新・ことば事情
7310「『特定抗争指定暴力団』の読み方」
2年目のSアナウンサーが、質問してきました。
「道浦さん、『トクテイコウソウシテイボウリョクダン』は、どこで区切って読めばいいんでしょうか?」
「???なんだって?」
「『トクテイコウソウシテイボウリョクダン』です。」
「特定コウソウ指定暴力団?」
「指定暴力団の『山口組』と『神戸山口組』の抗争事件の頻発を受けて、愛知や兵庫など6府県の公安委員会が、暴力団対策法に基づく『特定抗争指定暴力団』指定を正式決定するというニュースなんです。」
「ああ、『抗争』ね。一連の事件を受けて。それは『特定抗争』をしている『指定暴力団』だから『ト/クテーコ\ーソー・シ/テイボーリョク\ダン』でいいんじゃないの?」
と答えてから、ちょっと待てよと、改めて、
「特定抗争指定暴力団」
というのを調べてみると、今回の「抗争事件」を受けて、より厳しい指定をするもののようです。つまり、
「『特定抗争指定』の『暴力団』」
のようです。そうなると「切る所」「意味の塊」が変わって来ます。
あわててSアナウンサーの所に行って、
「ゴメン!やっぱり『ト/クテーコーソーシテイ・ボ/ーリョク\ダン』だわ!『特定抗争指定』の後に『の』を入れるような気持ちで、少しだけ間を開けて、『暴力団』を言い直す感じかな。」
と、さきほどの答えを修正したのでした。
長い単語の場合は、
「どこまでコンパウンドをするか」
が難しいですし、全部「コンパウンド」して「アクセントの山を1つ」にしてしまうと、
「意味の区切りが分かりにくい」
ので、ある程度のところで、一旦、アクセントの山を終わらせたほうが、聞いていてわかりやすいとは思うのですが、それはあくまでも、
「意味・内容を崩さないように」
しないといけないというところが、難しいですね。