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　著名人らに対する常習的脅迫などで逮捕状が出ているガーシー容疑者について、ＵＡＥ（アラブ首長国連邦）のドバイにいるとみられている中、パスポートが失効したことがわかりました。一方、ガーシー容疑者が所有しているというＵＡＥで１０年間有効の居住ビザ「ゴールデンビザ」とは？警察の捜査は、今後どうなっていくのでしょうか？元警視庁警視の櫻井裕一氏が解説します。

ガーシー容疑者の旅券失効

　４月１３日が、外務省がガーシー容疑者に出した「旅券返納命令」の期限でしたが、その前日の４月１２日に、ガーシー容疑者がＩｎｓｔａｇｒａｍで「旅券返納」を報告しました。ガーシー容疑者はインスタライブにて「パスポートを紛失して、紛失届を警察署に届け出して、紛失届等諸々の必要な書類を揃えて総領事館に届けた。もう僕はパスポートを返納したということになる」と説明しました。
外務省によると、紛失届と現地警察が発行した紛失証明書をドバイの日本領事館に提出したことにより、旅券法の規定に基づいて、ガーシー容疑者の旅券は失効したということです。ただ、この失効は紛失の届け出に伴うもので、返納命令に応じたことにはならず、今後退去を求められるかどうかは滞在国が判断するということです。

Q.旅券法に基づいてパスポートは失効していますが、返納と失効は違いますよね？
（警視庁・元警視 櫻井裕一氏）
「パスポートが失効しているので、本来であれば不法滞在になるのですが、ガーシー容疑者は現地のビザを取得していますので、不法滞在を問うのも無理かなと思います」

ガーシー容疑者が持っているとみられる「ゴールデンビザ」とは

　４月１２日のインスタライブでガーシー容疑者は、視聴者からの「ビザは何年ですか」という質問に「僕のビザは１０年です」と答えています。これが事実だとすればＵＡＥのゴールデンビザを取得しているとみられます。さらに、自身のオンラインサロンの開催も告知していて、今後もＵＡＥ生活が続くと思われます。

　ゴールデンビザとは、ＵＡＥで海外からの人材が、生活・就労・就学できる長期滞在型ビザです。在留期間は５年または１０年となっていて、永住権取得のための手続きが可能になるといいます。申請の対象となる人は、投資家や医療従事者・発明家やアスリート、最前線の英雄など多岐にわたっていて、ガーシー容疑者は文芸創作家にあたるのではと言われています。

　ゴールデンビザを所有しているとしても、パスポートが失効した状態で滞在できるのかＵＡＥの担当部局に問い合わせたところ、「滞在要件を満たしており、ＩＤ情報が残っているため、ゴールデンビザ保有者は、パスポートなしでも滞在が可能」ということです。

　しかし、元ドバイ総領事で大阪学院大学の松永大介教授によると、「旅券を失効すると、日本人であることを証明する術を失うので、ＵＡＥから第三国への出国が不可になる。また、通常、ビザは 『身分を証明する旅券』とセットなので、本来『ビザの発給を受けたのは自分だ』と証明する身分証明書が無い状態は早期に解消しなければならない。非常に不安定な身分だ」ということです。

Q.パスポートが無くてもビザだけで滞在できるとなると、今後どうなるのでしょうか？
（櫻井氏）
「ＵＡＥの政府と日本の政府が話し合って、身柄を抑えてもらうことを考えないと、日本から警察が行って捜査するわけにはいかないので、歯がゆいところです」

Q.今回、ガーシー容疑者は領事館に行っていますが、領事館では身柄を拘束することはできなかったのでしょうか？
（櫻井氏）
「パスポートが失効しているので、不法滞在として身柄を拘束すればいいと思っていたのですが、ＵＡＥのゴールデンビザが有効だったので、不法滞在での拘束はできなかったのだと思われます」

警察の次の一手は？

　櫻井氏によると警察の次の一手は、「インターポール（国際刑事警察機構）に協力を要請し、現地の警察と協力して不法滞在などで身柄を押さえてもらって日本に送還させる」ことだということです。そして「捜査員が現地への出国準備を始めたとすれば、逮捕にむけ順調に進行中であると考えて良いのではないか」と話しています。

そして、４月１４日ガーシー容疑者は国際指名手配されました。この国際手配は身柄の拘束や引き渡しを求めるものではなく、ガーシー容疑者の所在地や行動に関する情報の収集を求めるものだということです。

Q.パスポートがないので第三国への出国はないわけですから、ＵＡＥと日本の警察や外務省が協力関係を結べるかどうかにかかっているということですか？
（櫻井氏）
「捜査員を派遣するという話も出ていますので、話はかなり進んでいると思います。いい方向に向かっているのではないでしょうか」

（情報ライブミヤネ屋2023年4月１３日、１４日放送）