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『道浦TIME』

新・ことば事情

7337「当面の間2」

1月29日の読売テレビのお昼のニュースを見ていたら、こんな言葉が出て来ました。

「当面の間」

あれ?これは「重複表現」ではないの?「当面」「間」が。

ということで辞書を引くと・・・・あれ?「当面」に「期間を指す意味」が載っていないぞ。

「差し当って」

ぐらいの意味しか載ってないな・・・そうか、これは正しくは「当面」じゃなくて、

「当分」

だ!「当分」を引くと、その中に、

「当分の間」

という表現も載っていて、この用例は何と「夏目漱石」でした。

とするとこれは、

「当分」「当分の間」

が正しいのだな。似ていますからね、「当分」と「当面」は、言葉も使われる状況も。

気付かれずに静かに間違っていそうな気がしますね。

当面、「当面の間」は使わずに、「当分の間」、間違っていないかどうか気を付けながら「当分の間」を使いたいと思います。

なおグーグル検索では(1月29日)、

「当分の間」=248万件

「当面の間」=413万件

で、なんと「当面の間」のほうが多く使われているではないですか!

NHK放送文化研究所のサイトに「当面(の間)」について書かれているのを見つけました。吉沢信さんが2012年9月号の『放送研究と調査』に書かれたものです。それによると「2011年」東日本大震災に際して「当面の間」という言葉が、NHKのニュースや行政の文書でも、よく使われたというのです。

吉沢さんは、原発事故対応やがれきの受け入れ、高台への移転などを考えると、

「『当面』より長く、『当分』より短い印象を与える『当面の間』が多用されたのではないか」

と分析しています。吉沢さんがこれを書かれてから、7年5か月が経ちますが、まだ「当面の間」が続いているということでしょうか・・・。

と、ここまで書いて「もしや以前、書いてないよな」と、自分の原稿を検索したら・・・なんと6年前(2013年12月)に書いていました。「平成ことば事情5316当面の間」。

(2020、1、29)

2020年1月30日 19:04

新・ことば事情

7336「目前と直前」

似たような言葉で使い分けに悩む言葉に、

「目前と直前」

があります。私が「直前」と思う所で「ミヤネ屋」のスタッフが「目前」を使うケースが多いです。今も「ミヤネ屋」のフリップをチェックしていたら、東出昌大さんと杏さん夫婦の話題で、

「別居目前」

という言葉が出て来ました。これは「目前」でいいと思うのですが、これを見て「目前」と「直前」の違いが分かりました。つまり、

*「目前」=ゴールが主観的に何となくわかっている場合。

*「直前」=ゴールが客観的にはっきりとわかっている場合。

なのではないでしょうか?

どうでしょう?

(2020、1、30)

2020年1月30日 18:58

新・読書日記 2020_011

『男はつらいよ~お帰り寅さん』(広瀬友介・編集(松竹)2019、12、27)

映画「男はつらいよ」50周年で50作目。

今は亡き寅さん=渥美清さんが亡霊のように...ではなく思い出のシーンとして登場するが、主人公は現在の50歳前の甥っ子・満男。「満男」というと、私はサッカーJリーグ・鹿島アントラーズの日本代表・小笠原満男選手を思い出しちゃいますが。

ヒロインは、高校時代に満男がつきあっていた、後藤久美子演じる「泉」。

「ああ、この手の美人の女の子は、ヨーロッパに行って暮らして年を取ると、こんな感じの美人になるんだな」

と思った。中山美穂と似ている。

ストーリーは「こんな都合の良い話はないよね」と思いながらも、見てしまう。映画だもの。

満男が泉を車で送って行くと言った時に、満男の母・さくら(倍賞千恵子)が、

「この子、こう見えて運転、上手いのよ」

というセリフには笑った。だって、実際の後藤久美子の旦那は、

「F1レーサーのアレジ」

だよ!山田監督の、ひねりの聞いた遊びのセリフだと思った。

全ての作品を見ているわけではないが、「男はつらいよ」は会社に入ってから仕事(映画紹介)で見るようになって、好きな映画になった。その記憶で見ても、泣ける。

映画のパンフレットと言えば、今は普通「800円前後」なのだが、このパンフレットはなんと「1200円」もした!「高いな」と思ったが、読んでみてびっくり!50作全部のあらすじやデータが載っているのである。安いな!これは「買い」ですよ!


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(2019、1、13読了)

2020年1月30日 18:21

新・ことば事情

7335「『LINEと来院』『誹謗中傷率と希望出生率』」

きょう(1月24日)のテレビ朝日のお昼のニュースで、中国・武漢市で発生し各地に広がってている「新型肺炎」の最新情報を伝えていました。その中で、

「連絡してからLINEしてほしい」

と読んでいるように聞こえて、

「『連絡』と『LINEする』は同じではないのか?必ず『LINE』しなくてはいけないのか?」

と一瞬思いましたが、当然これは「LINEしてほしい」ではなく、

「来院してほしい」

でした。つまり、

「LINE(ライン)」

「来院(ライイン)」

「イ」が2つ続くので、2つめの「イ」をしっかり発音しないと、

「ライーン」→「ライン」

に聞こえてしまうのです。

また、NHKのお昼のニュースでは、国会で質疑に応える安倍首相が、

「誹謗(ひぼう)中傷率」

と言ったように聞こえて、

「そんな『率』があるのか?それは"被害妄想"なのではないか?」

と思ったら、

「希望出生率」

と言ったようでした。滑舌が悪い。

まあ、こちらの耳が悪くなっていることもあるとは思いますが、

「滑舌が悪い」

というのは「誹謗中傷」ではなく「厳然とした事実」です。

(2020、1、23)

2020年1月30日 17:19

新・ことば事情

7334「24時」

1月29日の「ミヤネ屋」のお天気コーナーで、東京の、

「きのう(28日)の最高気温」

を記録した「時刻」が、

「24時」

だというのです。放送では原則「24時制」ではなく、「午前〇〇時」「午後〇〇時」を使い「24時」は使いません。また「12時」も使わず、

「昼の12時」→「正午」

それを過ぎたら、

「午後0時〇分」

また、

「夜中の12時」→「午前0時」

とします。しかしそれに従うと、

「28日の24時」=「29日の前0時」

になってしまって、

「きのう(28日)の最高気温」

ではなくなってしまいます。

ウェザーニューズに問い合わせたら、やはり、

「天気予報では『0時』を使わない」

というのです。

「それならば『午前0時10分』は『24時10分』と言うのか?それはもう『きのう』ではなく『きょう』なのではないか?どうなっているのか?」

と聞くと、

「気象台に聞いてみます」

とのこと。結論は、

「真夜中の12時は『24時』と表現するが、それを過ぎたら『午前0時10分』のように『午前0時〇〇分』と使う」

という当たり前の答えでした。

(2020、1、29)

2020年1月30日 17:17

新・ことば事情

7333「かけくだって」

2020年正月、「箱根駅伝」の2日目「復路」を見ていて「おや?」っと思った言葉は、

「かけくだって」

です。結構、各アナウンサーが使っていました。「かけおりて」は良く使いますが「かけくだって」はあまり耳にしません。往路の「山上り」では、

「かけのぼって」

が多かったと思うのですが、その「反対語」なのでしょうね。でも、あまり普段は使わない言葉ではないでしょうか?

国語辞典をいくつか引いてみたところ(明鏡国語辞典、デジタル大辞泉、精選版日本国語大辞典、広辞苑、旺文社標準国語辞典、三省堂国語辞典、岩波国語辞典、新選国語辞典、現代国語例解辞典、現代新国語辞典)、

*「かけくだる」=新明解国語辞典

*「かけのぼる」=新明解国語辞典、精選版日本国語大辞典

*「かけおりる」=デジタルヂア自選、精選版日本国語大辞典、三省堂国語辞典

しか載っていませんでした。「複合語」(複合動詞)は、比較的大きな国語辞典でないと載せていないということかな。「かけおち」は、みんな載ってたけど。「名詞」だし。

グーグル検索(1月16日)では、

「かけくだって」=  196件

「駆け下って」=1万4800件

「駆けくだって」=  205件

「かけ下って」=   717件

「かけくだる」=   467件

「駆け下る」= 3万2600件

「駆けくだる」=3万2600件

「かけ下る」=   2080件

「かけくだって」=  196件

同じような意味の「かけおりる」はどうでしょうか?

