8119「持衰(じさい)・持斎」

2021 . 7 . 5

8119

 

 

ヤマザキマリさんと中野信子さんの対談集、

『生贄探し~暴走する脳』(講談社+α新書)

を読んでいたら、

「持衰(じさい)」

という言葉が出て来ました。(127ページ)

なんでも『魏志倭人伝』に出て来る言葉で、意味は、

「船に乗り込ませて、時化の時に生贄にするための存在」

だそうです。初めて知った言葉です。こわっ。

へえーと思って、一旦途中で読むのを中断し、別の漫画雑誌(ビッグコミック・オリジナル)で、

『卑弥呼』(リチャード・クー:作、中村真理子:画)

という漫画を読んでいたら、なんとこちらにも、漢字は違いますが、

「持斎(じさい)」

という言葉が出て来たのです!そこには、

「持斎とは、舟乗り全員の運命(さだめ)を背負う役だ。舟が災難に見舞われたり、舟乗りの誰かに不幸が降りかかれば、持斎は身代わりに命を差し出さねばならない。」

と説明されていました

これって偶然!?

「同じ日の同じ時間の続き」これまで知らなかった言葉が出て来る偶然の確率はどのくらいなのだろうか?と思いました。

『精選版日本国語大辞典』には、「持斎」の表記で載っていましたが、意味は、

「(1)仏語。仏門にはいった人が、午後、食事をしないこと。すなわち非時食戒をたもつこと。在家では六斎日にこれをまもる。(2)他との交わりを断って、もっぱら自分の後生のために戒律を守る生活をすること。また、その人。」

とあり、ちょっと意味が違うような。

『広辞苑』でも「持斎」は、

「(1)戒律を守って身心を清浄(しょうじょう)に保つこと。(2)八戒を守ること。特に正午を過ぎて食事をしないこと。」

とあって、やっぱりちょっと違う。(1)は「六根清浄」かな?

いずれにせよ、なぜか同時に見つけてしまった、私にとって新しい言葉でした。

 

(2021、7、5)