新・ことば事情
7157「社員さん」
テレビで若手芸人が、所属する事務所の社員に向けて、
「社員さん」
と呼んでいるのを何度か耳にしましたが、この「さん付け」は、
「過剰敬語」
ではないでしょうか?
「社員」
というのに「さん」を付けなくてはならないような「立場」なのでしょうか?「同じ事務所(会社)」所属なのに。
また、求人広告のコマーシャルで、真剣な顔をした若い男性が、
「決めた・・・オレ・・・」
と、恐らく女性に告白する場面で、
「好きだ」「結婚してくれ」
というのかと思ったら、
「正社員になる!」
と言うのがあります。「正社員」になって「給料が上がって・安定」するから、「結婚してくれ」というつながりなのでしょうね、きっと。つまりあれはギャグでも何でもない。
今、これだけ「非正規雇用」の人が増えた現代においては、
「正規雇用」=「正社員」
という立場が、「かなり希少価値」になっていることの表れなのだろうなと思いました。
そして、芸人が「社員さん」と呼ぶのも、少しそれに関連しているのではないか?という気がしました。あまり、良い響きの言葉ではないですよね、「社員さん」は。