「駆け下りて」=22万4000件

「駆けおりて」=   6420件

「かけ下りて」=22万4000件

「かけおりる」=   8290件

「駆け下りる」=25万3000件

「駆けおりる」=   6300件

「かけ下りる」=25万3000件

やはり「駆け下る」よりも「駆け下りる」方がポピュラーですね。

そして、反対の意味の「かけのぼる」は、

「かけのぼって」=  5660件

「駆け上って」=25万8000件

「駆けのぼって」=  4930件

「かけ上って」= 1万3500件

「駆け登って」= 3万2500件

「かけ登って」=   4900件

「かけのぼる」= 4万4500件

「駆け上る」= 34万3000件

「駆けのぼる」= 1万7300件

「かけ上る」=    3970件

「駆け登る」= 10万3000件

「かけ登る」= 10万3000件

でした。これもやはり「駆け上る」のほうが「駆け下る」よりも「10倍」ほど、よく使われているという感じですね。

(2020、1、16)

2020年1月30日 17:11

新・ことば事情

7332「『膨大』と『莫大』の違い」

(2018年7月5日に書き始めました。)

ふと思いました。

「『膨大』と『莫大』はどう違うのだろうか?」

と。ちょっと考えて出た答えは、

「『膨大』は量が多いだけ。『莫大』は、大量の上に、価値も大きいという違い。」

というもので、例を挙げると、

×「莫大な時間」→◯「膨大な時間」

という違いですね。

(ここから、2020年1月24日に書いています。)

今朝、思いついたのは、

*「膨大」=膨大な量・ゴミ・資料=具体的に物理的量の大きいものに使う

*「莫大」=莫大な財産・富・借金・金額=経済に関する抽象的に大きい存在に使う

という違いではないでしょうかね。

1年半かけて熟成して、完成しました。

(2020、1、24)

2020年1月30日 17:09

新・ことば事情

7331「36年4月23日」

旅行の帰りに乗った個人タクシー。助手席に座って前を見ると、そこには「免許証の期限の数字」が、

「36.4.23」

と書かれていました。この、

「36」

は、果たして「令和」か「平成」か、「西暦2036年の下2ケタ」か?

運転手さんに聞いたら、

「去年の3月に取ったんで、それは『平成』です」

とのこと。免許、「5年」しか有効じゃないからね。もし、

「令和36年まで有効」

だったら、免許更新まで、「あと32年ぐらい」あることになりますからね。運転手さん、60歳代みたいだったし、「エラいお年」になってしまいます。

「西暦2036年まで有効」

だと「あと16年」で、

「平成36年まで」

だと「あと4年」です。絶対に来ない前の元号「平成」が、一番現実的です。

それにしても、去年の3月の時点では、もう、

「『平成』は『平成31年4月』で終わり」

なのは、わかっていたのに、

「平成36年4月23日」

という表記は、どうなんだろう?まあ、そうは言っても、私の免許証も、

「平成32年まで有効」

になっていますが。こんな時は、やはり、

「西暦」

で書いた方がいいのに、「お役所は融通が利かないな」と思いました。

(2020、1、22)

2020年1月30日 17:07

新・読書日記 2020_010

『令和二年 大相撲力士年鑑』(「相撲」編集部編、ベースボール・マガジン社:2020、1、20)

年に一回しか出ないけど、楽しみにしているんです、これ。毎年「1月15日」に出るのでその日に本屋さんに行ったけど、見つからない。3日連続で本屋さんに行って捜したけどなかったので、しばらくして注文して届きました。ことしは「1月20日」になっていました、発行日が。言っといてよね、そういうことは!

とにかく中身の充実がスゴいんです!しかも今年はさらにパワーアップして巻末に「最新地位別裏方一覧」や「年寄職務分掌」「2019年回顧」のページも!そうそう、「稀勢の里引退」から始まったんだよな、「平成31年」というか「令和元年」。去年のこの「名鑑」の表紙を横綱・稀勢の里は飾ったのに、今は荒磯親方。そして実は今年も、表紙を飾った横綱2人・大関2人の合計4人の力士のうちの一人である「大関・豪栄道」が引退してしまいました。去年は6人、写真に写っていたのに、今年は4人で、そのうち1人が引退では寂しい。貴景勝には頑張ってもらわないと。

ことしも「名鑑」、お世話になります!


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(2020、1、28購入読了)

2020年1月30日 17:00

新・読書日記 2020_009

『日本語をつかまえろ!』(飯間浩明・文、金井真紀・絵、毎日新聞出版:2019、11、30)

飯間さんが「毎日小学生新聞」に連載していたコラムをまとめたものだそうだ。大活躍ですね、飯間さん!今年1月からは読売新聞・日曜の「読書欄」の書評委員にもなったし!これは「イラスト」もかなりのウエイトを占めていて、かわいいし、よくできています。飯間さんの文章をかなり読み込まないと、このイラストは描けません。小学生にはちょっと難しいかもしれない内容を、易しく書いていて、中・高生はもちろん、大学生も大人も読んで「フムフムなるほど」と納得しますよ。

「日本語って面白いなあ」「日本語が面白いって思わせる飯間さんは、凄いなあ」と思いますよ、きっと。


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(2020、1、28読了)

2020年1月30日 16:58

新・読書日記 2020_008

『隠蔽捜査8 清明』(今野敏、新潮社:2020、1、20)

少しネタバレ。

この週末、元ソフトバンクの社員がロシアのスパイに情報を渡していたとして逮捕された。スパイ、活動してるんだ、日本で・・・。というニュースの中、この本を読んだ。こちらは中国のスパイが出て来る。

このシリーズは大好きで、主人公の竜崎警視正、キャリアで40代後半なのに警視庁・大森警察署長に"左遷"されて、普通は警察を止めるのに黙々と与えられた任務を全うする。今度は神奈川県警の刑事部長に"栄転"してすぐの物語。

気になった表現や内容のメモ。「れっきしとした」の使い方。

*「れっきとした刑事事件だ」(107ページ)

*「日本はれっきとした民主国家だよ」(153ページ)

*警察は住所を知るために、宅配業者の配達記録を調べる(138ページ)

ところどころ、話の本筋とは関係なしに著者の思いが、竜崎など登場人物の口を借りて出て来る。例えば、153ページ。

『伊丹が苦笑を浮かべる。

「言論の自由を求めて、この日本にやってくるとは皮肉な話だな」

竜崎は言った。

「日本はれっきとした民主国家だよ」

「本気で言っているのか」

「勿論本気だ。少なくとも、そういう制度になっている。それが北朝鮮なんかとは違うところだ。中国ともロシアとも違う。」

「おまえのようにたてまえを信じられれば幸せだよな」

伊丹がそう言うと立ち上がった。』(153ページ)

言葉遣いに関しても、登場人物に「著者の私見」をしゃべらせる。

『「では、私に気を許してくださったと考えさせていただいてよろしいのですね」

まどろっこしい言い方だ。最近は、特に謙譲語を多用し過ぎる気がする。「...させていただく」という言葉が耳につくのだ。

もしかしたら、芸能人がテレビなどでそれを多用するからかもしれない。いずれにしろ、慇懃無礼に感じる。

芸能界はしきたりが多く、自然とそういう話し方が身につくのかもしれないが、一般視聴者を対象とする番組の中でまでそんな言葉遣いをする必要はないと、竜崎は思う。』(159~160ページ)

195~196ページには、「中国人の名前は漢字で書いて、何で現地読みをしないんだ?」という疑問を呈する竜崎が、奥さんに「そんなのヨーロッパだって、ロシアのピョートル大帝がピーターだったり、カエサルがシーザーだったりするじゃないの」と一蹴されているのが面白い。

本書のタイトルの「清明」は「二十四節気の一つ」だが、それがなぜタイトルになったのか?それは中華街の料理店で見つけた「杜牧」の詩に由来する。

詳しくは読んでみてね!


