新・ことば事情
7275「焼肉・焼鳥~送り仮名がないと・・・」
よく街で見かけるお店の看板は、
「焼肉」「焼鳥」
というように「漢字2文字」で、送り仮名の「き」がありません。
しかし、新聞や放送で使う言葉の送り仮名の基準に合わせると、
「焼き肉」「焼き鳥」
と「き」を送ることになります。理由は、もし「き」を送らないと・・・
「焼き肉」か「焼け肉」か
「焼き鳥」か「焼け鳥」か
「焼き魚」か「焼け魚」か
「炭焼き」か「炭焼け」か
「生姜焼き」か「生姜焼け」か
の区別がつかなくなるのです!
そんなこと言っても、
「焼け肉」「焼け鳥」「焼け魚」「炭焼け」「生姜焼け」
なんてないじゃないの!と反論されることでしょう。たしかに。これら「焼け」という形は全部、
「自動詞」
なのです。それに対して、
「焼き肉」「焼き鳥」「焼き魚」「炭焼き」「生姜焼き」
という料理名は、全部、
「他動詞」
です。「料理する」のですから「他動詞」です。勝手に料理が出来上がるわけではありません。
それならば「送り仮名」は要らないじゃないか!ということで、店の看板からは「平仮名」の送り仮名が抜けているのかもしれません。
漢字だけのほうが「インパクトがある」ということもあるかもしれません。
しかし、これはどうでしょうか?
「生焼き」か?「生焼け」か?
うーん調理が上手くいかなかったときの状態は「生焼け」という「自動詞」です。この場合は「送り仮名が必要」ではないでしょうか?
街の店の看板を見ながら、そんなことを考えたのでした。