2024年10月24日の「ミヤネ屋」で、北朝鮮が1万2000人の兵を、
「ロシアの応援のために送る」
方針だというニュースを伝えました。その見出しが、
「ロシアに 1万2000人派兵か?」
でした。しかし、一般的に「派兵」は、
「戦地(敵がいる場所)に兵を派遣すること」
ですから、これでは、
「北朝鮮が、ロシアを相手に戦うために兵を送る」(つまり「ロシアを攻撃」する)
ように見えてしまいます。
そこで「ロシアに」の「に」の代わりに「支援」にして、
「ロシア支援」
にすると落ち着きます。これは一種の、
「合成の誤謬(ごびゅう)」
になっているのでしょうね。この日は、
×「ロシアに 1万2000人派兵か?」→○「ロシア支援 1万2000人派兵か?」
×「ウクライナ侵攻を続けるロシアに 1万2000人派兵」
→○「ウクライナ侵攻を続けるロシア支援で 1万2000人派兵」
としました。
年が変わって、2025年1月9日の「ミヤネ屋」でも、北朝鮮兵をロシアに送ったこと
に関するフリップで、
「北朝鮮兵のロシア派遣」
という一文が出て来ました。「兵」を「派遣」したと。これなら「ОK」ですね。
「兵を派遣する」=「派兵」
ですが、「派兵」には「2つの意味」があって、「1番目の意味」は、
「敵国と戦わせるために、戦地へ兵を派遣すること」
で、「2番目の意味」として、
「戦闘応援・支援のために、友軍・同盟国に兵を派遣すること」
もあると考えられますね。
「国語辞典」で「派兵」を引いてみました。
「三省堂国語辞典」=(文)軍隊を派遣すること
「精選版日本国語大辞典」=兵を派遣すること。兵をさしむけること。
「デジタル大辞泉」=軍隊を派遣すること。(例)海外に派兵する
「明鏡国語辞典」=戦地や駐留地に軍隊を派遣すること。(例)海外に派兵する
「新明解国語辞典」=軍隊を派遣すること。(例)海外派兵
「岩波国語辞典」=軍隊を派遣すること。⇔撤兵(例)海外派兵
「現代国語例解辞典」=兵を派遣すること。
「新選国語辞典」=軍隊を派遣すること
「大辞林」=軍隊をある地域に派遣すること。出兵。(例)海外に派兵する
これで見ると「軍隊を」派遣するとする辞書と、「兵を」派遣するという辞書があります
ね。分けてみましょう。
*「軍隊」(7種類)=三省堂国語辞典・デジタル大辞泉・明鏡国語辞典・新明解国語辞典・岩波国語辞典・新選国語辞典・大辞林
*「兵」 (
種類)=精選版日本国語大辞典・現代国語例解辞典
でした。ポイントとしてはもう一つ、「軍隊」や「兵」を、
「どこへ派遣するか?」
これについて書いてあったのは。
*「明鏡国語辞典」=『戦地や駐留地に』軍隊を派遣すること。
*「大辞林」=軍隊を『ある地域に』派遣すること。出兵。
で、「明鏡」が一番分かりやすいかなと思いました。
令和ことば事情8350「派遣か?派兵か?」もお読みください。