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(2020、1、26読了)

2020年1月30日 16:57

新・読書日記 2020_007

『オリオンと甘夏』(増山実、角川書店:2019、12、12)

オシャレなタイトルからは想像がつかないが、実はこれは「落語(家)」「噺家」のお話、「甘夏」というのは、主人公の女性落語家の芸名なのだ。オリオンは、星座の「オリオン座」で、重要な伏線となっている。舞台は大阪だが、九州も出て来る。広島・愛媛も。大体「西日本」やな。いろいろ話は予想外の方向に進んで行く。でも、現代の話。そして未来の話。

著者の増山さんは、以前「ミヤネ屋」の構成作家としても一緒にお仕事をさせていただいた時期もある。今やもう本格的な「作家」だ。でも時々、社内で会うけど。先日、お会いした際に「新刊出ました!」と教えてもらって購入、さっそく読みました。

いきなり、師匠が失踪した甘夏が一人前の落語家になって行く話。面白い!しかも舞台が大阪だから、なじみみもあるし。熊本・水俣は、やや唐突感があったが、これもちゃんと伏線は張られている。「伏線」が凄いね、増山さん!

増山さんは「失跡」という言葉を使っているけど、それは以前「踪」の字が「表外字」で使えなかったので、その言い換えとして使われていた言葉。2010年に「踪」が常用漢字になったから、今は「失踪」とルビなしで書けるんですよ。使った方がいいなあ。校閲担当としては、それが気になりました。


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(2020、1、20読了)

2020年1月30日 16:55

新・読書日記 2020_006

『宇宙を目指して海を渡る~MITで得た学び、NASA転職を決めた理由』(小野雅裕、東洋経済新報社:2014、5、8第1刷・2019、3、23第2刷)

この本、大阪の小さな本屋さんがプッシュして、すごく売れた「良い本」だと、SNSで薦めていたので購入。タイトルがオシャレ。夢があるよね。サブタイトルにあるように

「MITで得た学び、NASA転職を決めた理由」

宇宙飛行士を目指すんじゃないけど、NASAかあ。東大出てMITと言うだけで「超エリート」、我々とは関係なさそう。しかも1982年生まれって、まだ37歳か38歳じゃない。普通なら「ケッ!」と思いそう。実際、最初のほうを読んでいたら、正直言って、

「なんか嫌な感じ」

だった。でも読み進めるうちに、著者は著者なりの挫折を感じ、それでも「『やりたいこと』を貫くには、どうすればいいか」などを学び・工夫しという過程は「なるほど」と思う。

私などから言うと著者は「子どもの世代」なので、「ケッ!」と思ったのかもしれない。

この本は、中学生・高校生・大学生にとっては、

「ちょっと先輩に当たる、スゴイお兄さんの経験談」

として、とても夢があって参考になるかもしれない。「若者を励ます書」ですね。


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(2020、1、17読了)

2020年1月30日 16:54

新・ことば事情

7330「資本主義の寡占状態」

1月23日の日本テレビ「スッキリ」で、こんなことを放送していました。

「現在世界は、上からたった26人の大富豪が、下から36億人分の富を所有している」

というのです。「下から36億人」って、

「世界の人口の半分」(2019年現在、約77億人)

じゃないですか!

ここからは私の考えたことで、放送にはなかったんですが、

「26:36億」

つまり、その貧富の差は、

「1億倍以上」

ということですね。「下から36億人」の人が、

「130円の缶コーヒー」

を飲むような感じで、大富豪は、

「130億円のもの」

を買うと。たとえば、

「F35戦闘機」

とか。いくら何でも、これはひどいのではないか?という話ですね。これは聞いたことはありました、もちろんその「富」は「現金」だけではなく「不動産」だったり「株式」だったりするんでしょうけれどね。

いくら日銀や他国の国立銀行がお金を刷っても、それが「26人の側」に流れて、「36億人の側」には回って行かない・・・。

そうか、これはつまり、

「脳梗塞みたいな状態」

なのではないでしょうか?

「資本主義経済」にとっての「金」は、「人間の身体」における「血液」のようなものでしょう。社会全体に「金」が「まんべんなく流れる」ことによって、社会が健全な状態を保てる。「恒常性=ホメオスタシス」ですね。

もし「金」が1か所に留まって(固まって)動かなくなったら・・・それは「人間の体」でい言うと、

「血栓」

です。そこで止まっていると「金(血液)」が流れなくなって、

「全体が死んでしまう」。

「金」が止まると「経済」が動かない。「金」の「血栓」による「梗塞」。「金」の「血栓」だから、

「金栓」

とでも呼ぶものでしょうか。これを健全な状態にするためには、

「血栓を溶かす」「金」が流れるようにする

「それが、現代の死にかけた資本主義経済における"処方箋"ではないのか?」

と、けさ電車の中でひらめいたのですが、どんなもんでしょうか?

(2020、1、23)

2020年1月23日 21:58

新・ことば事情

7329「まぶたが熱くなる」

雑誌「映画秘宝3月号」が1月21日発売号を最後に、25周年にして休刊となるそうです。それを知らせた「HMV&BOOKS渋谷店」のツイッターに、

「町山智浩×柳下毅一郎の2人の対談は読む前から、目蓋が熱くなります」

と記されていまし。この中に、

「目蓋(まぶた)が熱くなる」

とあったのですが、これは普通は、

「目頭が熱くなる」

と言うのではないでしょうか?

グーグル検索してみたら(1月23日)

「まぶたが熱くなる」=8万5100件

出て来ました。しかしこれは「目の上が熱くなる症状(病状)」も含んでいたので「感動」を加えて検索したところ、

「まぶたが熱くなる・感動」=3万6800件

でした。以下、

「目蓋が熱くなる・感動」 =   754件

「瞼が熱くなる・感動」  =  5040件

「目頭が熱くなる」    =9万 900件

でした。

ためしに中堅のTアナウンサーに、

「感動して涙が出そうになることを、慣用句で何て言う?」

と聞いたら、案の定、

「『まぶたが熱くなる』?」

と言うではありませんか!「え?」と問い直すと、

「あ、『目尻が熱くなる』かな?」

いやあのね、それは「目頭」だよ。「目頭」には「涙腺」があってそこから涙が出る時に熱く感じるんでしょ、「目尻」に涙腺はないですから!

そして昼ニュースが終わったばかりの中堅~ベテランのMアナウンサーに聞いたら即答で、

「『まぶたが熱くなる』ですか?」

と正解を出しました。さすが!そしてさらに、

「若い人なんかは、泣いたことが恥ずかしい時に『目から汗が出た』とか言いますね」

という情報も、もらいました。それは今は関係ないですが、貴重な情報ありがとう。

国語辞典を引いてみたら、やはり、

「深く感動して涙が出そうになること」

の意味での用例で、

「目頭が熱くなる」

は載っていましたが、「まぶたが熱くなる」は載っていませんでした。

「まぶた」の用例では、「眠くなる」意味での、

「まぶたが重くなる」

や、「懐かしい風景などが思い出される」意味での、

「まぶたに浮かぶ」

しか載っていませんでした。恐らく、これらの「混交表現」で生まれたのが、

「まぶたが熱くなる」

なのではないでしょうかね。

と、ここまで書いて、さらに手元の国語辞典・合計14種類を調べたら、「2019年1月10日発行」と奥付に書いてある、

『三省堂現代新国語辞典』

に、唯一「まぶたが熱くなる」が載っていました!

そして「まぶたが熱くなる」の意味は、

「(感動や悲しみで)涙が目に浮かぶ」

と、「悲しみ」もその理由に入れていました。「目頭」は「感動」しか書かれていません。新たに使い分けの表現として出て来たのでしょうかね?

注目の言葉ですね、これは。

2020年1月23日 21:55

新・ことば事情

7328「HDか?HDDか?」

去年10月に開かれた関西地区新聞用語懇談会で、事前に各社に出されたアンケートの一つに、

「『ハードディスク』は『HD』か?『HDD』か?」

というものがありました。それで例文として。

「A大学は個人情報の入った外付けハードディスク(HD)を紛失したと発表した。」

という場合に、

「『ハードディスクドライブ』(=HDD)を『ハードディスク』(HD)」と略してよいか?」

という具体例が出されていました。これについて各社は、

*「HDDに直す」=3社 「直さない」=12社

でした。詳しい意見は以下の通り。

【毎日】昔は「HDD」=筐体(きょうたい)とハードディスクが一体だった。今や、CDプレーヤーぐらいの大きさで、円盤だけの「HD(ハードディスク)」で持ち運べるので「ハーデディスクドライブ」は厳密には「HDD」。

【朝日】ハードディスクドライブ(HDD)、またはハードディスク駆動装置(HDD)と表記するという取り決めがある。しかし、守っていないものが「3分の1」ぐらある。

【毎日】「ハードディスク(HDD)」はおかしいので、アルファベット略を取るなどしたい。

【読売】厳密には別ものだが、実態として同じものとして扱われている。英語でもHD、HDDともに用いられる。

【日経】社会面なら許容。

【産経】意味は十分通じるので、そのまま。

【日刊】後にHDが出てこない場合は(HD)を削除。実例としてハードディスクの後に(HDD)や(HD)の表記はありませんでした

【共同】弊社ハンドブックでは、「HD→ハードディスク」。個人情報などが入った外付け「ハードディスク」は「HD」と略して良いことになっている。

【毎日】たとえば「USB」は接続方式なので「USBを紛失」などとはせず「USBメモリー(スティック)を紛失」とする。それと同じでは?

