新・ことば事情
7345「頭重感」
新型コロナウイルス感染者の症状に、「倦怠(けんたい)感」とともに、
「頭重感」
という言葉が出て来ました。
「頭が重く感じる」
ということだということは、すぐにわかったのですが、これは何と読むのでしょうか?
「ズジューカン」?
「ズチョーカン」?
「ズオモカン」?
友人の内科医・O西君に聞いてみたところ、
「スジューカンです」
と、すぐに返事が返ってきました。初めて聞いたわ、この言葉。
この言葉は「国語辞典」に載っているのか?
「ズジュー(頭重)」で、手元の24種類の国語辞典を調べてみました。
×デジタル大辞泉(電子辞書)
×NHK日本語発音アクセント辞典・新版(1998)
×新潮現代国語辞典(2版・2000)
×明鏡国語辞典(初版・2002~2006)
×精選版日本国語大辞典(2006)
×明鏡国語辞典(2版・2011)
×旺文社標準国語辞典(7版・2011)
×新選国語辞典(9版・2011)
×新明解国語辞典(3版・1985)
×新明解国語辞典(4版・1992)
×新明解国語辞典(5版・2000)
×新明解国語辞典(6版・2005)
×新明解国語辞典(7版・2012)
〇三省堂国語辞典(5版・2001)
〇三省堂国語辞典(6版・2008)
〇三省堂国語辞典(7版・2014)
×現代国語例解辞典(5版・2016)
×NHK日本語発音アクセント新辞典(2016)
〇広辞苑(6版・2008)
〇広辞苑(7版・2018)
×大辞林(4版・2019)
×岩波国語辞典(7版・2009)
×岩波国語辞典(8版・2019)
×三省堂現代新国語辞典(6版・2019)
ということで「三省堂国語辞典(5~7版)」「広辞苑(6・7版)」にしか載っていませんでした。この中で「三省堂国語辞典7版」(2014)は「ずじゅう」は空見出しで「医学用語」と。そして「→」で「ずおも」を見よとなっていますが、なぜか用例は「頭重感」と載っています。「頭重感」に関しては「ズジューカン」と読むということでしょうか。
「ずおも」
を引くと、
*「ずおも(頭重)」(1)頭が重苦しく感じられること。ずじゅう。(2)簡単に、人に頭を下げないこと。
と載っていました!そこで「ずおも」も、改めて引いてみると、
〇デジタル大辞泉(電子辞書)
〇NHK日本語発音アクセント辞典・新版(1998)
〇新潮現代国語辞典(2版・2000)
×明鏡国語辞典(初版・2002~2006)
〇精選版日本国語大辞典(2006)
△広辞苑(6版・2008)
×明鏡国語辞典(2版・2011)
×旺文社標準国語辞典(7版・2011)
〇新選国語辞典(9版・2011)
△新明解国語辞典(3版・1985)
△新明解国語辞典(4版・1992)
△新明解国語辞典(5版・2000)
△新明解国語辞典(6版・2005)
△新明解国語辞典(7版・2012)
〇三省堂国語辞典(5版・2001)
〇三省堂国語辞典(6版・2008)
〇三省堂国語辞典(7版・2014)
×現代国語例解辞典(5版・2016)
〇NHK日本語発音アクセント新辞典(2016)
〇広辞苑(7版・2018)
〇大辞林(4版・2019)
△岩波国語辞典(7版・2009)
〇岩波国語辞典(8版・2019)
〇三省堂現代新国語辞典(6版・2019)
と、なんと「ずおも」は「24種類中19種類」の辞書に載っているではないですか!「ずおい」は、古くからある言葉なんですね!知らなかった。
ただ、△の「広辞苑・第6版」「新明解国語辞典3~7版」「岩波国語辞典第7版」は、「ずおも」に「3つの意味」が載っていますが、
(1)頭の方が重いこと。
(2)他人になかなか頭を下げない態度。
(3)相場が上がり気味でありながら、上がらずにいる状態。
として、
「頭がぼんやりと重い」
という意味の「頭重感」の意味は載っていませんでした。
他の辞書は「ずじゅうかん」の意味を載せているものもありました。
それにしても「ずおも」も「ずじゅうかん」も知らない言葉でした。
「ズジュー」という読み方のほうが、新しいようですね。