新・ことば事情
7266「全貌と全容」
台風19号による各地の被害をお伝えしたる10月14日と15日の「情報ライブミヤネ屋」のテロップと原稿で、
「被害の全容をお伝えします」
というのが出て来ました。この、
「全容」
に引っかかり、テロップは、
「全貌」
に代えたのですが、一部そのまま残って「全容」で放送に出てしまいました。この、
「全貌と全容」
は、どう違うのか、考えてみました。まず『広辞苑』を引くと、
*「全貌」=物事の全体の姿。全容。
*「全容」=全体の姿。全貌。
これでは使い分けができません。『新明解国語辞典』は、
*「全貌」=物事の全体の姿(様子)。全容。
*「全容」=「全貌」の言い換え。
ええ!単なる言い換え?
『精選版日本国語大辞典』では、
*「全貌」=全体の様子。全体のすがた。
*「全容」=全体のすがた、かたち。また、全体の内容。全貌。
お、ちょっとニュアンスが伝わってきたかな。
でも、辞書を引いてもあまり違いはありません。
私が考えるに、
*「全貌」=「外」から見た全体の様子
*「全容」=「内側」から見た全体の内容
というように、
「視点の違い」
があるのではないか?と思いました。いかがでしょうか?
昔(2003年に)書いた「平成ことば事情1107空爆と空襲」「平成ことば事情1469空爆と空襲2」に似ているかもしれません。爆弾は落しませんが。