新・ことば事情
7172「刺さる」
最近、何気なく聞いていて増えてるなあと思う表現に、
「刺さる」
があります。あるいは、さらに強調表現として、
「突き刺さる」
「何」が「どこ」に「刺さる」のかというと、
「畳に包丁が刺さる」
のではありません。
「心に<何か>がインパクトを与える」
という意味です。つまり、これまでの言葉で表現すると、
「心を打つ」
という意味だと、私は感じています。
耳にはしますが、私は使ったことはありませんし、多分、今後も使わない表現です。
ひと昔前に、
「心が折れる」
という言い方が出て来て定着しましたが、これも私は使いません。
折れたり刺さったり、なんか痛そうなのですよね、今の人たちの「心」は。
グーグル検索では(6月20日)
「心に刺さる」 =163万0000件
「心に突き刺さる」= 53万4000件
でした。トップに出て来た「コトバンク」で「心に刺さる」を見ると、
「『胸に刺さる』を見よ」
となっていて、「胸に刺さる」を見ると、
「心に強い衝撃を受ける。心に刺さる。(例)恩師の言葉が胸に刺さる」
とありました。
「胸に刺さる」「心に刺さる」
という言葉から「胸に」「心に」を省略した言い方が、
「刺さる」
なのですね。でも「胸に突き刺さっ」たら、死んじゃうよ。