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田中会長“新年の挨拶”で青年信者らを激励

【独自解説】“統一教会”田中会長「宗教迫害に覚悟して挑戦」メッセージ、韓国本部は今も高額献金呼びかけか…『救済法』成立も残る課題、被害者らが求めることとは

田中会長「我々がぶれない限り、サタン側が崩れていく」と信者を激励

田中会長「伝道出発式」に出席

 1月11日、田中会長は第1地区(関東)の青年信者向けの「成和圏伝導出発式」に出席し、発言しました。その内容は、青年信者が教団に勧誘した人数の月間表彰や結果報告などで、鈴木氏によると「伝導出発式は定期的に行われているもの。第1地区は元々田中会長がトップを務めていた地区。成績優秀者は田中会長との食事会に参加できる」ということです。

ジャーナリスト 鈴木エイト氏

Q.これは未だに勧誘を続けていて、勧誘した人数によって表彰を行っているということですか?
(ジャーナリスト 鈴木エイト氏)
「これは人数だけではなくて、色々な項目ごとにポイントがあります。例えば、一度辞めた人をもう一度誘ってその人が受講した場合には10ポイントとか20ポイントというように、細かく分けています。通例合宿に参加した場合は20ポイント、勧誘した人が講義をした場合は30ポイントなどとポイントをつけて、その上位21名が表彰されて、田中会長と食事ができます。新規伝導部門や2世を対象にした部門など細かく分け、各地区教会ごとに競わせているのです」

Q.田中会長と食事ができるというのは、大変名誉なことになるのでしょうか?
(鈴木氏)
「はい。田中会長は教団のエリートで、特に韓鶴子総裁から直接任命された方だということで、信者にとって憧れの対象なんです。成績が上位になると、そういう人と食事が一緒にできるということで、信者のモチベーションを上げるためにやっているのだと思います」

青年信者らにメッセージ 「宗教迫害の絶頂を迎える」

 田中会長は青年信者らに向け、「2023年は、日本でキリスト教に対する宗教迫害が始まったと言われる1623年から、ちょうど400年目。宗教迫害の絶頂を迎えていく2023年と覚悟して、挑戦してなければならない。我々がぶれない限り、サタン側が必ず崩れていく」と発言しました。

全国霊感商法対策弁護士連絡会 阿部克臣弁護士

Q.“統一教会”とキリスト教を重ねる発言は非常に危うく感じますが?
(全国霊感商法対策弁護士連絡会 阿部克臣弁護士)
「宗教迫害という言葉を使っていますが、“統一教会”という教団は昔から社会的な批判にさらされると宗教迫害の問題にすり替えます。今回もキリスト教の1623年とどう関係があるのか全く分からないのですが、そこから400年ということで信者には訴えているということだと思います」

田中会長「価値観と価値観の戦い」

 さらに田中会長は「テレビで何か発言を聞いたり、私たちを攻撃してくるような勢力と出会ったとしても、向こうには必ず価値観があり、思想があります。価値観と価値観の戦いです。大切なのは我々が持っている最大の価値は何か、これをちゃんと持てば、命ある言葉になるし力強く相手に伝わる」と話しました。

Q.これまでテレビに出演したような元信者の方々にも価値観があるが、我々とは違う、という距離感を感じますね?
(鈴木氏)
「本来であれば、これまで教団が行ってきた献金収奪であるとか、社会問題について反省をすべきなのですが、そこをしないまま話をすり替えています。こういうことを基にして伝導活動に行かされる青年信者たちは、教団が批判にさらされている中で、現場で危険な目に合うという可能性もありますが、そういうことも全く考慮せず、こういう話にすり替えてしまっているところが一番の問題だと思います」

田中会長が多く口にした、『ために生きる』という言葉

 約18分に及んだ田中会長からのメッセージの中で多く使われたのが「ために生きる」という言葉です。田中会長は「お父様(文鮮明氏)は一言だけ私たちに教えてくれました。それは『ために生きる』なんです。人のために生きた方が、絶対喜びは大きいんだと。この『ために生きる』という一語がもたらしてくれる幸福感はあまりにも大きい」と話しました。しかし、「質問権」の行使や、「被害者救済法」成立に関する発言はありませんでした。

Q.人のために生きるのであれば、「あなたは家でも土地でも売って人のために生きなさい」ともとれる、非常に危険な言葉にも聞こえます。
(阿部弁護士)
「言葉の意味として教会内では、それに近い意味で使われていると思いますが、人のために生きるというのであれば、本来であれば、被害者ももちろん人なわけですから、そのためにこそ生きるべきだと思います。被害者の観点というのが度外視されているところは、非常に問題だと思います」

『救済法』成立後も韓国本部は高額献金呼びかけか

韓鶴子総裁の「新年の言葉」

 一方、1月3日の「2023 天一国指導者・新年賀礼会」で、韓鶴子総裁は新年の挨拶を行い、「新しく天の父母様を中心として、全てのものを包容し、抱くことのできる、統一の祝福家庭・天寶家庭となり、天と人類の前に勝利者として、誇らしく尊敬される皆さんが祝福家庭になるように願います」と述べました。「天寶家庭」とは、430代の先祖解怨を成し遂げ、430家庭への伝導を達成した家庭のことで、阿部弁護士によると「時代によって異なるが、1000万円以上の献金が必要」ということです。日本で「被害者救済法」成立後も、“統一教会”韓国本部は高額献金を呼びかけているとみられます。

