新・読書日記 2019_040
『手帳と日本人~私たちはいつから予定を管理してきたか』(舘神龍彦、NHK出版新書:2018、12、10)
サブタイトルにあるように「手帳」は「時間を管理する道具」。そんな風には考えずに使っているけど、言われてみれば確かにそうだ。
日本に「手帳」を持ち込んだのは福沢諭吉らしい。へー、知らなかった。最初は「日記」のようなもので、それが「手帳」に変わっていった。言われてみれば、これも合点がいく気がする。そして日本では「軍隊の手帳」の時代があり、それが、企業戦士が戦った高度経済成長の時代には「企業への忠誠心」を養うための道具として、会社から社員にタダで配られた。軍隊への帰属心を高めるのと同じやり方。
それを崩したのがバブル期のファィロファクスのような差し替え式・バインダー式の一冊何万円もする高級手帳。数年間、私も使ってましたね、その頃。手帳が、それまでの日本社会の構造を崩したのか、それまでの日本の社会が崩れたから、そういった手帳が受け入れられたのか?因果関係はわからない。
その後、「紙の手帳」ではない、スケジュール管理の「電子化」が進んだのだが、今なお、「紙の手帳」は売れ続けているらしい。それどころか、売り上げも伸びているという。
日本人にとって「手帳」とは何なのか?また、その裏にある時代の流れは?など、思いのほか面白い考察を導き出してくれる一冊だ。
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