【ytv】あまりニュースで出て来ない。先日、回って来た会社の業務連絡票では「HDD」となっていた。「コンセントを差す」も、本来は差されるほうが「コンセント」で、差すのは「コンセントプラグ」「ソケット」だが、「コンセント」と言う。よく使われる言葉は省略される。それと同じでは?

【毎日】記事では「コンセントを差す」とはせず、「ソケットを差す」に直している。

【共同】「ソケット」と「コンセント」は気を付けて、気付けば指摘して直している。

【ABC】そもそも、略して使わない。

【産経】ところで「ブルーレイ」と略されることが多いが、これは「ディスク」?「プレーヤー」?使い分けは?

【MBS】テレビでは「番組のブルーレイが出ました」のように言うので、これは「ソフト=ディスク」を指すのは当たり前。わざわざ「ブルーレイディスク」とは言わない。

【MBS】「HDD」は商品。電器店でも「HDD売り場」と書かれていて「ハードディスク」と言うことが多い。「HDD表記」が、どれほど定着しているかがポイントだと思う。

【TVO】「HDD」は「HD」ではない。パナソニックのHPを見てみたら「ブルーレイ」「DVDレコーダー」は「装置」を指していて、それは文脈で分かる。

ということでした。

そして、きょう(1月22日)の各紙夕刊の神奈川県庁から処理を依頼された会社の社員がハードディスクドライブを転売していた事件の記事が載っていて(「毎日新聞」だけは、この記事がなかった)、「見出し」では、

(読売)HDD窃盗容疑 再逮捕

(日経)HDD流出 男を再逮捕

(朝日)HDD流出事件 元社員を再逮捕

(産経)HD流出で 元社員再逮捕

でした。そして「記事本記」を見ると、

(読売)ハードディスクドライブ(HDD)

(日経)ハードディスクドライブ(HDD)

(朝日)ハードディスク(HDD)

(産経)ハードディスク(HD)

で、ともに「産経新聞」のみ「HD」というアルファベット表記で、それ以外の読売・朝日・密計は「HDD」、また、肩かは表記では、

「ハードディスク」=朝日・産経

「ハードディスクドライブ」=読売・日経

でした、

(2020、1、22)

2020年1月23日 21:52

新・ことば事情

7327「『ネギトロ』と『トロタク』」

北海道に旅行してお寿司を食べました。回らないヤツです!

その際に、

「ネギトロ(巻き)」と「トロタク(巻き)」

というお寿司を食べました。「ネギトロ」は知っていますが、「トロタク」というのはあまり聞きません。「キムタク」みたいです。「キムチとタクアン」。

板さんによると「トロタク」は「北海道発祥」だとのことで、要は、

「『ネギトロ』の『ネギ』の代わりに『細かく刻んだタクアン』が入っている」

のですね。「トロ(マグロ)の赤」と「タクアンの黄色」が、見た目にもきれいです。「でも『ネギトロ』は『トロ』が後ろなのに、『トロタク』は『トロ』が先なのはなぜでしょう?なんで『タクトロ』ではないの?」

と板さんに聞いたら、

「さあ?語呂が良いからじゃないですか?」

「寿司」を食わずに「肩透かし」を食いました。

寿司も食わなきゃと「トロタク」を食べてみると、へえー、おいしい!タクアンの歯ごたえもいいなあと思っていたら、板さんが、

「ネキトロは『葱』と『トロ』だと思っているでしょう?本当はそうじゃないんです。『ネギ』は『葱』じゃなくて『こそげ取る』という意味の『ねぎ取る』の『ねぐ』という言葉から来ているんです」

と言うではないですか!思わず、

「本当ですか?知らなかった!」

とメモして大阪に帰って来て、辞書をいくつも引いてみたけど、載っていない。かつがれたのかなあ。それとも「アイヌ語」から来ているのかなあ。

「ねぐる」

で載っているのは、「ネグる」、つまり

「ネグレクトする=無視する」

という言葉だけ。

「サボタージュする」→「サボる」

「タクシーに乗る」→「タクる」

のような作り方の言葉ですね。

そうか、わかった!

「マグロの身」の握りずしのネタになる「トロ」の部分以外の部位が、

「ネグられた部位」

で、「ネグられたトロ」が、

「ネギトロ」

なのかもしれませんね!知らんけど。でも「ネギ」と「トロ」だと思うけどなあ。

それよりも驚いたのは、「ネギトロ」を載せている辞書が少ないことです。

手元の「23種類」の辞書で「ネギトロ」を「載せていた」のは、「約3分1」の、

「7種類」

でした。それは、

〇広辞苑(6版・2008)

〇明鏡国語辞典(2版・2011)

〇三省堂国語辞典(7版・2014)

〇NHK日本語発音アクセント新辞典(2015)

〇広辞苑(7版・2018)

〇大辞林(4版・2019)

〇岩波国語辞典(8版・2019)

そして「載っていなかった」のは「16種類」。

×デジタル大辞泉(電子辞書)

×新明解国語辞典(3版・1985)

×新明解国語辞典(4版・1992)

×NHK日本語発音アクセント辞典(1998)

×新潮現代国語辞典(2版・2000)

×新明解国語辞典(5版・2000)

×三省堂国語辞典(5版・2001)

×明鏡国語辞典(初版・2002)

×新明解国語辞典(6版・2005)

×精選版日本国語大辞典(2006)

×三省堂国語辞典(6版・2008)

×岩波国語辞典(7版・2009)

×新選国語辞典(9版・2011)

×新明解国語辞典(7版・2012)

×現代国語例解辞典(5版・2016)

×三省堂現代新国語辞典(6版・2019)

でした。

(2020、1、23)

2020年1月23日 21:50

新・ことば事情

7326「『竹とうろう』か?『竹どうろう』か?」

2016年の1月17日「阪神・淡路大震災」の日に、神戸の東遊園地に「1・17」を形どって並べられた「竹灯籠」を、

「竹どうろう」

「灯籠」濁って「どうろう」と読むのを聞いて、これは「濁らない」で、

「竹とうろう」

ではないのか?と思ってメモをしたまま、ほったらかしになっていました。

それからさらに4年経ったきょう、2020年1月17日、「阪神・淡路大震災」から、

「25年」

の節目の日を迎えました。25年も経ったのか・・・。

「スッキリ」の中での神戸からの中継で、読売テレビの女性記者は、

「竹とうろう」

と「濁らず」に読んで(話して)いましたが、ABCテレビ(朝日放送)の男性アナウンサーは、お昼のニュースで、

「竹どうろう」

と「濁って」話していました。これはやっぱり調べなきゃ!と思って辞書を引きましたが、複合語である「竹灯籠」を載せている辞書は見当たりませんでした。そこで、

「あ、そうか、あの手がある!」

と思ったのは、『広辞苑』の「逆引き機能」です。これで「とうろう」「どうろう」を引いてみました。すると、

「〇〇とうろう」

という「濁らない」ものは、

「額灯籠」

「1つ」しか載っていなかったのに対して、

「〇〇どうろう」

「濁る」ものは、

「石灯籠」「遠州灯籠」「折懸灯籠」「篝灯籠」「影灯籠」「春日灯籠」「金(かな)灯籠」「絡繰(からくり)灯籠」「切籠(きりこ)灯籠」「桜灯籠」「玉菊灯籠」「辻灯籠」「釣灯籠」「花灯籠」「牡丹(ぼたん)灯籠」「盆灯籠」「舞灯籠」「回り灯籠」「錑(もじ)灯籠」「雪灯籠」「雪見灯籠」