Q.1000万円以上払っている人が事実上いるわけですよね?
(阿部弁護士)
「そうですね。信者にとっての目標ということで呼びかけられているわけですから、当然信者は1000万円以上、最近だと1176万円という数字を聞いていますが、この金額を目指して、お金がない中から集めたりして、今でも頑張って献金をしているというのが実態だと思います」

Q.日本では「被害者救済法」が施行され、「解散命令」という言葉も出てきている中でも、韓国の本部の本質は変わっていないのでしょうか?
(鈴木エイト氏)
「はい。韓国の教団本部にとって、日本からの献金は命綱なので、そこを一番重要視しているんです。最新の情報によると、『もし解散命令請求が通ったとしても、宗教法人格が無くなったとしても、一般の企業や普通の法人のように税金を払った上で、変わらず伝道活動をして、献金も納めさせればいい』と言っているという話が伝わってきています」

Q.韓国などは宗教団体というより企業団体の色が濃いと言われていますが、日本でも最終的にはそういう形でいいということですか?
(鈴木エイト氏)
「そうですね、宗教法人でなくなることに警戒心は持っていますが、もしそうなったとしても韓国への送金が止まるわけではないということを見越しています」

新法は過去の被害や“宗教虐待”には適用されず…被害者らが今、求めること

今年前半は各信者家庭に献金の追い込みか

 1月6日、全国霊感商法対策弁護士連絡会の会見で、阿部弁護士は「韓国で『天苑宮』を建設するために、2023年5月に向けて2022年から献金集めをしている。 『一家庭183万円』のノルマ達成のため、2023年の前半は各信者家庭に献金の追い込みが行われるのではないか」と話しました。

1月5日施行「被害者救済法」

Q.これから先、「430代の先祖解怨」や「一家庭183万円」の献金ノルマは、被害者救済法に引っかかってきますか?
(阿部弁護士)
「183万円の献金については、配慮義務違反にあたり得ると思います。家族の生活が困難である状況にも関わらず、教会から献金を求められたとなれば、新法の配慮義務違反にあたり得ます。ただ、先祖解怨についてはなかなか難しいところがあって、新法の対象は法人や法人に準じるような社団への寄付だけが適用対象になります。先祖解怨の場合は、最近は韓国の銀行に振り込んで、そこから韓国の財団にお金が行くようになっているらしいので、そのお金の流れが日本の法人への寄付にあたるか、というところにまず大きなハードルがあります」

『被害者救済法』過去の被害は適用外

 阿部弁護士は『被害者救済法』について、「新法は今後の被害を出さないためのもの。過去の被害については適用されない。過去の被害については、『全国統一教会被害者対策弁護団』が交渉・裁判により被害救済を行っていく」としています。

Q.これは民事裁判になるということですか?
(阿部弁護士)
「いきなり裁判をするのではなくて、まずは裁判外で話合い・交渉で解決を図っていきます。それで返金を受けることができるものは受けるわけですが、それで解決しないものについては裁判を検討するという流れになります」

Q.いわゆる「合意書」というものがあっても、それを無効にすることはできるのでしょうか?
(阿部弁護士)
「はい。合意書があることによって一つハードルが上がることは確かですが、必ずしも合意書があるから無理ということはなくて、その合意書を交わした経緯や内容、状況如何によっては無効にするという可能性もありますので、合意書がある方についても返金の請求はしていくことになると思います」

“宗教の教え”も児童虐待

 また、12月27日、厚労省は「宗教2世への虐待ガイドライン」を公表しましたが、“統一教会”元2世信者の小川さゆりさん(仮名)は「ガイドラインだけでは周知や予算の実効性が不十分。宗教虐待を防止できるような法律を作ってほしい」と訴えています。

Q.小川さんなども仰っていますが、被害者救済法は子どもの頃の宗教虐待や育児放棄など、子どもの被害は含まれていないのですよね?
(鈴木エイト氏)
「そうなんです。また根本的に考えなくてはいけないのは、これは宗教の問題ではなくて、“宗教カルト”の問題ということです。厚労省のQ&Aもそうですが、まともに活動している宗教団体の活動に関しても、一部虐待と捉えてしまうことも起こり得るので、今後法律化などに動くのであれば、今回の統一教会問題は、宗教の問題で起こっているというよりは、宗教の名を借りた“カルト問題”として捉えていくべきだと思います。やみくもに宗教が悪いというふうになってしまうのは、逆に普通の宗教をやってらっしゃる方、団体にとっても、やりづらくなっていくところがあると思うんです」

Q.相談窓口は一本化して、そこに通報すれば解決するような、ホットラインができたほうが良いのではないですか?
(阿部弁護士)
「はい。今回の新法で良いところは、行政処分と罰則が規定されているところです。ただ、そのためには、全国で配慮義務に違反する行為や禁止行為に違反する行為が、きちんと情報として国に集まる仕組みが必要だと思います。消費者庁に通報の窓口のようなものを作って、そこに情報が集まり、それが行政処分・罰則に繋がるという仕組みができれば、ひいてはそれが解散命令請求にも繋がって、裁判所で解散を認める一つの根拠にもなり得ると思います。そういう意味で非常に大事な制度だと思います」

(「情報ライブ ミヤネ屋」 2023年1月12日放送)

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