7523「『接客』と『接待』」

2020 . 6 . 16

7523

 

新型コロナウイルスのために中止になった6月の新聞用語懇談会放送分科会。その代わり各社からの疑問が提出され、メールで回答することになりました。

フジテレビの委員から以下のような質問が出されました。

「風営法の『接待飲食等営業』から来た言い回し『接待を伴う飲食』の誤用(?)ととれるのですが、会見等で『接客を~』と発言するケースがままあり、この場合どのように対応していらっしゃいますか。」

 

実は同じようなポイントを突いたメールが、その前に元NHKのHさんから届いていました。それによると、

「『接客』を伴う飲食店」と「『接待』を伴う飲食店」の2つの表現を見たり聞いたりするがこの場合は『接待』が正解。『接客』は誤解から生じたもの。「『接客』を伴わない飲食店」はほとんど存在せず、「『接待』を伴う飲食店」というのは『ナイトクラブ』や関西風の『ラウンジ』のように、女性が隣に座ってサービスするような店を指している。カウンターだけのバーなどは『接客』は当然するが、『接待』はしない。一般的な飲食店と全く同じ扱いだ。当初、自治体の長などが『接待』と『接客』を混同して発言していたこともあり、マスコミもそれを修正せずにそのまま使用していたことから『接待を伴わない飲食店』が営業していると自粛警察からバッシングを受けるというような『誤解』が生まれた。」

という内容でした。

それも受けて、用語懇談会には、私は次のように答えました。

 

「ミヤネ屋では全て『接待』に直しています。会見で『接客』と言っていても、文脈で判断して『接待』の意味ならば『接待』に直しています。しかし中には『接待』と聞くと『企業の接待飲食』と誤解する人もいるかもしれません。6月3日の午前の官房長官会見から、政府としては『接待を伴う飲食店』と言う場合には、飲食店の具体例として『キャバレー』と『ナイトクラブ』などと付けるようになったとのこと。必ず言わなければならない訳ではないが、背景には『普通の料理屋さん』にお客さんが来なかったり、バーや飲食店、料亭から『区別してほしい』という陳情などがあるからだとのことです。なお、『風営法』(=風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)では、客を接待する飲食店は『接待飲食等営業』で公安委員会の許可を取らなければならないと定められています。キャバクラやホストクラブがその典型です。そして『接待』とは『歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと』と定義されています。具体的には、客の気持ちに応えるため営業者側が積極的な行為として『談笑・お酌等』『ショー』『歌唱等』『ダンス』『遊戯等』『客と体を密着させたり、客の身体に接触する行為』『客の口元まで飲食物を差し出し、客に飲食させる』などの行為を行うことと、事細かに記されています。」

ということです。

 

(2020、6、12)