9463「1万円札か?一万円札か?」

2024 . 7 . 4

9463

7月3日、20年ぶりの新紙幣の発行が行われ、それぞれのお札の肖像が、

「一万円札」=福沢諭吉→渋沢栄一

「五千円札」=樋口一葉→津田梅子

「千円札」 =野口英世→北里柴三郎

に変更されました。20年前(2004年)は、「一万円札」は「福沢諭吉」のままで変わらず、「五千円札」と「千円札」だけが、

「五千円札」=新渡戸稲造→樋口一葉

「千円札」 =夏目漱石→野口英世

に変わりましたね。私は、会社に入った年(1984年)に、

「一万円札」=聖徳太子→福沢諭吉

「五千円札」=聖徳太子→新渡戸稲造

「千円札」 =伊藤博文→夏目漱石

に変わったので、その印象がとても強いです。この時は、

「一万円札」=政治家→教育者

「五千円札」=政治家→教育者

「千円札」 =政治家→文学者

というように、

「お札の肖像から『政治家』が排除されたのが画期的」

でした。国の態勢がまだ固まらない状況においては、肖像画に国王や政治家など、

「その国の統合の象徴」

の人を載せることで、「国家の形成」を促す教育的効果があったと思います。

しかし1984年の時点では、「初代総理大臣・伊藤博文」が、隣国・韓国にとっては、

「英雄ではなく、正反対の存在」

であることも知られてきて、国際関係を考えると、

「政治家を肖像画に採用することのマイナス面」

も出て来たのではないでしょうか?

2004年はマイナーチェンジという感じで、

(「一万円札」=教育者)

「五千円札」=教育者→文学者

「千円札」 =文学者→医学者

だったわけです。「文学者」は「千円札」→「五千円札」に“格上げ”されて、その後釜(千円札)に「医学者」が入って来た。これは、

「今後、力を入れたい分野」

を採用したということかもしれません。つまりそれは、

「今、足りていない分野」

ということになります。

今回(2024年)は、

「一万円札」=教育者→経済人

「五千円札」=文学者→教育者

「千円札」 =医学者→医学者

ということで、「教育者」が「一万円札」→「五千円札」に“格下げ”されて、

「最高位の『一万円札』に『経済人』が入った」

ということは、

「この国がこれまでの『文学的教育』よりも『経済』を重視する方向に舵を切った」

というふうにも感じられます。これまでは、

「放っておいても、経済は一流」

だったのが、21世紀に入ってからは明らかに、

「後れを取っている状況」

だということを示しているのかもしれません。(GDP世界2位→3位→4位という流れの中で。)

この図案を決めたのは、

「2019年4月9日」

ですから、

「安倍晋三内閣」

のときですね。その内閣の「方針」は、そういうことなのではないでしょうか。つまり、

「お札の図案(肖像画)には、その当時の政府の思想・方針が含まれている」

のです。実際、7月3日に新紙幣発行業務を視察した岸田首相は、

「新紙幣が国民に親しまれ、日本の経済に元気を与えてくれることを期待したい」

と述べています。ほらね。

そして、そのお札の流通は、

「思想教育(インプリンティング)でもある」

と思います。この辺りは郵便学の内藤陽介さんが主張する、

「切手はメディアである」

に共通していると思います。

あ、そうだ、ここで書こうと思ったのは、そんなことではなく、新聞・テレビ各社は、

「一万円札」「五千円札」「千円札」

の数字の表記をどうしているか?を比べてみようと思ったのでした。

読売テレビの他の番組や日本テレビは、

「1万円札・5千円札・千円札」

で出していましたが、「ミヤネ屋」では「漢数字」の

「一万円札・五千円札・千円札」

で出しました。というのは、これは、

「金額ではなく、各お札の名前=固有名詞だと考えたから」

です。「お札そのもの」には「円」が付いた形では、

「壱万円」「五千円」「千円」

と書かれています。洋数字の「10000」「5000」「1000」も書かれていますが。

「ミヤネ屋」では「一」の旧字体「壱」ですが、それは使わず「一」にして、

×「5千円札」→○「五千円札」

×「1000円札」→○「千円札」

×「新1万円札」→○「新一万円札」

としました。

渋沢栄一の地元(埼玉・深谷市)のイベントでは、

「新一万円札発行」

というように、

「一万円札」

にしていました。けさ(7月3日)の朝刊各紙と。ネットで見た放送各局は、

【1万円札・5千円札・千円札】

=読売・朝日・日経・日本テレビ・テレビ朝日・フジテレビ・テレビ東京

【1万円札・5000円札・1000円札】

=毎日・TBS(ほとんど「新紙幣」と)

【一万円札・五千円札・千円札】

=産経・NHK・「ミヤネ屋」

でした。

こんなこと気にしている人は、少ないんでしょうねえ。

 

(2024、7、3)