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『道浦TIME』

新・ことば事情

7251「海外の『法相』の読み方」

9月20日に名古屋で開かれた「新聞用語懇談会放送分科会」で、

「海外の『法相』の読み方」

について質問しました。

『韓国の「曺国(チョグク)氏」が「法務部長官」に任命されましたが、日本テレビ系列では、この役職名を日本になぞらえて「法相」とテロップでは出しています。この場合の読みは、日本の大臣だと、表記は「法相」でも「法務大臣」と読むのですが、外国の場合、たとえばイギリスの「ジョンソン首相」は「首相」と書いて、そのまま「シュショー」と読みます(日本の場合、NNN系列は「安倍首相」と書いて「安倍ソーリ」と読んでいます)。それにならうと、「ホーショー(法相)」と読むことになるのですが(実際、日本テレビ・NHK・テレビ朝日の各局はそう読んでいました)、

「日本の場合は、『ホーショー』は、耳で聞いて分かりにくいので『法務大臣』と読み換える」

のに、なぜ海外の場合は読み換えないのでしょうか?

この理由に関してご存じの方は、ご教示ください。

これに対する各社のご意見は、以下の通りでした。

(NHK)海外は「法相」と書いて「ホーショー」と読んでいる。

(日本テレビ)外国は「〇〇相(ショー)」。慣用が定着しているものは「長官」とする。(例:アメリカ「国務長官、国防長官」など)これまで海外のニュースで「法相」が出てくることは少なかったので、目立たなかったが...「法務大臣」と読み換えても良いと思う。韓国は「法務部長官」が正しいが、わかりにくいので「法相」で。

(テレビ朝日)外国の大臣は、スーパーもナレーションも「相(ショー)」。日本だけの名称である「総理大臣」は使わない。これは日本独自のポストで、古くは「太政官制度」に基づく「太政大臣」を指した。

(TBS)「日本」の場合ナレーションは「(ソーリ)ダイジン」で、「シュショー」「ガイショー」は使わない。「外国」のナレーションは「(ソーリ)ダイジン」は使わずに「シュショー」「ガイショー」とする。理由は「大臣」という呼称は、律令制度の太政官制度によるものなので、外国の政治制度には、なじまないからと、ルールを明文化している。

(テレビ東京)外国の場合は「ホーショー」「ガイショー」と読む。理由はわからない。

(フジテレビ)各社と同じ。外国は「相(ショー)」と読む。

(ABC)テレビ朝日に準拠。『放送で気になる言葉2011』96ページに「外国の閣僚は音声、画面表示ともに『××相』とする。慣用のあるものは『長官』などを使う(例)キャメロン首相 ヘイグ外相 クリントン国務長官」と載っている。

(MBS)外国でも「大臣」と言い換えた例もあるが、「大臣=おおおみ」なので、外国に使ったらおかしい。

(KTV)外国は「ホーショー」「ガイショー」と読む。

(テレビ大阪)扱いがない。テレビ東京に合わせる。

(共同通信)各社と同じ。理由は答えられない。表記に「大臣」は使わない。

(時事通信)表記は、日本の場合も「大臣」は使わず「首相」「法相」。放送原稿も。

(共同通信)韓国など外国の役所の場合、名刺に「外交部」と書いてあっても「外務省」に置き換える。「〇〇部」だと「会社の経理部・総務部」のように感じてしまうから。なお「世界年鑑」には「Agency」で表わされる部署は「長官」にするように記されている。(例:「CIA長官」)

ということで、結論は「全社」、

「『法相』を書いて『ホーショー』と読む」

でした。

日本の場合は、なぜ「法相」を「法務大臣」と読むのか?については、

「大臣は、律令時代の太政官以来の『日本独自の制度』なので、日本以外の国に使わない」

とのことでした。

ということで、それ以降「ミヤネ屋」でも、韓国の「曺国(チョグク)法相」の読み方は、

×「チョグク・ホームダイジン」→〇「チョグク・ホーショー」

になりました。

(2019、10、29)

2019年10月29日 20:27