新・ことば事情
7297「グルメ通」
12月12日、俳優の梅宮辰夫さんの訃報が届きました。81歳。6度のがん。特に人工透析が必要となった晩年の病気との闘いは、本人はもちろん、ご家族の方の介護の苦労も大変であったろうとお察しします。合掌。
そのニュースを12月12日の「ミヤネ屋」でもお伝えしようと、フリップの発注をチェックしていたら、梅宮さんの人柄紹介の中に、こんな言葉が出て来ました。
「グルメ通」
読み方は「グルメどおり」ではなく「グルメつう」。いやいや、それは違うでしょ。
そもそも、
「グルメ」=「食通」
なのですから、これでは、
「食通通」
になってしまい、「モールス信号」のようです。「ショク・ツー・ツー」。ま、これは死語ですが。つまり「グルメ通」は重複で、
「『食通の人』に詳しい」
という意味になってしまいます。これが「グルメ痛」ならば、
「『痛風』のことかな?」
とも思いますが。ここはお尻の「通」は取って、
「グルメ」
と本来の形に戻すか、「通」を使いたいなら、
「食通」
にする。もっと噛み砕いて言うのならば、
「美食家」「舌の肥えた人」「味にうるさい人」
などとするのが妥当でしょうね。
こんな間違いが起きるのも、「グルメ」という言葉が、本来の
「おいしい食べ物に詳しい人」
ではなく、
「おいしい食べ物」
という意味になっているからだと思います。