新・読書日記 2019_058
『ゴジラ音楽と緊急地震速報』(伊福部達・監修、筒井信介・著、ヤマハミュージックメディア:2012、1、10)
「令和」に入って初めて読み終えたのは、「ゴジラ」「緊急地震速報」の本だった。
あの「♪チャンラャーン」という、不安を想起させる『半音階』で上がるチャイム音。あれを創った・決めたのは、「ゴジラ」の音楽の作曲者として有名な「伊福部昭」の甥である「伊福部達(いふくべ・とおる)東京大学名誉教授・北海道大学名誉教授」だった。
伊福部達は、福祉工学の専門家。聴覚障害者の人に伝わりやすい音とは?などの研究を行って来た。その実績などから「緊急地震速報」の作成を依頼されたのが、2007年4月だったという。その際の条件は、5つ。
-
注意を喚起させる音であること
-
すぐに行動したくなるような音であること
-
既存のいかなる警報音やチャイム音とも異なること
-
極度に不快でも快適でもなく、あまり明るくも暗くもないこと
-
できるだけ多くの聴覚障碍者に聴こえること
だったそうだ。なるほど。難しい条件ですね。
それでたどり着いたのは、叔父である作曲家・伊福部昭の作品、
「『シンフォニア・タプカーラ』の第3楽章・Vivace(ヴィヴァーチェ)の冒頭」
だったのだ。
この功績が認められて、伊福部達は今年3月、「第70回日本放送協会放送文化賞」を受賞している。その受賞のテレビニュースをたまたま見ていて、伊福部の名前を見つけ、
「そうか、緊急地震速報の功績でもらったんだ!」
と気付き、本書をしっかり読もうと思ったのだ。
その前に、実はよく行く谷町四丁目のビルの地下にある中華料理屋(まるで、ドラマ「私、定時で帰ります。」に出て来る「上海飯店」のような感じですが)の入り口のドアのチャイムが、まるで「緊急地震速報」で、お客さんが来るたびに、
「♪チャンラーン、チャンラーン」
と不気味に鳴るのも、気になっているのだが・・・。
ちなみに「♪チャンラーン」が半音階ではなく、同じ高さの高めの音だと、
「♪チャンラーン!林家こん平でーす!」
になります。あれも一種の「ゴジラ登場」のようなものだったか・・・。