新・ことば事情
7148「寒波と寒気」
4月25日の「ミヤネ屋」のお天気コーナーで「10連休」(ゴールデンウイーク)のお天気の予報を放送しました。初日の4月27日(土曜日)はかなり寒くなるとのことなんですが、それをテロップで、
「寒波襲来」
と、最初発注が来ていました。しかしその後、
「寒気襲来」
に訂正されました。「なんで?」と聞くと、
「今回、寒くなるのは1回だけだそうで、『寒波』と言う場合は、何回も何回も繰り返し寒くなる場合なんだそうです。」
なるほど!
寒さが「波」のように次々と押し寄せるから「寒波」か!
1回だけだと「波のよう」ではないので「寒波」とは言わないのか!勉強になりますね。
念のため辞書で「寒波」を引くと、
「寒冷な空気が移動してきて、気温が急に低下する現象」(広辞苑)
「寒気団が移動してきて、気温が急激に下がる現象」(明鏡国語辞典)
「気温が急激に下がって激しい寒気が襲う現象」(新明解国語辞典)
「高緯度にある寒冷な気団が、季節風となって温帯地方などにはいりこみ、いちじるしい寒気をもたらす現象」(精選版日本国語大辞典)
「冬に、気温が急に下がってはげしい寒さがやって来る現象」(三省堂国語辞典)
「寒冷な気団が移動してきて、気温が著しく下がる現象」(現代国語例解辞典)
「寒冷な空気が移動してきて、寒気をもたらす現象。またその気流」(岩波国語辞典)
あれ?「次々と波のように押し寄せて」という記述がありませんね?それよりも「三省堂国語辞典」が「冬に」と季節を限定しているのが気になる。ゴールデンウイークのこの時期に「寒波」という言葉を使ってはいけないのかな?
このあたりは謎ですね。
(2019、4、26)
(追記)
きのう(5月1日)、気象予報士の蓬莱大介輔さんに質問してみたところ、
「『寒波』と言うと、やはり『冬のもの』なんですよね。冬に北のほうに寒気団があって、そこから発生するのが『寒波』です。今のゴールデンウイークの時期のものは、『寒波』とは言わないと思うんですよね。」
とのことでした。