というように全部で「21」も載っていました。

やはり「複合語」で使う場合は「濁る」のかなあ。

ちなみにこの日のNHKお昼のニュースで、大阪局(BK)は、

「竹で作った灯籠」

として「濁る・濁らない問題」を避けて(?)いました。確かにこれが、一番分かりやすいかもしれません。文字数は多いけど。

(2020、1、17)

2020年1月17日 16:29

新・ことば事情

7325「おし照る」

1月16日、皇居では「歌会始の儀」が行われました。

「ミヤネ屋」でも、その様子などをご紹介しようと準備をしていました。

その際に、皇后さまの過去のお歌(皇后さまのお歌は、皇室用語(=宮内庁)では「御歌(みうた)」、天皇陛下のお歌は「御製(ぎょせい)」と言いますが、放送では「お歌」と言います)も、VTRの中に出て来て、平成5年(1993)6月のご成婚の2か月後の、平成5年(1993)8月、滋賀県を訪問された際に琵琶湖畔で読まれたお歌、

『君と見る 波しづかなる 琵琶の湖(うみ)

さやけき月は 水面(みのも)おし照る』

もありました。そのお歌を「吹き替え」で読む、林マオアナウンサーが、

「この『水面(みのも)し照る』の『おし照る』はどう読めばいいでしょうか?」

と質問してきました。

「おし照る」=「押し照る」

だと思いましたが、でも、もしかしたら「お」は実は、

「助詞の『を』」

で、「し」は、

「強めの『し』」

かもしれないとも思いました。しかし、その場合「し」は「名詞」に付き「助詞」には付かないだろうから、やはりこれは、

「押し照る」

であろうということで、『精選版日本国語大辞典』で「押し照る」を引くと載っていました。

*「おしてる(押照)」=(「おす」は日や月などの光が威力を一面に及ぼす意)光がくまなく照る。一面に照る」

として、8世紀後半の「万葉集」から用例が採られていました。

あ、そうか、

「おしなべて」「おし黙って」

「おし」ですね!漢字だと、意味的には「圧(お)し」かもしれませんが。

現在の「話し言葉(口語)」では、あまり出て来ない「おし」でした。勉強になりました。

が、この日はこのVTRは放送されませんでした...。

(2020、1、16)

2020年1月16日 18:24

新・ことば事情

7324「五エ門」

『ルパン三世』の作者である、

「モンキー・パンチさん」(本名・加藤一彦さん)

が、2019年4月11日に81歳で亡くなり、そして『ルパン三世』のアニメで初代「石川五ェ門」役を務めた声優の、

「井上真樹夫さん」

が、11月29日に80歳で亡くなったというニュースを見ました。

井上さんは「五ェ門」の声のほか、『巨人の星』では「花形満」役、『宇宙海賊キャプテンハーロック』の「ハーロック」役、『キャンディキャンディ』の「アルバート」役も務めた、渋いクールな声の声優さんでした。謹んで哀悼の意を捧げます。

さて、もうかなり前になるのですが、4月18日の「ミヤネ屋」で、モンキー・パンチさんの訃報をお伝えした際に、誤って、

「石川五ェ衛門」

とテロップを出してしまいました...。

「ェ」は「小さい」

というところには気付いて、大きな「エ」で発注されたテロップの「エ」を、小さく「ェ」に直したのですが、「衛」は見落としました...。これだと、

「ゴエエモン」

ですよね...。「エ」(衛)が1つ多い。本物の大泥棒は、

「石川五右衛門」

で「右」と書いて「エ」と読むのですから、ややこしいんですよ。

その翌日の4月19日『読売新聞』朝刊1面の「編集手帳」で、モンキー・パンチさんの訃報を取り上げていましたが、その中では、「ルパン三世」の登場人物、

「石川五右ェ門」

と「右」が入った名前になっていました。夕刊で訂正が出るかなあと思ったのですが、出ませんでした。そこで、元読売新聞・校閲部の関根健一さんにメールで伺ったところ、

「原作漫画では『石川五右ェ門』、アニメでは『石川五ェ門』です。

『編集手帳』は『原作漫画』のことを書いているので、『右』が入るのが正解。

出稿段階でごっちゃになっていることが多いので、校閲部では慎重にチェックしているとのことでした。」

というお返事を頂きました。なんと!「原作漫画」と「アニメ」でも違うのか!!

これは注意しないといけないですね。

井上真樹夫さんの訃報を伝えた『読売新聞』12月3日の記事では、

「人気アニメ『ルパン三世』の石川五ェ門役などで知られる声優の井上真樹夫さん」

と、ちゃんと、

「小さいカタカナの『ェ』」

でした。

ところが、「ウィキペディア」で「石川五ェ門(ルパン三世)」を検索してみたところ、こう記されているではないですか!

『シリーズにより名称には様々な表記がある。原作では「五右ェ門」。パイロットフィルムでは「五右ヱ門」。『TV第1シリーズ』では「五右ヱ門」(オープニング)/「五ヱ門」(エンディング、第5話サブタイトル)、『TV第2シリーズ』以降の作品では長らく「五右ェ門」表記が基本設定だった。しかし作品によって違いがあるが、TVスペシャルシリーズ以降のアニメ作品においては、ほとんどの場合に「五エ門」と表記されている。』

そんなにバリエーションがあるのですか!・・・あんまり考えていなかったんだなきっと。でも思った以上に長いシリーズになって、整合性がなくなっちゃったというあたりが正解ではないですかねえ・・・。

(2019、12、5)

2020年1月16日 18:21

新・ことば事情

7323「金星を配給」

1月13日大相撲初場所2日目、横綱・白鵬が平幕の遠藤に敗れました。それを報じたネットの「スポニチアネックス」は、

「横綱・白鵬が平幕・遠藤に切り返しで敗れて金星を配給した」

と報じていました。この、

「金星を配給」

という表現に注目しました。「金星」とは、

「平幕(前頭)力士が、横綱に勝つこと」

を言いますから、勝った平幕力士は、

「金星を挙げる」

と言えますが、敗れた横綱側から言うと、「金星を配給」となるのですね。ただ、これはよく、間違って、

「金星を献上」

と記されることがあります。しかし「献上」は、

「下から上」

ですので、「横綱から平幕へ」=「上から下」には使いません。

これに関しては新聞用語懇談会でも、過去に何度か話し合われているので、その結果を載せますね。

【2015年10月(関西地区用語懇談会)】

「横綱白鵬が大関照ノ富士を破り2敗を守る」

一見問題のない文章ですが、相撲原稿には、厳然たる「約束事」があるそうです。

「横綱が大関や平幕を『破る』とは言わない」

「地位が下のものが上位に勝った場合に『破る』、『撃破』などと表現する」

「番付を尊重し、上位のものが下位のものに勝った場合は、番付を尊重し、『退け』『下し』などと言い換える」

また「『守る』のは無敗か1敗。2敗や3敗は守る星ではない」ということです。原稿をチェックする校閲でも、適用しますか?

(共同通信)社内の決定事項は守るが、整理部内では今回の件については半数以上が「知らなかった」と。

(読売新聞)スポーツ部内で取り決めているので、任せている。

(共同通信)2年間、相撲担当記者だったことがあるが、自然にこのように書いていた。ルールとしては意識していなかった。対戦前の力士には取材に行かないなどの暗黙のルール(=「しきたり」)はあった。

(MBS)スポーツアナウンサーに聞いてみたが、「ランキング」の「上位」に対して「下位」が勝つケースでしか「破る」は使わないとのこと。また、高校野球(アマチュアスポーツ)では「ランキング」はないので「平等」に扱い、「破る」「下す」「金星」「番狂わせ」などは使わないようにしている。

(神戸新聞)ルールがあるのは知っているが、あまり気にしていない。地元(兵庫・神戸)出身力士を主語にして書くことが多いので、それが基準になる。

(産経新聞)「金星」には「破る」を使う。

(ytv)たしかに「番付上位の者」が「下位の者」を「破る」というのには違和感がある。「下し」「退け」が妥当だろう。しかし「2敗を守る」には違和感がない。ただしその場合の「2敗」は、「トップ」であることが条件。しかも「千秋楽ではない」ことも条件。

【2018年9月(用語懇談会放送分科会)】

(新聞協会・I専門委員)

新聞では絶対使わないのにテレビではよく耳にするのは、大相撲で、

「横綱が金星を『献上』」

という表現。「献上」は「下→上」なので、「平幕が横綱に勝つ」という「金星」は、「上→下」への「配給」が正しいのだが。

【2019年10月(関西地区用語懇談会)】

男子シングルス1回戦で、世界ランキング69位の西岡良仁(ミキハウス)が同41位のテニース・サンドグレン(米国)を下した。(※毎日新聞表記では「降した」)(下位の選手が上位の選手を破った際も「下す」「降す」でよいか)

・直す=4.5社 ・直さない=10社

(毎日)相撲では、番付が「上の者」が「下の者」を「下す」と言い、その逆はおかしいと。野球の場合は「下位のチーム」が「上位のチーム」に対して「下す」を使えるのか?校閲は意識していなかったが、出稿部から質問が出た。出稿部は意識しているようだが、校閲サイドでは問題ないという意見が多数で、直さない。

(ytv)「破った」「倒した」に直すだろう。ところで、ランキングの差が「1つ」しかなかったらどうなる?いくつ差があれば「下す」を使えるのか?

