7674「雨でべタベタ?」

2020 . 8 . 27

7674

 

8月27日の午後2時すぎ、大阪市内は「ゲリラ豪雨」に襲われました。

他局の番組を見ていたら、梅田でその「ゲリラ豪雨」のリポートをしていた若い女性アナウンサーが、こうリポートしていました。

 

「大雨で傘も役に立ちません。もうベタベタです」

 

たしかに、

「(雨で)衣服が濡れて肌にくっつく様子」

を表す擬態語は、

「ベタベタ」あるいは「ベトベト」

かもしれませんが、普通「雨で全身すっかり濡れてしまった状態を表す擬態語」は、

「ビショビショ」

なのではないでしょうか?

「ビショビショ」になったので、衣服が「ベタベタ」くっつくのであって、

「自らの主観的な肌感覚」(=ベタベタ)

より先に、

「客観的な、雨に濡れた状態」(=ビショビショ)

を伝えるべきではないかな?と思いました。

 

久々に『日本語 語感の辞典』を引いてみましょう。

しかし・・・『語感の辞典』に「べたべた」「べとべと」「びしょびしょ」は載っていませんでした。「べたつく」「べとつく」は載っていました。

 

*「べたつく」=肌などにべたべたと粘りつく意で、会話にもさほど硬くない文章にも使われる和語。

(例)「汗で髪の毛が額にべたつく」「糊がくっついて机がべたつく」 

◆性質・状態を客観的に描写する感じの「ねば」系統の類義語に比べて感覚的で不快感を伴い、「人前でべたつく」のように男女がいちゃつく意の比喩的用法もある。

*「べとつく」=不快に粘りつく意で、会話や軽い文章に使われる和語。

(例)「つまむと指がべとつく」「汗ばんで肌がべとつく」

 

『広辞苑』では、

*「びしょびしょ」

(1)大量の雨や水が絶え間なく降り注ぐさま。(例)「雨がびしょびしょと降り続く」

(2)大量の水を含んでひどく濡れているさま

*「べたべた」

(1)ものがねばりつくさま。(例)「飴で手がべたべたする」

(2)連続して紙類を貼り付けたり、粘性のある液体を塗ったり、印などを押したりするさま。(例)ポスターをべたべた貼る

(3)親近感・甘え・愛情などを濃厚に示すさま。(例)若い男女が人前でべたべたする。

*「べとべと」=物がねばりつくさま。(例)汗でべとべとする。

 

また『精選版日本国語大辞典』では、

*「びしょびしょ」=(2)雨や水などに、しぼるほどひどくぬれるさま。

 

これですね!

当然「大雨」のリポートですから「自分の衣服の粘着度」ではなく「雨に濡れたこと」を表現すべきですね。

 

ちなみに「ベタベタ」と「ベトベト」の違いは、

「『ベトベト』のほうが粘着力がある感じ」

です。くっつき方がもう少し弱ければ、「半濁音」を使った、

「ペタペタ」「ペトペト」

になりますね。

こういう話を突き詰めると、

「ヘトヘト」

になります。

 

 

(2020、8、27)