新・ことば事情
7193「『新物』の読み方」
回転ずしの「くら寿司」のコマーシャルを見ていたら、
「新物」
という言葉が出てきました。これをCMのナレーターさんは、
「しんもの」
と読んでいました。私は、
「あらもの」
ではないのか?と思いました。
『精選版日本国語大辞典』を引いてみたところ、何と、「両方」載っていました。
*「しんもの(新物)」=新しいもの。しんぶつ。特に、歌舞伎狂言や音曲などの新作もの。(用例)*雑排・柳筥(1783-86)四「新物を弾たがくゎよう大あたり」*歌舞伎・梅柳若葉加賀染(1819)大切「時に、あすから駒吉が、新物の稽古は片付いて居るか」
*「あらもの(新物)」=(1)新しいもの。新しく作ったもの。(2)(「荒物」とも)生のもの。新鮮なもの。特に生のままで進物、供物にする魚、鳥など。(用例)*御湯殿上日記~長享三年(1489)正月一一日「しもかわら殿よりは、あら物にて二色、二かまいる」
でも、この「あらもの」の用例は、漢字を使っていないので「表記の違い」は、わかりませんね。
「しんもの」は、「歌舞伎」で使われることが多いようなので、やっぱり「くら寿司」の新メニューは、
「あらもの」
と読んだほうが、いいのではないかなと思いました。