新・ことば事情
7132「4度目か?4回目か?」
4月4日午前6時ごろ、日産のカルロス・ゴーン前・会長が再逮捕されました。
これで逮捕は、
「4度目」
二なります。この「回数」(度数)について、「ミヤネ屋」では、
「4度目」
と表記しましたが、同じ日の夕方の日本テレビ「every.」は、
「4回目」
と表記していました。この日の夜のTBSニュースでも、
「4回目」
フジテレビは
「4度目」
でした。
また、この日の夕刊各紙は、
(読売)4度目
(朝日)4度目
(産経)4度目
(毎日)4回目
(日経)4回目
でした。
一般的には「回」も「度」も「同じ」でどちらを使ってもよさそうですが、一部に、
*「回」=ある期間に繰り返し行われることが定着しているもの
*「度」=必ず定期的にあるとは限らないもの
という使い分けがあるという説を『数え方の辞典』の著者・飯田朝子中央大学教授が主張されています。
これまでにもこの問題については書いてきましたが、
「横綱・白鵬の優勝回数」
について書くことが多い気がします。
*「平成ことば事情5070『度』か『回』か」=2013年4月24日
香川選手所属「マンチェスター・ユナイテッド」20度目の優勝
*「平成ことば事情5562『度』か『回』か2」=2014年9月29日
横綱・白鵬31度目の優勝~このときは「毎日」だけ「回」であとの4紙は「度」
*「平成ことば事情7037『度』か『回』か3」=2019年1月8日
北朝鮮・金正恩委員長4度目の訪中~「産経」と「日経」が「度」、「読売」「朝日」「毎日」は「回」。
でした。
この件に関しては、2014年2月新聞用語懇会放送分科会で質問しました。
『横綱・白鵬の優勝回数を、NHKは「28回」と「回」を使っていましたが、各社「回」と「度」の使い分けに、基準はあるのでしょうか?(必ず回って来るものの回数は「回」、「優勝」のように必ずできるとは限らないものについては「度」を使うと聞いたことがあるのですが)
(NHK)決まりはない。優勝は「回」が多い。「度」は回数が少ない場合(1~4度ぐらい)に使うのではないか。「度」のほうが使用範囲が狭い。「度」は主観が入り、「回」は客観的な気がする。
(読売新聞)『数え方の辞典』の著者・中央大学の飯田朝子さんが「『回』は繰り返しが期待されるので、『3回目の結婚』などの使い方はよくない」と書いているが、新聞では使い分けはしていない。「仏の顔も三度まで」「二度あることは三度ある」など、慣用句には「度」がよく使われている気がする。』
という意見が出ました。