起こっているのか?この先どうなるのか?自民党の青山繁晴参院議員と政治ジャーナリストの田﨑史郎氏が衝撃の舞台ウラを解説します。
岸田首相と麻生副総裁の間に亀裂!?突然の「解散宣言」の余波
派閥解消を巡って、今後注目されるのが麻生太郎副総裁の動きです。麻生副総裁はこれまで岸田政権を最も近くで支えてきましたが、派閥解消については慎重な姿勢でした。しかし岸田首相は麻生氏へ事前に相談することなく、突然派閥の解消を発表。これに対し、麻生副総裁は怒りを露にしたといいます。両者の関係に亀裂が生じる中、大きな動きがありました。岸田首相と麻生副総裁が都内のホテルで約2時間、緊急会談を行ったといいます。派閥の解消について何が話し合われたのでしょうか。
Q.岸田首相と麻生副総裁の仲はもう大丈夫だという楽観論もあるようですが?
(政治ジャーナリスト 田﨑史郎氏)
「会談が終わった後に、岸田首相は周辺に対して『麻生さんは怒っている雰囲気ではなかった』と話しています。そういう意味では、一定の関係修復はできたのかと思います。間もなく通常国会が開かれて、野党との対決の中で予算案を成立させなければいけないのが与党としては大事なので、その前に中でガタガタしているワケにはいかないというのは当たり前の判断です。一方で麻生派や茂木派の存続に関わるような話を岸田首相は一言も相談せずに行った、というところについては傷として残ると思います。それが今年の総裁選で岸田首相が再選しようとした場合、果たして麻生副総裁は支持するかな?ということです」
内閣の支持率は「支持する」が24%政権発足以来“最低タイ”となっています。また岸田派の解散を「評価する」が60%、「自民党の派閥は解散するべき」が61%となっています。
現役自民党議員が提言!岸田首相はリーダーシップをもって「派閥を全廃」を
Q. 青山繁晴参議院議員は、「自民党の派閥は全廃するべきだ」という会議を立ち上げたのですか?
(青山繁晴参議院議員)
「『政治(まつりごと)変革会議』です。政治(せいじ)というのは嫌悪感に満ちた言葉に成り下がってしまいましたので、あえて政治と言わず、本来の日本語の『まつりごと』に戻しました。15人集まって、一部の派閥の解散ではなく、『派閥は全廃するべきだ』と決めて、働きかけていきます。そもそも岸田首相の派閥解消宣言ですが、全く奇怪な話だと思います。政党も会社と同様に日本の組織ですが、普通の会社では、会社を辞めた社長や会長がその会社の解散を宣言できるのですか?ですので、当然岸田首相は、(派閥の会長ではなく)自由民主党総裁ですので、総裁のリーダーシップ・権限をもって、『一旦は全派閥を廃止します。時間が掛かっても法改正もします』というのがリーダーシップではないでしょうか?麻生副総裁の言う新人議員の育成も、普通の会社で言うと派閥の中の仕事でしょうか?ずっと世の常識と違うことを自由民主党がしてきたから問題なので、カネも私的集団である派閥による人事への介入も同じところにあるので、一旦今の派閥を解体しないと何事も始まりません。今回15人集まったというのは、そういう志を持った議員も現れているなと考えています」
Q.岸田首相は総裁として派閥全廃を宣言するべきですか?
(田﨑氏)
「私も2023年12月に『派閥を離脱します』と言った岸田首相が、どうして岸田派の解散を決断できるのか、という疑問は沸きます。しかし岸田さんは、派閥の解散の発表の前に午前中から順次岸田派の幹部を呼んで、10人くらいと相談して、その人たちが良いと言ったので解散を宣言したという論理構成なんです。岸田派の会長ではないけれど岸田派のコンセンサスは取れたのが解散の理由です。総裁として全ての派閥の解散宣言を行うべきだという考えも成り立ちますが、自民党内は今も麻生副総裁や茂木幹事長は派閥を存続しようとしています。一方派閥解散を宣言した3派の共通点は、東京地検特捜部に政治資金規正法で立件されて刑事処分を受けています。その刑事処分に対してのけじめをつけたという考え方なのです。ほかの派閥は刑事処分を受けてないので『何が悪いんだ』ということです」
Q.派閥というのは自然発生したりする歴史を繰り返していますが、派閥全廃となると国民にはどのように見えるのでしょうか?
