新・ことば事情
7147「剣と璽」
5月1日(水)ついに新しい年号「令和」になりました。
「平成」が終わったので、一応、全体のタイトルは
「新・ことば事情」
ですが、気持ちとしてはこれまでの「平成ことば事情」改め、これからは、
「令和ことば事情」
でやって行こうかなと思っています。でも「通し番号」は、「平成ことば事情」の「続き」から行こうと思います。
つまり「令和ことば事情」は「0001」からではなく「7147」から始まります。
ちょうど1か月前に「令和」という新元号が発表され、気の早い人は4月から「令和元年」などと言っていましたが、ようやく本当に「令和」です。「平成」最後の日=4月30日と、「令和」最初の日=5月1日は、テレビも終日「改元フィーバー」となりました。
皇居では、4月30日に行われた「退位礼正殿の儀」で皇位と共に継承されてきた「剣」と「璽」が、儀式の後、一旦ふだん安置されている「剣璽の間」に戻され、翌5月1日の「剣璽等承継の儀」で再び登場しました。これは「政教分離」を意識して、平成時代の天皇陛下から新天皇陛下へ剣璽が直接渡る形を避けて、「譲位」ではなくあくまで「日本国憲法」と「皇室典範特例法」に基づく皇位継承であることを形づけるものです。
実は「平成」の代替わりの際、「旧・皇室典範」下で、
「剣璽渡御の儀」
とされてきた行事が、論争の末、
「剣璽等承継の儀」
と名前を変えて、現憲法下での「国事行為」として認められたということがありました。
当時の政府は、
「『剣璽』は皇室経済法第7条の『皇位とともに伝わるべき由緒あるもの』としての公的側面が認められ、儀式は宗教的色彩はない。」
という解釈をしたのです。
その「剣」の読み方について、4月の新聞用語懇談会放送分科会でTBSの委員から、
「三種の神器の『剣」は『ケン』と読むか?それとも『ツルギ』と読むか?』
という質問が出たことは「平成ことば事情7146剣の読み方」で、きのう書きました。
それで、今回の「退位礼正殿の儀」と「剣璽等承継の儀」での各社の表現を、私がウオッチしたところ、以下のような状態でした。
*【平成31年4月30日】「即位礼正殿の儀」午後5時~
(日本テレビ)
男性アナ「剣(ケン)と璽(ジ)」
テロップ「剣(つるぎ)」ルビあり
*【令和元年5月1日】「剣璽等承継の儀」午前10時30分~
(日本テレビ)男性アナ&所功・京産大名誉教授「ツルギとマガタマ」
<夕方のニュースでのテロップは「勾玉」>
(NHK)女性アナ「ツルギとマガタマ」
テロップ「剣・曲玉」(ルビなし)
(TBS)テロップ「剣・璽(勾玉)」ルビなし
(テレビ朝日)ナレーション「ツルギとマガタマ」
テロップ「剣や勾玉(まがたま)」ルビあり
(フジテレビ)ナレーション「ケンとジ」
テロップ「剣・勾玉」ルビなし
テロップの「まがたま」の表記は、NHKだけ「曲玉」で、民放4社は「勾玉」でした。
一方、新聞(5月1日夕刊)は、
(読売)曲玉(まがたま)
(朝日)璽(まが玉)
(毎日)璽(まが玉)
(産経)璽(勾玉【まがたま】)
(日経)璽(じ=まがたま)
とバラバラでした。
(2019、5、1)