9217「予洗いと前洗い」

2023 . 12 . 7

9217

 

テレビのコマーシャルを見ていたら「台所洗剤」の宣伝で、

「食洗器にかける前に『ヨアライ』しなくちゃいけないし」

というように、「ヨアライ」という言葉が出て来ました。多分、

「予洗い」

だと思います。そして次は「洗濯洗剤」のCМで、今度は「マエアライ」という言葉が出てきました。これは間違いなく。

「前洗い」

ですよね。この「予洗い」と「前洗い」はともに、

「食器や洗濯物を、食洗器や洗濯機に入れる前に、あらかじめ汚れの酷い箇所などを軽く洗っておくこと。」

を意味すると思われます。ではどのように「使い分け」がされているのでしょうか?

「広辞苑」「明鏡国語辞典」「新明解国語辞典」「デジタル大辞泉」「精選版日本国語大辞典」という5種類の国語辞典を引きましたが、どちらの言葉も載っていませんでした。

そこで新しい言葉を一早く取り入れることで知られる「三省堂国語辞典・第八版」を引いてみましょう!勝負だ!

すると、

*「よあらい(予洗い)」→よせん(予洗)

と、「空見出し」ながら載っていました!さすが!

そして「よせん」を引くと、

「よせん(予洗)」=したあらい。予あらい。

とありました。そうか、

「下洗い」

なら、なじみのある言葉ですよね!「前洗い」は載っていませんでした。

そうか、「下洗い」なら、他の辞書にも載っているかな?引いてみたら、

「広辞苑」「新明解国語辞典」「デジタル大辞泉」「精選版日本国語大辞典」には載っていました。(「明鏡国語辞典」にはどちらも載っていませんでした)また、「予洗(よせん)」という言葉も「広辞苑」「新明解国語辞典」「精選版日本国語大辞典」には載っていました。

思うに「予洗」という言葉は「予選」と同音で分かりにくいのでそれを忌避して、

「予洗い」

になったのではないか?もしくは「予洗」の「洗」だけ、わかりやすく「訓読み」にして「あらい」にしたのかもしれません。

疑問は、もともとあった「下洗い」という言葉は、どこへ行ったのか?ということです。

「下洗い」の「下」は、「下調べ」「下準備」「下処理」と同じで、

「事前の」「前段階での予備的な」

という意味でしょうけれど「明鏡国語辞典」の「下」には、そういった意味は載っていません。これは載せるべきだはないでしょうかね?

 

(2023、12、7)