新・ことば事情
7324「五エ門」
『ルパン三世』の作者である、
「モンキー・パンチさん」(本名・加藤一彦さん)
が、2019年4月11日に81歳で亡くなり、そして『ルパン三世』のアニメで初代「石川五ェ門」役を務めた声優の、
「井上真樹夫さん」
が、11月29日に80歳で亡くなったというニュースを見ました。
井上さんは「五ェ門」の声のほか、『巨人の星』では「花形満」役、『宇宙海賊キャプテンハーロック』の「ハーロック」役、『キャンディキャンディ』の「アルバート」役も務めた、渋いクールな声の声優さんでした。謹んで哀悼の意を捧げます。
さて、もうかなり前になるのですが、4月18日の「ミヤネ屋」で、モンキー・パンチさんの訃報をお伝えした際に、誤って、
「石川五ェ衛門」
とテロップを出してしまいました...。
「ェ」は「小さい」
というところには気付いて、大きな「エ」で発注されたテロップの「エ」を、小さく「ェ」に直したのですが、「衛」は見落としました...。これだと、
「ゴエエモン」
ですよね...。「エ」(衛)が1つ多い。本物の大泥棒は、
「石川五右衛門」
で「右」と書いて「エ」と読むのですから、ややこしいんですよ。
その翌日の4月19日『読売新聞』朝刊1面の「編集手帳」で、モンキー・パンチさんの訃報を取り上げていましたが、その中では、「ルパン三世」の登場人物、
「石川五右ェ門」
と「右」が入った名前になっていました。夕刊で訂正が出るかなあと思ったのですが、出ませんでした。そこで、元読売新聞・校閲部の関根健一さんにメールで伺ったところ、
「原作漫画では『石川五右ェ門』、アニメでは『石川五ェ門』です。
『編集手帳』は『原作漫画』のことを書いているので、『右』が入るのが正解。
出稿段階でごっちゃになっていることが多いので、校閲部では慎重にチェックしているとのことでした。」
というお返事を頂きました。なんと!「原作漫画」と「アニメ」でも違うのか!!
これは注意しないといけないですね。
井上真樹夫さんの訃報を伝えた『読売新聞』12月3日の記事では、
「人気アニメ『ルパン三世』の石川五ェ門役などで知られる声優の井上真樹夫さん」
と、ちゃんと、
「小さいカタカナの『ェ』」
でした。
ところが、「ウィキペディア」で「石川五ェ門(ルパン三世)」を検索してみたところ、こう記されているではないですか!
『シリーズにより名称には様々な表記がある。原作では「五右ェ門」。パイロットフィルムでは「五右ヱ門」。『TV第1シリーズ』では「五右ヱ門」(オープニング)/「五ヱ門」(エンディング、第5話サブタイトル)、『TV第2シリーズ』以降の作品では長らく「五右ェ門」表記が基本設定だった。しかし作品によって違いがあるが、TVスペシャルシリーズ以降のアニメ作品においては、ほとんどの場合に「五エ門」と表記されている。』
そんなにバリエーションがあるのですか!・・・あんまり考えていなかったんだなきっと。でも思った以上に長いシリーズになって、整合性がなくなっちゃったというあたりが正解ではないですかねえ・・・。