(青山議員)
「派閥は政治団体として登録されています。登録されているので、政治資金規正法に基づいて政治資金を集められますし、その政治資金に税金もかからないとなっています。派閥は法で担保されているのです。その法で担保されている派閥を全部解散するというのは、何も解釈の違いは生まれません。残念ながら、野党に政権が移ることがないので、派閥の違いで“疑似政権交代”をしてきたとなっています。派閥じゃない『グループ』というのもあります。これも政治団体として届けられているものと、届けられていないものがあります。法治国家なので法律で定義されていることを確認して、その上で政治資金規正法を改正して派閥がパーティーを開けないようにするだけで、派閥を通じた裏金作りなども全て吹き飛ぶんですよ。そういう入り口から改革しましょうということです。そして、日本には政党助成法という、全国民がお金を出し合って政党を支えようという法律はあるのですが、『その政党は何なのか』という政党の要件を定めた『政党法』がないのです。わたしたちは、日本としての政党法を野党と話し合って審議したいと考えています。その前に自民党の中でガバナンスコード(倫理綱領)をちゃんと作りましょうと。35年も前につくった政治改革大綱が全く実現されていないのです。その中に派閥の解消も書かれているのに実行されていませんので、今度こそ本物をつくろうというのが私たちです」
Q.派閥を解消するということは、政治団体としての登録をやめるということですか?
(青山議員)
「そうです。自主的にやめるのを待つのではなく、理念としては、実際に法改正も打ち出していくべきです」
Q.例えば、政治資金規正法を改正して、連座制を取り入れるなど厳しいものになれば派閥はあっても良いと思いますか?
(青山議員)
「私はそうは思いません。例えば人事への介入。新人議員の教育を派閥がしていますが、かつて新人議員と中堅議員が一緒に勉強する制度をつくろうとしたのですが、派閥に潰されています。今までできなかったことをやらないと、自由民主党が政権党たり得るわけがないでしょう。私は、今の政治刷新本部の議論の範囲内で収まるとは思っていません」
青山氏、魂の訴え「一言で言うと派閥は諸悪の根源」派閥全廃して総裁選を行えるかどうかが「本当の歴史的分かれ道」
Q.青山議員の意見を聞いてどう思いますか?
(田﨑氏)
「なぜ派閥ができたかというと、自民党総裁選に立候補する基盤として派閥ができてきたという経緯があります。総裁、そして首相になるために、一定の数を養わないと立候補もできないという中で、ドンドン派閥の所属議員が増えました。私が担当した田中派の場合は、一時143人までなりました。総裁選を戦う権力基盤として派閥が存在して、派閥の競い合いの中で自民党はいろいろポスト争いやカネ集めもしてきたわけです。政治資金規正法上、派閥は『政策研究団体』になります。いま刷新本部でやろうとしているのは、名前通り“政策を研究する団体”になって、カネや人事の問題は切り離しましょうということです」
Q.派閥は集金組織だけではなく重要ポストに就くための後ろ盾でもありますが、それをなくして全部フラットにするのですか?
