新・ことば事情
7301「『なので』と『なのに』」
「なので」
という「順接」の接続詞で始まる文章、特に「書き言葉」は「正しくない」と、最近糾弾されることが多いように思います。確かに「話し言葉」ならばOKでも、「書き言葉」だと、少しくだけ過ぎているようにも感じます。
「それなので」
と言うように「それ」を付ければ、まだマシかな。でも、
「だから」「ですから」
といった言葉は「書き言葉」としてもう定着していますよね。「なので」も、定着への過渡期なのかな?とも思います。
そんな中、『人生の諸問題 五十路越え』(小田嶋隆・岡康道・清野由美、日経BP)という対談本を読んでいて、昔のテレビ番組に言及する場面で、「若者たち」という半世紀ほど前(1967年)のドラマ(5年前の2014年にリメイクされて放送されました)の「ドラマ名」と同じタイトルの主題歌「若者たち」(作詞:藤田敏雄、作曲:佐藤勝、歌:ザ・ブロードサイド・フォー)の歌詞の中に、
「なのに」
という言葉が出て来ていたのを思い出しました。昔はこの歌が好きで、よく歌っていました。当時は小学生でしたが。歌詞は確か、
「君のゆく道は果てしなく遠い
なのになぜ 歯を食いしばり
君はゆくのか そんなにしてまで」
だったと思います。ここで、
「なのに」
が使われていたのです!
念のため歌詞を確認したところ、"新たな事実"と言うか、私の覚え間違いが明らかに!
実は歌詞のその部分、「なのに」ではなく、
「だのに」
だったのです!えーーー!「だのに」は「なのに」よりも不自然だなあ。
もしかしたら「なのに」の前の段階は、「だのに」だったのか?
だので、謎はより深まったのでした。これも「人生の諸問題」の一つなのかな?
(追記)
2年ほど前に、同じ「若者たち」から「だのに」を引いていました...。
平成ことば事情6641「だのに」をお読みください。
(2020、1、8)