新・ことば事情
7252「計画運休」
「台風19号」の襲来を前に、JR東日本など首都圏の鉄道会社が、週末(10月12日・13日)の運行予定を発表しました。「様子を見ながら」ということもありますが、今から難を避けるために、あらかじめ「運休」を決めた
「計画運休」
が採用されました。この、
(1)「計画〇〇」
という「計画」が最初に来て、その後に何か言葉が続く形と、
(2)「〇〇計画」
と「計画」が後ろに来る言葉の形の違いについて考えました。
これまで一般的には、
(2)「〇〇計画」
がよく使われていて、例えば
「都市計画」
と言えば、
「都市を発展させる・プラスの方向に向けるプラン」
を意味しました。
ところが、(1)「計画〇〇」という場合は、
「〇〇をコントロールして、野放図に伸ばさないようにする」
という意味になります。どちらかというと「現状維持」あるいは、
「マイナスのイメージ」
です。似たようなものには、
「計画停電」
がありましたね。これも、
「電力をの消費をコントロールし抑制する」
という意味の「計画」でした。
つまり、同じ「計画」という言葉が使われていますが、明らかに意味が違う。別の言葉に置き換えると、
-
コントロール、抑制
-
プラン、発展
と、「全く逆のベクトル」になる気がします。
旧ソビエト連邦の「経済計画」は、
「計画経済」
と呼ばれましたが、
「限られた資源を配分して」
という意味で「(1)のコントロールの意味」ですね。それで「(2)発展」を目指すという、ある意味「矛盾した形」だったのではないかなと思いました。