新・ことば事情
7249「猛打賞2」
10月2日に開かれた関西地区新聞用語懇談会で、
「エンゼルスの大谷翔平が『猛打賞』の活躍」
というように、
「本来『1試合3安打以上』の場合の『日本のプロ野球の制度』である『猛打賞』を、『メジャーリーグ』でも使うか?それとも直すか?」
というアンケートで、各社の意見は、
・直す=11.5社
・直さない=4社(読売・日刊・TVO・愛媛)
でした。個別の各社の意見は、以下の通りです。
【TVO】「猛打賞」は一般名詞として定着しているとアンケートでは答えたが、「米・メジャーリーグ」のニュースでは使わないので、訂正させてください。あと「高校野球」でも本来は使わないが、比喩的に使うことも。
【日刊】実例多数。メジャーでも高校野球でも問題なく使う。8月13日付紙面で、メジャーの「大谷翔平選手3安打、26回目のマルチ、7月30日以来7度目の猛打賞」という記事も出た。
【毎日】余談だが、野球で5打数5安打したことがある。その際には「ヨッ!猛打賞!」と言われた。
【MBS】実際、猛打賞にはスポンサーから「賞品(賞金)」が出る。
【ABC】ファーム(2軍)の中継では「猛打賞」(の賞品)が出ないので、言わない。
【神戸】元々は「猛打賞」はなかった。ある時期からスポンサーがついて、出るようになった。そのことから考えると、アマチュアである「高校野球」に「猛打賞」と言うのは、ふさわしくない。
【朝日】【京都】【共同】【ABC】【中国】=「具体的な安打数」
【毎日】普通名詞化しているが、「通算猛打賞回数」などの記録が成立するのはNPB(日本プロ野球機構)だけだとすれば、やはりNPBの制度として捉えるべきか。
【読売】見出しが大半だが、イチローが活躍していたころに比べ、使われなくなってきている。
【日経】「猛打賞」級の
【産経】そのままかツメ(〝 〟)をつける。言い換えるとすれば「マルチヒット」「マルチ安打」だろうが、少しニュアンスが変わってくるので、そのままのほうがわかりやすい。
【MBS】「3安打のかため打ち」など。「猛打賞」は日本のプロ野球のみ。
【KTV】「猛打賞」を使わない。
【ytv】わかりやすいので比喩として「猛打賞」もありかも。直すなら「マルチ安打」「3(4)安打」。
会議が終わってから、自分の過去に書いた原稿を検索したら...なんと2004年の11月に「猛打賞」について書いていました。
「平成ことば事情1967猛打賞」もお読みください。