新・ことば事情
7346「モーニング」
近くの写真スタジオの店舗の前に、こんな2本の「のぼり旗」が立っていました。
「成人式」「モーニング」
なるほど、成人式の振り袖の写真を撮る娘さんと一緒に、モーニングを着てお父さんも映るのかな?と一瞬、思いましたが、さにあらず。よく見るとその「のぼり」には、
「モーニングセット」
と書かれています。
そうなんです、この「写真スタジオ」、以前はその建物全部で写真スタジオ・貸衣装をやっていたんですが、数年前から写真スタジオ部分を縮小して、店の面積の3分の2が、
「喫茶店(カフェ)」
になっており、そのカフェで、
「モーニングセット、やっています」
という「のぼり」だったんですね。
ここで考えたのが「モーニング」という言葉。この場合「朝の」という意味の英語由来の外来語ですね。でも、形容詞として使われているわけですから、本来は、
「モーニング〇〇〇〇」
というように、
「後ろに、形容される名詞が来るはず」
ですが、それを省略して「モーニング」と言っているわけです。この場合カフェは、
「モーニングセット」
の「セット」を省略しています。私が一瞬、勘違いした、
「礼服のモーニング」
は省略しなければ、
「モーニングコート」
ですね。普通は「コート」を省略して「モーニング」と言っていると。省略しないことももちろんありますが。そのほか「モーニング」の後ろに何か付くものは、『広辞苑』で見てみると、
「モーニングカップ」
「モーニングコーヒー」
「モーニングコール」
「モーニングショ-」
がありました。「モーニング」だけで後ろを省略するのは「モーニングコート」と「モーニングセット」ぐらいですかね。だとするとこれは、
「奇跡のコラボによる誤解」
だったのかもしれません。