新・ことば事情
7200「ハッと驚く平右衛門」
先輩に誘われて、国立文楽劇場に文楽を見に行ってきました。
出し物は「仮名手本忠臣蔵」の五段目「山崎街道出合いの段」(「出合い」なのですね、「出会い」ではなく)「二つ玉の段」、六段目「身売りの段」「早野勘平腹切の段」、七段目「祇園一力茶屋の段」でした。実は4月に「一段目」から「四段目」までが演じられており、「八段目」以降は11月に演じられるのですが、4月は、私は見ていません。
会場は満員で、座席の後ろにエキストラの椅子が出されるほどの人気でした。涼しいしね、会場内は。何といっても、大夫さんの「生の声」を聴くのが、テレビなどでは味わえないまさに「ライブ」。言葉は難しいけど「字幕」がちゃんと出るので、意味は分かりやすいです。
その七段目「祇園一力茶屋の段」は、人形の役によって大夫さんが変わる一人一役。つまりは「人形劇の声優さん」のようになっていて、これは歌舞伎と同じで、文楽らしくはない構成です。
その中の、太夫の語りの一言に、私は注目しました。それは、
「ハッと驚く平右衛門」
というもの。それを聞いた私は、平右衛門ではありませんが「ハッと驚き」ました。このフレーズ、どこかで聞いた、そうだ「クレージキャッツ」の「ハナ肇」のギャグ、
「アッと驚く為五郎」
と同じではないか!もしかしたら「本家」はこちらではないか?と思ったのです。
家に帰ってから調べてみると(「ウィキペディア」ですが)、どうやらハナ肇の「アッと驚く為五郎」の「為五郎」の名前の由来は、
「浪曲『石松代参』(または『石松の代参』)にある『本座村為五郎の悪事』に出て来る人物が、ハナ肇の大のお気に入りだったことから」
ということのようです。「為五郎」の名前の由来は、そうかもしれませんが、
「アッと驚く〇〇〇」
の形は、もしかしたら、この「仮名手本忠臣蔵」かもしれませんね。
11月に、また見に来ようと思いました。