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『道浦TIME』

新・ことば事情

7292「『リチウム電池』と『リチウムイオン電池』」

今、販売中の『ビックコミックオリジナル』12月20日号(小学館)で連載されている『テツぼん』(画・永松潔、原作・高橋遠州)という漫画で、

「リチウム電池」

を取り上げていました。吉野彰さんのノーベル化学賞授賞式のタイミングですからね。

その中で、東海道新幹線の次世代車両の試験運転に招待された主人公(鉄道オタクの政治家)が、

「例えば災害や事故で停電が発生しても大丈夫なように、非常用電源としてリチウム電池による蓄電池を搭載しているんだよ」

と発言。また、主人公(政治家)の女性秘書(本当は妹)が、

「リチウム電池って、今年、ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏が開発したんでしょ。私たちがスマホを使えるのも、リチウム電池のおかげなのよね」

というセリフを発言していました。

しかし!実は、電気自動車やスマホや列車の非常用電源に使われていて、吉野彰氏のノーベル化学賞受賞が決まったのは、「リチウム電池」ではなく、

「リチウムイオン電池」

なのです。簡単に言うと、

*「リチウム電池」(リチウム一次電池)=使い切り型

*「リチウムイオン電池」(リチウムに次電池)=充電式

という大きな違いがあるのです。当然、その用途も違いますね。

一般社団法人「電池工業会」のHPによりますと、まず電池の形が「円筒型」(単三乾電池のような形)では、

・「リチウム電池(CR)」(リチウム一次電池)=コンパクトカメラに使用。使い切り。

・「リチウム電池(FR)」(リチウム一次電池)=デジタルカメラに使用。使い切り。

・「リチウムイオン電池」(Li-ion)(リチウム二次電池)=シェーバーなどに使用、充電式。

とあり、「角型」では、

・「リチウムイオン電池」(Li-ion)(リチウム二次電池)=音楽プレーヤー等に使用。充電式。

そして「コイン型」では、

・「リチウム電池(CR・BR)」(リチウム一次電池)キーレスエントリー・腕時計・炊飯器に使用。使い切り。

・「リチウム電池(VL、ML、TC、CLB、MS、MT、UT)」(リチウム二次電池)=各種電子機器。充電式。

また「パック型」と呼ばれるものは、

・「リチウムイオン電池」(Li-ion)(リチウム二次電池)=携帯電話・デジタルカメラ・ビデオカメラ・音楽プレーヤー・ノートパソコン・アシスト自転車・電動工具・携帯ゲーム機などに使用、充電式。

とありました。

(2019、12、10)

2019年12月10日 17:39