8月27日の午後2時すぎ、大阪市内は「ゲリラ豪雨」に襲われました。
他局の番組を見ていたら、梅田でその「ゲリラ豪雨」のリポートをしていた若い女性アナウンサーが、こうリポートしていました。
「大雨で傘も役に立ちません。もうベタベタです」
たしかに、
「(雨で)衣服が濡れて肌にくっつく様子」
を表す擬態語は、
「ベタベタ」あるいは「ベトベト」
かもしれませんが、普通「雨で全身すっかり濡れてしまった状態を表す擬態語」は、
「ビショビショ」
なのではないでしょうか?
「ビショビショ」になったので、衣服が「ベタベタ」くっつくのであって、
「自らの主観的な肌感覚」(=ベタベタ)
より先に、
「客観的な、雨に濡れた状態」(=ビショビショ)
を伝えるべきではないかな?と思いました。
久々に『日本語 語感の辞典』を引いてみましょう。
しかし・・・『語感の辞典』に「べたべた」「べとべと」「びしょびしょ」は載っていませんでした。「べたつく」「べとつく」は載っていました。
*「べたつく」=肌などにべたべたと粘りつく意で、会話にもさほど硬くない文章にも使われる和語。
(例)「汗で髪の毛が額にべたつく」「糊がくっついて机がべたつく」
◆性質・状態を客観的に描写する感じの「ねば」系統の類義語に比べて感覚的で不快感を伴い、「人前でべたつく」のように男女がいちゃつく意の比喩的用法もある。
*「べとつく」=不快に粘りつく意で、会話や軽い文章に使われる和語。
(例)「つまむと指がべとつく」「汗ばんで肌がべとつく」
『広辞苑』では、
*「びしょびしょ」
(1)大量の雨や水が絶え間なく降り注ぐさま。(例)「雨がびしょびしょと降り続く」
(2)大量の水を含んでひどく濡れているさま
*「べたべた」
(1)ものがねばりつくさま。(例)「飴で手がべたべたする」
(2)連続して紙類を貼り付けたり、粘性のある液体を塗ったり、印などを押したりするさま。(例)ポスターをべたべた貼る
(3)親近感・甘え・愛情などを濃厚に示すさま。(例)若い男女が人前でべたべたする。
*「べとべと」=物がねばりつくさま。(例)汗でべとべとする。
また『精選版日本国語大辞典』では、
*「びしょびしょ」=(2)雨や水などに、しぼるほどひどくぬれるさま。
これですね!
当然「大雨」のリポートですから「自分の衣服の粘着度」ではなく「雨に濡れたこと」を表現すべきですね。
ちなみに「ベタベタ」と「ベトベト」の違いは、
「『ベトベト』のほうが粘着力がある感じ」
です。くっつき方がもう少し弱ければ、「半濁音」を使った、
「ペタペタ」「ペトペト」
になりますね。
こういう話を突き詰めると、
「ヘトヘト」
になります。


