新・ことば事情
7161「午後5時半前」
2019年1月8日のNHKニュースで、
「午後5時半前」
という時刻表記が出て来て、違和感を覚えたというメモがあります。
その後も、6月11日、昼の日本テレビのニュース「ストレイトニュース」(青森放送発)を見ていたら、青森県深浦町で、行方不明の男女二人が崖から転落した車の中から遺体で見つかったというニュースで、
「おととい午後5時半前」
という時刻の表現が。
同じ日の夕方の日本テレビ系のニュース「news every.」(福島中央テレビ発)を見ていたら、別の車の事故で、
「午前5時半前」
という時刻表現が出て来ました。
そして、6月12日の正午のNHKニュース(東京発)を見ていたら、上皇ご夫妻が京都の孝明天皇陵と明治天皇陵を参拝されたというニュースで、
「午前10時半前」
という表現が出て来ました。
「ミヤネ屋」では、「前」は、
「正時(アナログ時計の長針が「12」の位置の時刻)にしか使わない」
ことにして、
「30分=半(アナログ時計長針が「6」の位置の時刻)には『前』は使わない」
ことにして、代わりに、
「ごろ」
にすることにしています。理由としては、例えば、
「午後5時13分」
のことを「午後5時15分」の「少し手前」だからと言って、
「午後5時15分前」
と言ったら、「午後5時」の「15分前」、つまり、
「午後4時45分」
と勘違いしてしまいます。同じく「午後5時28分」を、
「午後5時30分前」
と言ったら、
「午後4時30分」
と勘違いしてしまいます。
「午後5時30分前」がダメなら「午後5時半前」も同じ理由でダメでしょう。
「いや、『半』は『数字(30分)』ではないから、そういう間違いはしないはず」
とも言えますが、基本的には、
「『前』は正時だけに使うこと」
にしておいたほうが、誤用が広がらなくてよい、と私は考えています、放送では。
しかし最近、この「5時半前」が、平気で放送に出て来ているような気がします。
次回の新聞用語懇談会放送分科会で、各社に聞いてみるつもりです。