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『道浦TIME』

新・ことば事情

7353「『じょうよ』か?『じょうよう』か?」

9か月ほど前になりますが、漫画雑誌『ビッグコミック』(小学館)の2019年5月25日号、黒鉄ヒロシの「赤兵衛」という漫画。「赤兵衛」は「あっかんべえ!」の意味でしょうね。「あかひょうえ」の「ひょう」が、なぜ「べ」になるのか?

というのは、さておき、この回では、「餅」が集まって談義をしています。「こどもの日」の「柏餅」とか、その辺の時期に描かれたんでしょうね。「談義」やなあ、いや、「難儀」やなあ。その中に、

「じょうようマンジュウ」

という表記がありました。これは漢字で書くと、

「薯蕷饅頭」

です。

『広辞苑』によると、読み方は、

「しょよまんじゅう」

なのです。

「ヤマイモの根をすり少量の糝粉(しんこ)を加えて皮とし、餡(あん)を包んで蒸した饅頭。上用(じょうよう)饅頭。」

とあります。

『精選版日本国語大辞典』にも「ショヨ(薯蕷)」は載っていて、読み方として、

「ジョヨとも」

と書かれています。『三省堂国語辞典』『岩波国語辞典』『現代国語例解辞典』には載っていませんでした。

思うに、最初は「薯蕷」を正しく「ショヨ饅頭」と言っていたのが、

「自然薯(ジンンジョ)の薯(ジョ)」

なので「ジョ」と読んで、

「ジョヨ饅頭」

と言う人が出て来て、さらにこの饅頭自体が概ね、

「お祝いの席の紅白饅頭」

なので、

「上用(ジョーヨー)饅頭」

と言ったり書いたりする人が出て来たのではないでしょうか。

また「ジョー・ヨー」と2拍伸ばすほうが言いやすい、というのもあるのではないでしょうか?

それにしてもこの言葉、小さい辞書でも載せたらいいのに、なぜ載っていないんだろうか?

(2020、2、20)

2020年2月21日 18:31