去年10月に亡くなったイラストレーターでエッセイスト、映画監督の才人・和田誠さん(1936、4、10~2019、10、7)。平野レミさんの夫で、上野樹里さんの舅。息子さんはバンド「トライケラトプス」のリーダー。
この本は7年前に出た時に買って「積ん読」になっていた。ようやく読んだ。
「聞いたり」は和田さんがインタビュアーになってインタビューした内容。
「聞かれたり」は、逆に和田さんがインタビューされたもの。
これらは、和田さんが関わっていた『話の特集』と『キネマ旬報』という雑誌でインタビューしたものですね。
すごい人だったなあと改めて感じる。
30年来、毎週購入してる『週刊文春』の表紙のイラスト、いまだに和田さんの絵が使われている。もう、変えられないものね。ぜひ続けてください。
それで和田さんがインタビューした相手がまたスゴイ!
「勝新太郎・森繁久彌・立川談志・太地喜和子・内藤陳・岩城宏之。」
全員、すでに「故人」である。もう、話は聞けない。
それは「あとがき」で和田さんも書いているが、別に「亡くなった方ばかりを集めよう」としたのではないそうです。たまたま。そして和田さんも「故人」になってしまったわけですが・・・。
全部、おもしろい。相手のことを、本当に和田さんがよく知っているし、好きだからこそ成り立つインタビューですね。文字通り、
「inter(内面へ?)」を「view(のぞく)」
ができています。本当はこの本に載せたかったのに載せられなかった人は「坂本九」と「向田邦子」だったと書かれているけど・・・お二人とも飛行機事故で亡くなってらっしゃいます・・・。
そして和田さんが「インタビューされた」のは、自分が監督として撮った4本の映画に関するインタビュー。最初の一本は、阿佐田哲也(「朝だ!徹夜」の駄洒落ペンネーム)原作の
『麻雀放浪記』。
これは、角川春樹さんと話している時に「脚本を書きたい映画はある?」と聞かれて答えて、「絵コンテつきの脚本」を角川さんに見せたら、絵コンテを見た角川さんから、
「これならもう『監督』をやって撮ったら?」
と言われて「監督」をすることになったと。
そして和田さんの映画には欠かせない、
「真田広之さん」
だが、最初、その役には、
「松田優作さん」
を当て込んで、本人も乗り気そうに見えたけど、
「主役じゃなきゃ、嫌だ」
というようなことで流れて、真田さんになったと。それは知りませんでした。
きのう、東京高検の黒川検事長が「賭け麻雀」を『週刊文春』にすっぱ抜かれて「辞職」に追い込まれたが、『週刊文春』と言えば「和田誠さん」ではないか!その和田誠の初監督作品が『麻雀放浪記』って、全てはつながっているな!
黒川検事長の「賭け麻雀」で阿佐田哲也『麻雀放浪記』を思い浮かべたのは、私だけではなく、けさ(5月22日)の日経新聞朝刊1面のコラム「春秋」でも触れていた。やっぱり、そうなるよね。その、
「麻雀放浪記」→「映画」→「和田誠」→「週刊文春」
に、つなげればよかったのに!