新・ことば事情
7276「3本の指に入る」
「嵐」の二宮和也さんの結婚の報を聞いて、彼が出演していて映画公開時には見られなかった、
『検察側の罪人』
のDVDを借りて来ました。吉高由里子さんも良かったです!
その中で、これも主演の木村拓哉さん演じる検事のセリフに、
「3本の指に入る割屋を当ててくるはずだ」
というのがありました。この、
「3本の指に入る」
という表現が気になりました。
というのも、この前の関西地区用語懇談会で、愛媛新聞の委員からこの表現に対する疑問・質問が出たからです。それは、
「3本の指に入る」「3つを両立できる」
という表現が、誰かの発言の直接引用で出て来た場合に、「直すのか、直さないのか」という質問でした。もともと、
「五指に入る」「十指に余る」
とは言いますが、「3本の指に入る」とは言わず、適切とは思えないとのことでした。
確かに、もともと人間の手の指(足の指も)は、
「片手が5本、両手で10本」
ですから、「3本」というのは中途半端。(そう言ったら「妖怪人間ベム」は?と言う人がいた。)
「トップ3」
とは言いますが、これは「指」とは直接関係がありません。もしかしたら「3」という数字は、オリンピックなどの、
「表彰台」
から来ているのではないでしょうか?「3位まで表彰」され、メダルがもらえますからね。それと「5本の指に入る」「10本の指に入る」との「混交表現」なのかな。
また、先日は小泉環境相から育休取得に関して、
「(公務最優先など)3つを両立できる」
との発言があり、愛媛新聞では「3本の指に入る」は発言した言葉の範囲で適当な言い換えが思い浮かばなかったのでそのまま通したが、「3つを両立できる」は「両立」がなくても理解できるので、
「3つをできる」
と直したそうです。これに対する各社の意見は、
(神戸新聞)政治家などの公人(例えば、小泉進次郎環境相)は、「 」内の発言はその人の「個性」なので、そのまま伝えた方がいいと思うので、直さないでそのまま伝える。
(毎日新聞)その昔、自民党の「金丸信・副総裁」番だった先輩記者に話を聞いたことがあるが、金丸氏は軽口でしゃべる内容が、微妙に全て間違っていると。状況で判断して直したり、直さなかったりしたという。小泉環境相はヘンな言い方が個性だが、番記者は直してあげたほうがよい場合もあるだろう。
とのことでした。