新・ことば事情
7366「ソープ・オペラ」
新型コロナウイルスの感染者のクラスター(小規模な集団感染)の場所の一つとして、2月15・16日にライブが行われた大阪・京橋のライブハウス、
「アーク(Arc)」
が挙げられています。そこでの感染者が、別のライブハウスにも行っていて感染を広げてしまったようです。そのライブハウスというのは、大阪・西天満にある、
「Soup opera classics-Umeda-」(ソープ・オペラ・クラシックス-ウメダ-)
というお店です。
3月4日の夜にその発表をした大阪府の吉村知事に対して、取材陣から出た質問にテロップを出す際に、「ミヤネ屋」の若いスタッフが、こういうものを発注しました。
「<Q>ソープも全部検査するんですか?」
その昔、
「トルコ風呂」
と呼ばれた「特殊浴場」がありました。それを知った、トルコ人留学生のサンジャクリさんは、自国の国名が性風俗の名前に付けられていることを知り、しかもそれが伝統的なサウナのような「トルコ風呂」とは似ても似つかないものであることを知って、国の名誉のためにも、「名称の変更」を日本政府に求めました。その要請を受けて、当時の渡辺恒三厚生相(まだ、「労働省」と合体していなかった)は、名称を変えるよう指示して決まった名前が、
「ソープランド」
通称、
「ソープ」
だったのです。1984年(昭和59年)の話、私が入社した年。「昭和」の時代です。
ですから、いくらライブハウスの名前
「ソープ・オペラ・クラシックス-ウメダ-」
が長くても、
「ソープ」
と略してしまうのは、いかがなものか?と思い、テロップは、
「<Q>『ソープ・オペラ』も全部検査するんですか?」
に変更して放送しました。
(余談ですがそういえば水泳で「イアン・ソープ」という名前・名字の選手もいましたね。)
ちなみにこの、
「ソープ・オペラ」
の日本語訳は、
「昼メロ」(昼のメロドラマ)
です。アメリカのTVでお昼に放送していた「メロドラマのスポンサー」が、
「石けん(ソープ)の会社」
つまり「P&G」とか「ジョンソン&ジョンソン」とか、日本だと「花王」とかの「家庭用品」「洗剤」の会社だったところから付いた俗称です。テレビマンなら、知っているはずです。