新・読書日記 2019_056
『河鍋暁斎展図録』(兵庫県立美術館、2019、4)
いつもよく行くスペインバルで、知り合いの落語家さんが連れて来た、後輩の落語家さんが、
「きょう、これ行って来たんですよ!僕、大好きなんです『河鍋暁斎』。良かったですよ!」
と教えてくれたのが、今、兵庫県立美術館で開かれているこの「河鍋暁斎展」だ。
「かわなべ・きょうさい」
と読む。幕末から明治初期に生きた絵師であり、浮世絵師であり、はたまた漫画家?明治3年に東京・上野で、酔っ払って不敬な絵を描いているのが見つかって官警に取っつかまる前は、
「狂斎」
と名乗っていたそうだが、逮捕にこりて「狂」の字を「暁」に換えた。でも読み方は、そのままで、
「きょうさい」
だ。こういう人の存在を、全然知らなかった。美術展も、ほどよく空いていて、見やすい。
が、展示の中の説明文に"不親切さ"が目立った。たとえば、
「麹町四丁目の依頼で描いた」
とした横に、
「現在も麹町三丁目の町会が持っている」
と写真のキャプションに書いてあり「三丁目」か「四丁目」かがわかりにくい。どちらも間違いではないようだが、説明不足。
また、
「関心ごと」
という表記が2回も出てきたが、これは正しくは、
「関心事」
で、読みは、
「かんしんじ」
であろう。そして、
「『下絵』では蒸気機関車の煙突から煙が出ているが、『完成図』ではその上に天女が舞っている」
と説明文にあるのに、どこにも「完成図」の写真すら展示していないのは、不親切すぎる。そして、それを説明できる係員も学芸員も不在だった。
そういう意味では、珍しく不親切な展覧会だった。
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