(MBS)高校野球では「下す」「破る」を使うと「上下関係はないので使うな!」と昔は先輩によく言われた。最近は「大阪桐蔭が〇〇を下した」などと使われるようになった。

(MBS)高校野球だと、「強い」と思われたチームが「弱い」と思われたチームに敗れる「番狂わせ」が往々にしてある。それもあったからか、先輩からは「使わないほうが良い」と言われた。

(毎日)同じく高校野球中継をしているABCさんは?

(ABC)「下す」には、それほどこだわりがない。「金星」には引っ掛かりがあるが。

(ytv)ラグビー日本代表がアイルランドに勝った試合の報道は「読売・朝日」が「金星」で、毎日・産経・日経は「大金星」だった。

(毎日)ラグビーはランキングがしっかりしていて、番狂わせが少ないので、日本がアイルランドに勝ったら「大金星」だ。

(毎日)地域面で、ある高校が強豪校に勝った際に「シード校に勝った」と報じたら、その大会、その強豪校は「シード校ではなかった」という確認ミスをしたことがある...。

(産経)ラグビーのアイルランド戦は「奇跡」という表現は避けた。「番狂わせ」か「金星」ということに。

(毎日)放送で、NHKアナウンサーが「もはや奇跡ではない」と。

(朝日)(TVO)=「破った」

(読売)上位・下位に関係なく、直さない。

(日経)「破った」「~に勝った」

(産経)校閲歴10年以上の部員全員一致で「直さない」で、そのまま。

(MBS)相撲など、序列が明白な場合は直す。微妙なので、「勝つ」「負ける」「敗れる」をなるべく使う。

ということだったのですが、なんと横綱・白鵬は、翌日の3日目(1月14日)も、平幕(前頭筆頭)の妙義龍の敗れてしまいました。それを報じた1月15日の各紙朝刊は、

【読売】

(見出し)白鵬バッタリ 連日の金星配給2年ぶり

(本文)2日連続で金星を与える

【朝日】

(見出し)足出ぬ白鵬 あっさり連敗

(本文)2日連続の金星配給。初日に続いて金星を与えた。金星配給の多さは。

【毎日】

(見出し)北勝富士 鶴竜撃破

(本文)両横綱が金星を配給。「金星を取っている場合ではない」。

【産経】

(見出し)白鵬ばったり 2日連続で金星配給

(本文)2横綱が金星を配給する波瀾。2日連続で金星を配給した。

【日経】

(見出し)白鵬、連日の金星配給

(本文)地震2度目となる2日連続の金星配給。

ということで「金星配給」という表現が多かったですが、

「金星を与えた」「金星を取っている場倍ではない」

といった表現も見られました。

なお、白鵬は4日目の1月15日から休場しました。

(2020、1、15)

2020年1月15日 20:47

新・読書日記 202_005

『風間教場』(長岡弘樹、小学館:2019.12.23)

1月4・5日にフジテレビで、2夜連続で放送されたドラマ「教場」の原作の一部。フジのドラマは木村拓哉さんが主人公の「風間教官」を演じていたが、佐藤浩市さんを髣髴させるような良い感じの演技だった。

もともと「2016読書日記014教場」「2016読書日記056教場2」で原作を読んでいて、その際の感想に、

「読めば読むほど『ドラマにならないかな』と思うぐらい面白いし、映像が浮かんでくる。」

と書いていた。これは、ドラマ化をにらんだ?その続編かな。前2作は短編を重ねていたが、これは一応「長編」。でも、もちろんいろんな出来事が絡んでくる。僅か半年の警察学校の生活が、いかに凝縮された中身の詰まった場であるかということを想像させる。

それにしても著者の長岡さんって、元・警察官なのかな?詳し過ぎるようなあ、警察学校の内情にも警察官の心情にも。

ラストは、同じ病を抱える私としてはショッキングでした。

「令和ことば事情7317私、どうにかしてた」もお読みください。


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(2019、1、12読了)

2020年1月14日 12:03

新・読書日記 2020_004

『定年消滅時代をどう生きるか』(中原圭介、講談社現代新書:2019、12、20)

私が会社に入った36年前は、「定年」は「55歳」だった。当時、22歳の若者である私から見たら、50歳を越えた人は「おじいさん」に見えた。(今の「60歳」は、いや「65歳」でも「おじいさん」には見えない。あの辛坊さんが、もうすぐ「64歳」ですからね。)それがすぐに定年が「60歳」となり、今や実質「65歳」。さらに「70歳」「75歳」に延ばされようとしている。いつまでも健康で働ければいいが、そうとは限らないことを考えると「いつまで働かせる気だ!?」と言いたくもなる。あるいみ「終身懲役刑」のようなものである。その一方、と言うか「定年延長の原因」は「少子化による労働力不足」と「年金支給の増大化対策」であることは明らか。そうなると「定年」という概念そのものが、今後、消滅するであろうと。

「定年」の前提には「終身雇用制度」があった。「正社員」を「新卒採用」して、しっかりと「会社」を育てていくという中での制度。それが「派遣社員」「契約社員」「成果主義」など、新資本主義の働き方がじわじわと浸透して、「正社員」の「終身雇用制度」は、もはや維持できなくなってきたことは明らかだ。今後もこの方向で行くのが良いのか悪いのかは別にして、流れを止めることは、かなり難しい。AI導入の流れも早い。働かなくてはいけないが、多くの人にとって「できる仕事」は限られてくるかもしれない。

この本に書かれていることには、かなり「?」を挟まざるを得ないところがあったが、その中で「これは確かにそうだな」と思ったのは、

「AIが導入しても絶対に廃れない求められる能力は、思考力である」(188ページ)

ということだった。


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(2020、1、8読了)

2020年1月14日 12:01

新・読書日記 2020_003

『宇宙兄弟36』(小山宙哉、講談社:2019、8、23)

漫画です。

月に取り残された兄。かつて月面に立ったものの、死に直面する事故に遭遇してトラウマを抱えた弟が、再び宇宙を目指すため訓練に励むロシアの地。そこで、尊敬する先輩宇宙飛行士の娘で17歳のオリガとの愛。

再び、宇宙へ行くことが決まる。

兄弟の思い、バレリーナを目指すオリガとの愛。うーん、雄大な物語だ


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(2019、1、4読了)

2020年1月14日 12:00

新・読書日記 2020_002

『「広辞苑」をよむ』(今野真二、岩波新書:2019、12、20)

2016年7月に亡くなった柳瀬尚紀さんの著作に、

『広辞苑を読む』(文春新書・1997)

という、音で聞いたら、この本と「全く同じタイトルの本」があるが、当然、今野先生はそれを分かった上で、本書のタイトル表記を決めた(そして「広辞苑」にカギカッコを付け、「よむ」を「平仮名」にした)のだと思われる。

著者の今野先生は、あの「あ」から「ん」まで「13巻」という膨大な『日本国語大辞典・第二版』も「読んだ」。そして気付いたことを本にしている。それに比べれば『広辞苑』なんてオチャノコサイサイではないか。

この本も、いろいろ『広辞苑』を分析してその特徴・特長を明らかにした一冊だが、「日本語」について考えるというよりは、

「『広辞苑』という辞書を解剖・研究した一冊」

と言える気がした。このあたり、2020年1月12日の読売新聞の書評とは意見が異なるが。

(☆3つ半)


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(2020、1、5読了)

2020年1月14日 11:59

新・読書日記 2020_001

『「言葉」が暴走する時代の処世術~コミュニケーションに悩む全ての人へ』(山極寿一・太田光、集英社新書:2019、12、22)

京都大学総長でゴリラの研究で有名な山極寿一氏と、「爆笑問題」の太田光氏の対談。表紙には、二人のカラー写真が。そして、

「人間関係の基本、それは愛を求めないこと。」

と縦書きで記されています。「甘えるな」「求めるな」さらば与えられん、かな。

山極氏によると「ゴリラは戦わないが、負けない」

「『勝つこと』と『負けないこと』は違う。サルは勝ちにいくが、ゴリラは勝ちにいかない。」

そうだ。この辺りに、「人間」というサルも学ぶべきではないか?

