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『道浦TIME』

新・ことば事情

7325「おし照る」

1月16日、皇居では「歌会始の儀」が行われました。

「ミヤネ屋」でも、その様子などをご紹介しようと準備をしていました。

その際に、皇后さまの過去のお歌(皇后さまのお歌は、皇室用語(=宮内庁)では「御歌(みうた)」、天皇陛下のお歌は「御製(ぎょせい)」と言いますが、放送では「お歌」と言います)も、VTRの中に出て来て、平成5年(1993)6月のご成婚の2か月後の、平成5年(1993)8月、滋賀県を訪問された際に琵琶湖畔で読まれたお歌、

『君と見る 波しづかなる 琵琶の湖(うみ)

さやけき月は 水面(みのも)おし照る』

もありました。そのお歌を「吹き替え」で読む、林マオアナウンサーが、

「この『水面(みのも)し照る』の『おし照る』はどう読めばいいでしょうか?」

と質問してきました。

「おし照る」=「押し照る」

だと思いましたが、でも、もしかしたら「お」は実は、

「助詞の『を』」

で、「し」は、

「強めの『し』」

かもしれないとも思いました。しかし、その場合「し」は「名詞」に付き「助詞」には付かないだろうから、やはりこれは、

「押し照る」

であろうということで、『精選版日本国語大辞典』で「押し照る」を引くと載っていました。

*「おしてる(押照)」=(「おす」は日や月などの光が威力を一面に及ぼす意)光がくまなく照る。一面に照る」

として、8世紀後半の「万葉集」から用例が採られていました。

あ、そうか、

「おしなべて」「おし黙って」

「おし」ですね!漢字だと、意味的には「圧(お)し」かもしれませんが。

現在の「話し言葉(口語)」では、あまり出て来ない「おし」でした。勉強になりました。

が、この日はこのVTRは放送されませんでした...。

(2020、1、16)

2020年1月16日 18:24