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『道浦TIME』

新・読書日記 2019_154

『地名崩壊』(今尾恵介、角川新書:2019、11、10)

詳し過ぎる!面白い!

丁度、JR山手線に新駅ができて(まだ開業はしてませんよね?)、

『高輪ゲートウェイ駅』

という名前に決まって問題・話題になったが、地名と歴史、そして生活・自然災害、いろんなものが「地名」には、込められている。それを、歴史的な長い目で見てきっちりと受け継いでいくことが必要なのに、昭和と平成の大合併により、伝統的な地名は次々と失われて行った。目先のたかだか100年ぐらいの利益を追うことで、もっと大きな先人の知恵を捨ててしまっているという愚かさ。

ただ、中には「自然災害の危険性を伝えた地名」のように思えても、実はそうではないものもあるので、一概にそうとも言えないというケースもあるという警鐘も、著者は鳴らしている。

「谷」を東日本は「ヤ」、西日本は「タニ」と読む傾向のことは、私も「言語学」の観点から知っていたが、地政学(?)地名学でも、やはりそうなのだなと。

室町時代の海洋法規集『廻船式目』に当時の全国10か所の主要港が「三津七湊(さんしん・しちそう)と呼ばれて載っているそうだ。それは、

【三津】安濃津(三重)、博多津(福岡)、堺津(大阪)

【七湊】三国津(福井)、本吉湊(石川)、輪島港(石川)、岩瀬湊(富山)、今町湊(新潟)土崎湊(秋田)、十三湊(青森)

なのだそうだ。これを見て思い出すのは「北前船」ですが、そもそも「日本海側」の港が多い。いかに当時の交通網は「海運」が中心であったかがわかる。また「港」を表す地名は「津」の他に「泊」もあるそうだ。神戸(兵庫)は「大輪田の泊」でしたね。

また、よく言われる、

「品川駅は港区にあり、目黒駅は品川区にある」

というのも「駅の勢力圏」と「駅名の関係」が理解されていれば、決しておかしくはないのだと著者は言う。

勉強になりました!


star4

(2019、11、26)

2019年11月27日 17:46