<2013年7月12日に書きかけたまま、ほったらかしでした。ちょっと古いですが>
新聞用語懇談会の放送分科会で、こんな質問をしました。
「番組スタッフから、タレントのローラのお母さんが『日本人とロシア人のクォーター』なのだが、この『クォーター』という表現は使っていいのか?と質問を受けました。ニュース番組では『ハーフ』という言葉の使用はあまり好ましくないと言っているので、そこから考えると『クォーター』も好ましくないであろうことはわかるのですが、もともとあまり使われることがない言葉で、まだ手垢が付いていない(差別的な感じがしない)ことと、言い換えが困難なので、今回はOKとしたのですが、各社こういった状況ではどのように表現されているでしょうか?」
これに対する各社の意見は、
(NHK)「ハーフ」は使わない。「クォーター」はあまり出て来ないが、使わない。本人が言ったコメントなら仕方がないが「母方の祖母がロシア人」というように言い換えるかもしれない。
(TBS)今回「クォーター」という表現を使った。
(テレビ朝日)情報系番組で、スポーツ紙を紹介する際に読み上げることはあるかもしれない。今回は「父親」の事件なので、母親のことは触れない。「ハーフ」は基本的には使わないが、年代によって持っているイメージが違う。年配者は差別的なニュアンスを持っているが若い年代にはない。「ハーフ」の社員がいるが、本人が使っている。絶対ダメではないが、ナレーション原稿などでは使わずに書き換える。「クォーター」の実例はないが、基準は「ハーフ」に準じる。
(フジテレビ)「ハーフ」は報道では使わないようにしている。「父は○○人、母は▽▽人」。「クォーター」に関しては決めていないが、説明しにくい。しかし、「ハーフ」がダメなら「クォーター」もダメだろう。使わないほうが良い。情報系番組は使うかもしれないが。
(テレビ東京)当社は「ワイドショー」がないので…。「ハーフ」は積極的には使わないが「父は…母は…」とすると長くなるので「容認」しているのが実情。
(共同通信)「ハーフ」も「クォーター」も使わない。過去の原稿にも使用例なし。
(TBS)「ハーフ」の社員(20~30代)は「全く差別感はない」と言う。ただし課題としては、「ハーフ」を使うのは「欧米人とのハーフ」に限られていて「アジア系や南米系の人」との間に生まれた子は「ハーフ」というイメージではないというところ。どちらにも使うのなら差別的ではないが「欧米系」だけに使うなら差別感がある。「ハーフ」は容認しているが、積極的には使わない。言い換え語の「ダブル」は、全く定着しなかった。
(新聞協会・専門委員)「日本人とロシア人のクォーター」というのはローラ本人の発言のようだ。ただ新聞によっては「お母さんはハーフ」と書いている社(スポニチ)もあった。「母の両親は日本人とロシア人」(日刊スポーツ)と書いている社もあった。「ハーフ」に関して、新聞は半分の社は「絶対ダメ」、残り半分は「慎重に扱う」というような姿勢。
あれから「8年」経って、状況はどう変化しているか?
そもそも「あまり出て来ない表現」なので、状況に変化は「ない」のではないでしょうかね?