(青山議員)
「田﨑氏が言った総裁選のことは、根本に触れています。ある現職閣僚が『派閥単位で総裁選をしていると、自分が総裁に向いていないと思う人でも派閥の親分が、今度はこの人だと言ったら、引きずられて1票投じる。総裁選は“魂の1票”なのに、その魂を自分のポストのために売って、適任と思わない人に入れさせているのが今の総裁選だから、変えてくれ』と言いに来ました。総裁選では派閥それぞれに候補を立てるのではなくて、談合で人数を減らして、派閥の親分によって誰に投票するか決められてしまいます。国民が思っているより根が深く、腐っている部分だと思うので、次回の総裁選では全く派閥と関係のない候補者が争うことが必要なので、その前に、まず我と思う人は派閥のボスに依拠をするのではなくて、一人一人の主権者に依拠するのが私たちの“まつりごと”なので、派閥を全廃して裸になって主権者に向き合って本当に総理・総裁にふさわしい人は誰なのかを選ぶことを、できるのかどうかが、自由民主党が政権党たり得るか、本当の歴史的分かれ道だと思っています」
Q.総裁選には、推薦人が20人必要ですが、これをやめようとは思いませんか?
(青山議員)
「推薦人20人は賛成です。何ごともルールは必要です。20人の根拠は何なのかというと、今まで総裁選を重ねてきて、推薦人20人という制度はいい線だと思っています。しかし、派閥単位でかき集めるのではなく、一人一人の議員と総裁選に出たい人が語らって、その人の良心に聞き、その人の主権者に聞き、推薦人になるか決めていく。一言で言うと派閥は“諸悪の根源”と言わざるを得ないので、自由民主党が当たり前だと思っている派閥単位で決めるのをやめて、派閥を全廃して出直さないといけないと思っています」
Q.今回、政治資金規正法が連座制まで行けると思いますか?
(田﨑氏)
「連座制にピタッとはまるものではないかもしれませんが、政治資金規正法の25条で、『政治団体の代表者は、会計責任者の選任及び監督について怠慢があった場合罰せられる』となっています。『選任及び監督』と“及び”がついているので、両方について怠慢がないと罰せられないので、これを“or(または)”にすれば、事実上の連座制になると思います」
次期総裁選への影響は?青山氏宣言「(派閥全廃は)必ず実現します」
Q.麻生派・茂木派が解散しないとなると、岸田首相の再任に「?」が付くのではないですか?
(田﨑氏)
「もちろん『?』が付きます。麻生副総裁や茂木幹事長の認識は、今後の岸田首相の出方によるなということです。何にも相談なしに、自分たちに影響のあることをしたので、この後岸田首相が自分たちにどう接してくるか?その象徴が、岸田首相と麻生副総裁の会談だったと思います。岸田首相の方から呼びかけて、麻生副総裁に『引き続きよろしく』と言う機会だったと思うんです。これがうまく行くのなら、岸田首相が立候補した時に麻生副総裁が支持する可能性もありますが、岸田首相をだめだと思って茂木幹事長を支持するかもしれませんし、別の人かもしれません。麻生派は56人いるので強い影響力を持つと思います」
Q.麻生副総裁の判断基準は何ですか?
(田﨑氏)
「きちんと政策を実行しているか?ちゃんとした政策をしているか?外交がきちんとできているか?というところと同時に、国民から支持されているかを見極めると思います」
Q.麻生派・茂木派は存続の意向ですが、どうやって派閥を全廃させるのですか?
(青山議員)
「まず、(派閥全廃の)声が出ているということを知ってもらうために15人集まってもらって会議体にしたのですが、最終的には岸田首相が総裁としての権限を持っているので。その後も、私的な集団が党中党になっていて、『いつの間にか公党を支配しているのをやめましょう』と言ったら、麻生副総裁も茂木幹事長も納得しないでしょうか?必ず実現します」
Q.青山議員の話を聞いてどう思いますか?
(田﨑氏)
「自民党は、青山議員のような人もいるし、麻生副総裁や茂木幹事長の様な人もいるので、混在しているのがいい政党だと思います。そこで議論しながら新しいものを作っていくなら、今回の派閥解消も大きな意義があると思います」
(「情報ライブミヤネ屋」2024年1月22日放送)