そして、

「ケンカの目的は、和解にある」

なるほど。

さらに「『伝える』のではなく『寄り添う』」

いろいろ勉強になる「金言」がありました。


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(2020、1、2読了)

2020年1月14日 11:57

新・ことば事情

7322「セレベス」

百貨店の野菜売り場で、こんな表記を見つけました。

202001141.jpg

「セレベス」

見たことも聞いたこともない名前の野菜。「お芋」のような感じです。

調べてみたら、やはり「芋」で、

「里芋の一種」

のようです。「旬の食材百科」というサイトによると、

https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/Celebes.htm

『セレベスはインドネシアのセレベス島(現スラウェシ島)から伝わったとされる里芋で、その島の名前がつけられています。芽が赤いのが特徴で、「赤芽芋」又は「赤目芋(アカメイモ)」とも呼ばれている他、「大吉芋」とも呼ばれています。地上部は赤紫の茎で背丈が高い。このセレベスの系統で「赤目大吉」という品種もあります。親子兼用品種で、子イモも大きく、収量が多い事でも知られています。』

なのだそうで、「旬は11月~1月」ということです。

ちなみに、この「セレベス」は「海外産」ではなく、

「宮崎県産」

でした。最近は、こんなものまで作っているんですねえ。

2019、1、13

2020年1月14日 10:53

新・ことば事情

7321「報復と復讐」

「ミヤネ屋」の若いADであるO君が放送後に質問してきました。

「イランとアメリカの紛争で、『報復』って言葉を使っていましたが、『復讐』とどう違うのでしょうか?」

あ、特に意識してなかったな。考えて見ましょう。

「おそらく『報復』は『国対国』とか『ある団体(グループ)対ある団体(グループ)の戦い』の場合で、『復讐』は『個人対個人』なんじゃないのかな。」

辞書を引いてみたら、おおよそ、そんな感じの記述が書かれていましたが、はっきりとそう書かれたものは見当たりませんでした。

「でも一応、そういう使い分けでいいと思うよ」

と返事しました。

(2019、1、10)

2020年1月13日 21:02

新・ことば事情

7320「ソレイマニか?スレイマニか?」

アメリの空爆で死亡したイランの「ソレイマニ司令官」ですが、メディアによってその「カタカナ表記」に揺れがあるようです。日本テレビ系は、

「ソレイマニ」

としていますが、読売新聞は、

「スレイマニ」

と記しています。「ソ」か?「ス」か?母音が「O」か「U」かという問題。

ネットでの記事で調べたところ、

*「ソレイマニ」=朝日新聞、産経新聞、東京新聞、日経新聞、時事通信、ロイター通信、日本テレビ、NHK、フジテレビ、TBS、テレビ朝日、BBC、CNN

*「スレイマニ」=読売新聞、毎日新聞、テレビ東京、AP通信、ウォール・ストリート・ジャーナル、NHK京都

でした。

テレビでは「テレビ東京」を除いて「ソレイマニ」ですね。NHKは「ソレイマニ」なのにNHK京都のネット記事は「スレイマニ」なのは、なぜでしょうね?

新聞は、

*「ソレイマニ」=朝日・産経・日経・東京

*「スレイマニ」=読売・毎日

と分かれています。一般に「右」と言われる読売・産経・日経でも分かれていて、「左」と言われる朝日・毎日・東京でも分かれているのが興味深いですね。

ネット検索では(1月12日)

*「ソレイマニ」=138万件

*「スレイマニ」= 68万1000件

でした。

恐らく正解は、

「ソとスの間の音」

なのでしょう。「カタカナ」では表記できませんが。

(2020、1、13)

2020年1月13日 20:48

新・読書日記 2019_165

『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(マックス・ヴェーバー著・大塚久雄訳、岩波文庫:1989、1、17改訳第1刷・2018、9、14第57刷)

この、大学時代に習った「古典」を「読もう」という気になったのは、読売テレビの「そこまで行って委員会NP」の特集「資本主義と共にすべてが消える?シリーズ『消滅』徹底検証スペシャル」を見た視聴者の方から届いた「ご意見」を読んだからです。(私はこの番組を見ていなかったのですが)そこには、

「資本主義というのは、プロテスタントが一生懸命やったから生まれたんですよ。キリスト教と資本主義が、密接に結びついている。」

と記されていたのです。そこで、40年ぶりに思い出したのが本書です。家の本棚にあるはずだけど、たぶん小さな字で読みにくいだろうからもう、本屋さんで買おう!と、すぐに本屋さんに直行!ありました。「57刷」ってすごいな!大学のテキストで使われているからかな?

すぐに購入して約1か月かけて「2019年の内に読む!」と決めて、たくさんある「注釈」は読み飛ばして「本文だけ」を読んで行ったら、割と読みやすかったです。

(ちなみに家の本棚にも、学生時代に買った岩波文庫がありましたが、昔のは「上・下2巻」に分かれていました。数十ページまで読んだ形跡がありましたが、読破してはいませんでした。今回買ったのは「一冊」です。)

結論から言うと、マックス・ヴェーバーは、

「プロテスタンティズムが、直接的に資本主義を生み出したのではないが、関連はある」

というようなことを書いている気がしました。

その中で気になったことや、考えたことを箇条書きにします。

*かつてのカトリックは、現在以上に「罪人を憐れみ、異端を罰す」。異端を罰す=排外主義、一神教。完璧主義=排他主義だった。

*「資本主義=貨幣と利子」。それが「電子マネー」「仮想通貨」になったらどうなるのか?「利子」と「カトリック」「ユダヤ」との関係は?銀行がこれだけ「利息」が付かなくなった現代、「銀行」という職業は続くのか?消滅するのか?「利子」「利息」がないのに「資本主義」は続くのか?

*「カルヴァン派ピューリタニズム」の「不寛容」の厳しさ。現在の「新資本主義」は、「カルヴァン派ピューリタニズム」が産んだ資本主義の行き着く先で、その「不寛容さ」も、より激しくなってあるのではないか?

なんてことを考えながら読みました。


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(2019,12,30読了)

2020年1月10日 18:58

新・ことば事情

7319「ヘンリーかハリーか?」

1月9日、イギリスの「ヘンリー王子」が、「上級王族」から退くという発表を行ったというニュースを「ミヤネ屋」でもお伝えしました。この、

「ヘンリー王子」

という名前のカタカナ表記で、「日本テレビ・読売テレビ」系列では放送していますが、NHKはきょう(1月9日)の昼のニュースで、

「ハリー王子」

としていました。「ヘンリー」の愛称が「ハリー」で、イギリスでは「ハリー」と呼ばれることが多いそうですが、

きょうの夕刊各紙を見てみたら、

(朝日)ハリー

(読売)ヘンリー

(毎日)ヘンリー

(産経)ヘンリー

(日経)ヘンリー

と「朝日新聞」だけ「ハリー」でした。

「ヘンリー」とした「毎日・産経・日経」は「共同通信」の記事でした。

1月10日朝の「テレビ朝日」のワイドショーでも、映している英字新聞は

「Harry」

と書いてありましたが、日本語カタカナ表記は「ヘンリー」でした。

同じく1月10日・朝のネット記事で「AFP=時事」の記事も「ヘンリー」でした。

また、兄の「ウィリアム王子」の「ィ」は「小さい」のですが、読む際は、

「ウイリアム」(5拍)

と「大きいイ」で読んでも、

「ウィリアム」(4拍)

と「小さいィ」で読んでもそんなに差がないので、「読みやすいほうでいい」と思います。

映画「ダイ・ハード」シリーズで有名なハリウッド俳優、

「ブルース・ウィリス」

の場合は「小さいィ」なのですが、ほとんどの人は「大きいイ」で読んでいるのではないでしょうか?

