新・ことば事情
7158「くりまる」
認知症になった父親の介護と家族を描く映画『長いお別れ』を見ました。
認知症の父親は山崎努さん。そして、二女があの蒼井優さんでした。結婚会見の前の日曜日に映画を見たので、結婚のニュースには本当にビックリしました。
その映画の中の印象的なシーン。
結婚も考えていた彼氏が、離婚した妻と娘と会っている姿を見て、これは無理だと思い、仕事もうまく立ち行かずに落ち込む二女の蒼井優さんが、
「つながらないって切ないね」
と漏らすと、父親で認知症の父親・山崎努さんが、こう慰めるのです。
「そう、くりまるな。そういう時は、ゆーっとするんだ。」
と答えます。意味の分からない言葉ですが、蒼井さんはそれを受けて、こう言います。
「くりまっちゃうよ・・・」
これは、心温まるシーンでした。
「くりまる」「ゆーっと」
なんて言葉は、意味が分からないけど、何となくわかる。十二分に伝わる。
結局、コミュニケーションは「伝えたい気持ち・感情」が伝われば良く、「言葉」はそのための「容器」にすぎないのではないか、と「ノンバーバルな(言葉ではない)」感覚を思わせる、"役者ならでは"というシーンだったんですね。
「そう、くりまるな。」「くりまっちゃうよ・・・」
これは、名場面でしたねえ。