新・読書日記 2019_065
『ふたり~皇后美智子と石牟礼道子』(髙山文彦、講談社文庫:2018、11、15)
単行本は、この文庫本と同じく講談社から2015年9月に出ていたが、それは気付かなかった。
平成の終わるこの時期、「皇后・美智子」さま、そして昨年亡くなった「石牟礼道子さん」に惹かれて、そして書き手の「髙山文彦さん」に惹かれて購入。サブタイトルを読まなければ、絶対に、手に取っていない一冊。「平成」のうちに読まねば!と読んだ。皇后さまと石牟礼さんは、期せずして「名前」が同じ「みちこ」だったのだなあと。
そして、その皇后・美智子と石牟礼道子は、数回にわたって会って、言葉を交わしている。
水俣病の患者にも天皇皇后両陛下はお会いになっている。「海づくり大会」という、ご公務の中でも重視されているものが、熊本で行われた際に。
水俣病の元となった有機水銀を垂れ流した会社・チッソの社長を10年に亘って務めた江頭豊は、皇太子妃(現・皇后さま)の雅子さまの「母方の祖父」なのである。息子の嫁(雅子さま)がそういった「重荷」を背負っていることを、義父ぼである天皇皇后両陛下(現・上皇ご夫妻)は、もちろんしっかりと認識している。その上での熊本訪問であった。
「令和」の時代になった際に、皇后・雅子さまの「父方の祖父」(新潟)の話は出てきたが、「母方の祖父」の話は出て来なかった。しかし、皇后となられた雅子さま、そしてその夫である天皇陛下にとって、この問題は終わっていない。今後、どう対応されるのだろうか。何よりも「水俣病」の問題はまだ終わっていないのに、政府も国民も「過去のこと」として関心を示さない。
あれ?これって、同じことが今、起きていないか?
福島の原発・放射能による汚染水の問題は、まだ終わっていないどころか、日々汚染水は増え続けているのに、もう終わったかのように関心を持たない政府、国民・・・。
結局、同じことを繰り返しているじゃないか、ニッポンは・・・。
過去に学ばない民族なのだろうか・・・。