しかも多くの人が間違って、

「ブルース・ウイルス」

だと思っているのではないでしょうか?「インフルエンザ・ウイルス」じゃありませんよ、人間ですよ。正しくは「リ」、

「ウィリス」

です。

(2020、1、10)

2020年1月10日 11:08

新・ことば事情

7318「次世代携帯と5G」

20年近く前に書いた「平成ことば事情319 加速する次世代」を読んでいたら、

「次世代携帯電話」

という言葉が出ていました。当時「次世代」という言葉が流行っていたと。そうでしたねえ。それから約20年がたった現在は、どうか?今は、

「5G」

ですよね。

「ゴジー」

ではなく、

「ファイブジー」

と読むそうです。最近知りました。そしてこの「G」は、

「Generation(ジェネレーション)」

です。意味は、

「世代」

ですから、「5G」は、

「第5世代」

ということになります。約20年で「5世代」になろうとしているのですから、大体、

「1世代=4年」

というのが、

「21世紀の『世代』感覚」

なのでしょう。昔は、

「1世代=30年」

だったのですが、

「約7、5倍 加速している」

と言えそうです、少なくとも「携帯電話の世界」では。まさに、

「ドッグ・イヤー」

ですねえ。「ドッグ・イヤー」とは、

「犬は、人間の7倍のスピードで年を取る」

ということを指して言います。(「平成ことば事情1051 ドッグイアー」参照)

それと共に「世代」という日本語が、「Generation(ジェネレーション)」という英語に変わったということは、

「携帯電話市場の中心が、日本から海外に移った」

ということを示しているのではないか?と感じました。

(2020、1、9)

2020年1月 9日 15:43

新・ことば事情

7317「私、どうにかしてた」

2夜連続で放送された、警察学校を舞台に木村拓哉さんが白髪・右目義眼の教官を演じたフジテレビのドラマ「教場」。原作を以前に読んでいたので(2016読書日記014『教場』(長岡弘樹、小学館文庫:2015)&2016読書日記056『教場2』(長岡弘樹、小学館:2016)、興味深く見ました。(他局だけど。)木村さんは年齢を重ね40代後半となり、もう「若者」ではない中で、何だか、

「佐藤浩市さん」

のようなカッコイイ俳優を目指しているのかな?という感じがしました。

なかなか演技が良いなあと思ったのは、大島優子さん。「アイドル」で歌を歌っていた時とはまた違う「女優」の表情で演じていました。

しかし、そのセリフの中で、一つ気になったものがありました。それは、

「私、どうにかしてた」

というセリフです。これは正しくは、

「私、どうかしてた」

ではないでしょうか?

たった「に」1つですが、引っかかりました。

原作がそうなのか、言い間違えたのかはわかりませんが、違和感がありましたね。

(2020、1、9)

2020年1月 9日 15:42

新・ことば事情

7316「ジューナナジ」

昨年末の夕方、和歌山市内のマクドナルドで、コーヒーを飲みながら本を読んでいたら午後5時になりました。すると、店内放送でこんなアナウンスが流れました。

「皆さん17時になりました。『夜マック』スタートです。」

この中の「時刻」の「17時」の読み方が、

「ジューナナジ」

だったので、思わず読書をやめてメモを取りました。普通は、

「(午後)5時」

と言うか「17時」を使うなら、

「ジューシチジ」

と言うのではないでしょうか?

でも「シチ」と「イチ」を聞き間違えないために、「シチ」は使わず、代わりに「ナナ」にしたのでしょうね。

一般的には、特に関西ではよくあることです。たとえば、

「七月(シチガツ)大歌舞伎」

を大阪では、

「七月(ナナガツ)大歌舞伎」

と言ったりしますが、「マクドナルドの店舗」でもそう言うのか!と思ったのでした。

「マック」では「ジューシチジ」で、「マクド」では「ジューナナジ」なのでしょうかね?

(2020、1、9)

2020年1月 9日 15:39

新・読書日記 2019_164

『音律と音階の科学・新装版』(小方厚、講談社ブルーバックス:2018、5、20第1刷・2019、3、28日第4刷)

かなり売れてるんですね、この難しい本が。

年末、梅田の書店に時間つぶしに立ち寄ったときに、目についたので購入。(この書店は、岩波新書の新刊は置かない方針だというのも驚いた!)

2日で読みました!難しい所は飛ばしました!でも、興味深かった。

特に「令和ことば事情7290シはBかHか」でも書きましたが、このところ気になっていた、「シ」の音は音階では「B」と書くのか?「H」と書くのか?の問題の回答がここにあるのではないか?と思って読んだので、興味深かったのです。

音楽やっている人がみんな、これだけ分かってやっているのかな?凄いな。全然わからんわ。でも最後の方で(259ページ)、

「クラシックの世界ではドイツ語が幅を利かせていて、ドイツ語ではBをHと書く」

と少しだけ(5行だけ)触れていたので、「やっぱり」と思いました。


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(2019、12、31読了)

2020年1月 8日 21:55

新・ことば事情

7315「World War3の読み方」

「World War3」「WW3」

つまり、

「第三次世界大戦」

が、世界中で検索ワード1位になっていると、1月7日の読売テレビ「かんさい情報ネットten.」で放送していました。イランのスレイマニ司令官を、アメリカがバグダッドで空爆して殺したため、イランとアメリカとの間の緊張が高まっているためです。

このVTRナレーションとスタジオの発言で、ナレーターや出演者は、

「ワールド・ウォー・スリー」

と発音したのですが、この「3」(あるいは「Ⅲ」)は、

「スリー」

でいいのでしょうか?「第三次」は、

「サード」

なのではないのか?と思いました。

ところが、ネット検索して調べたところ、どうやら、

「スリー」

で良いようです。

では、「第二次世界大戦」(World War2)はどうか?

これも「セカンド」ではなく、

「ツー」

と読んでいいようです。そうなると「第一次世界大戦」は、

「ワン」

なのだなと思いきや、これが違った。「第一次世界大戦」は、

「The first World War」

なのだそうです。なんで???

・・・あ、そうか、最初に「世界大戦」と呼ばれる大規模な戦争が起きたときには、

「次の『第二次』は、〇年後ね」

とわかっているわけではないですから、「第一次」と名乗る必要がないというか名乗れないのですね。

2度目以降の「世界大戦」は、「これは2度目」「3度目」と認識できるので、

「第二次」「第三次」

と最初から名乗れますが、「発端」となった「最初の世界大戦」は、文字通り、

「最初の世界大戦」(The first World War)

ということか。それを、後世の人が、

「あれは『第一次』世界大戦」

と名付けているということなんですね。

自分で納得しました!

でも「第三次世界大戦」は絶対に起こらないでほしいし、

起こしてはいけません!!

(2020、1、7)

2020年1月 8日 12:36

新・ことば事情

7314「國學院大學の旧字体」

2020年、今年もよろしくお願いします!

さて、青学が2年ぶりの優勝を飾った「箱根駅伝」で、見事総合3位になった、

「國學院大學」

の表記ですが、1月6日の日本テレビの「スッキリ」を見ていたら、

「國」「學」と「大學」の「學」も「旧字体」

なんですね。

「慶應義塾大学」「駒澤大学」

などは、「大学」以外の部分が「旧字体」でも、

「大学」の「学」は「新字体」の大学がほとんど

なのに。

恐らく「國學院」の中の「學」が「旧字体」なので、同じ字である「大学」の「學」も「旧字体」にせざるを得ないんでしょうね。

ちなみに系列の、

「國學院大學久我山中学校・高等学校」

は、HPを見ると「國學院大學」の中の「學」は「旧字体」ですが、

「中学校」「高等学校」の「学」は「新字体」

でした。ややこしい・・・。

ともあれ、初の総合3位、おめでとうございます!

学校の名前が、今まで以上に全国に知れ渡りましたね!

(2020、1、6)

2020年1月 6日 18:25