新・ことば事情
7206「ダンボ」
ことしの夏休みに海外に行った際に、飛行機の中で見た映画の一つが、
「ダンボ」
でした。ディズニー映画ですが、アニメではなく実写版です。実写とは言え、当然、CGがふんだんに使われているので、「アニメではない」と言った方が正確だと思いますが。もう、何でもできますね、今は。こないだ見た「ライオンキング」の実写版(アニメではない)も、まるで実物のドキュメンタリー映画のようでした。「実物のよう」と言うよりは、もう、
「実物以上」
ですね、あれは。
で、話は「ダンボ」に戻りますが、サーカスで、母親の象「ジャンボ」の子どもとして生まれた小象は、耳が大きくてちょっと不格好。初めてサーカスに出た時に、プラカードに、
「JUMBOの子ども」
とか書かれていたのですが(英語で)、その「J」の文字が何かの拍子に外れて、その上に「D」のカードが重なったために、
「DUMBO」
となるシーンがありました。「ダンボ」命名の瞬間ですが、このシーンでサーカスの観客たちがみんな、
「おお、『ダンボ』だってよ!ヒャッハッハ!」
と笑っていたのです。何がそんなに面白いのか?そのシーンを入れる意味は何か?を考えていて思いついたのは、
「DUMBO(ダンボ)は、『DUM』(聾唖)の意味なのではないか?」
ということです。「平成ことば事情1990鉄亜鈴」「平成ことば事情6951バーベル」で書いたような関係です。
今回の映画の「時代背景」は「1920年ごろ」で、第一次世界大戦(1914~1918年)に参戦して片腕を失って帰って来た父親が主人公の一人なんです(ディズニーアニメは1941年に作られています)が、その時代なら、こういった"差別的な言葉"は平気で使われていたでしょう。だからそれを「嗤う」シーンが入っていたんですね。
そう思っていたら、ちょうどスクラップを整理していたら『週刊文春』の中の町山智浩さんのコラム『言霊USA』の「連載第282回」が出て来ました。「何年の何月何日号か」が書かれていないんだけど、その後に出た、連載をまとめた本『トランプがローリングストーンズでやってきた 言霊USA2016』にも載ってるみたいだから、たぶん、
「2016年」
に書かれたものかな。そこで映画「JUMBO」を取り上げていたのです。その中に、
「主人公は異常に大きな耳の小象で、ばかにされてDUMBOと名付けられる。DUMBは『口がきけない』『のろま』の意味。ジャンボという母親がサーカスで産んだ子だ」
とありました。やはりそうだったのか!と我が意を得たりという気がしました。
ま、このコラムを先に(昔)読んでいて、すっかり忘れていただけなんですけどね。