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角川歴彦会長が贈賄容疑で逮捕

【独自解説】KADOKAWA会長逮捕で今後の捜査は?元検事「他のスポンサーにも疑惑かかる可能性、その次は役員や政治家」

 東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職事件で、9月14日に出版大手「KADOKAWA」の角川歴彦会長が、大会組織委員会の元理事・高橋治之容疑者に約6900万円の賄賂を渡した疑いで逮捕されました。角川容疑者を巡っては、スポンサー契約の締結を早く認めてもらえるように、高橋容疑者に直接会って依頼した疑いも浮上しています。「KADOKAWA」では、幹部2人が贈賄の疑いで逮捕されており、これで3人目の逮捕者となります。角川容疑者が逮捕に至った要因、今後の事件の流れなどを、元検事の亀井正貴弁護士が解説します。

角川容疑者の逮捕容疑

Q.元専務の芳原世幸容疑者らが逮捕されてから、会長が逮捕されるまでに時間差があるのはなぜですか?
(亀井弁護士)
「おそらく、2人を逮捕して家宅捜査した段階では、会長を逮捕するだけの証拠が固まっていなかったんだと思います。賄賂性の認識の物証が固まっていなかったんでしょう。その後、本社を家宅捜査したことによって、会長への報告であるとか、会長からの指示があったかといったパソコン内の情報などの物証が出てきたと考えられます。また、逮捕された二人が自白していなかったとしても、会長の何らかの関与について供述を始めた結果、証拠が固まった可能性もあります」

逮捕前、容疑を強く否定

 角川容疑者は9月5日の取材時には、「思いがけない感じ、戸惑っていることばかり。賄賂を渡した認識は、全くない。僕はそんな、心が卑しくて50年も経営したことはない。『KADOKAWA』側から高橋容疑者には、カネは一切渡っていないと思う」と強く否定していました。

元検事 亀井正貴弁護士

Q. 「KADOKAWA」が高橋容疑者に渡した6900万円が、コンサルタント料になるのか、賄賂になるのかの線引きは、どこにあるのですか?
(亀井弁護士)
「五輪関連のスポンサー選定以外で、どんなコンサルタントをしたかです。100万円~200万円程度のコンサルタントなら、6900万円は全部五輪のスポンサー契約の選定のためのお金だと認定されます。コンサルタントの実態があるのかどうかです。例えば金額の80%が五輪のスポンサー選定で、残り20%がコンサル業務でも、全体が賄賂になります」

“賄賂”を認識していた可能性

 コンサルタント契約について「KADOKAWA」が社内で検討している段階で、担当弁護士が「高橋容疑者への賄賂に当たる可能性がある」と指摘しましたが、結果的には契約内容を一部変更したものの、資金提供は実施されました。東京地検特捜部は、元専務の芳原容疑者らが違法性を認識していたとみて捜査しています。

Q.角川容疑者が「部下が勝手にやったことで指示していない」と言っていたとして、明確な指示の証拠がないと逮捕できないのでは?
(亀井弁護士)
「状況証拠だけでは逮捕できないので、おそらく何かの報告をして、了承をもらった、もしくは会長が自ら指示をした痕跡などの、物証があるのだと思います」

森喜朗元首相 任意で事情聴取

Q.組織委会長だった森喜朗元首相が、任意で事情徴収を受けていますが、これはどういう意味を持つのでしょうか?
(亀井弁護士)
「一つは、髙橋容疑者の職務権限に曖昧なところがあるので、『スポンサー選定については高橋容疑者に権限を渡した』ということが分かれば、髙橋容疑者の容疑のとても重要な証拠になります。そして、もし金銭が森元首相のところに相当流れていたとなれば、森元首相も疑いが持たれることになりますので、その辺の見極めをして行く必要からでしょう」

“五輪汚職事件”の構図

Q.今後、捜査はどう進むと見られますか?
(亀井弁護士)
「この事件は『AOKI』も『KADOKAWA』も賄賂構造が同じで、立証構造も同じです。そういう意味で、スポンサー契約の企業は一定の疑いがかけられますので、横の広がりがあり得ます。その次は、政治家や委員会内の上の役員に金銭が流れているかどうかの見極めになります」

(情報ライブミヤネ屋2022年9月15日放送)

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