新・ことば事情
7308「火種が渦巻く」
12月25日の「ミヤネ屋」で、日中韓会談に合わせて「東アジア情勢」に関して識者を呼んでスタジオで討論しました。その際にVTRの原稿で、
「火種が渦巻く東アジア情勢」
という表現があったのが気になりました。「火種」は「渦巻く」でしょうか?
「火種は渦巻かない」
と思います。ひだねー、いや、そだねー。ちょっと懐かしいですね。
「渦巻く」のは、
「悪意」「陰謀」「空気」「雰囲気」「煙」
など、抽象的なものでも具体的なものでも、
「形のないもの」=「気体・液体」
です。同じ「火」でも、
「炎」
は渦巻きますね。
それに対して「火種」は、
「形がある」=「固形物」
ですから、当てはまらない気がします、たとえ「比喩的」にでも。そこで原稿は、
「火種を抱える東アジア情勢」
と直して放送しました。