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『道浦TIME』

新・ことば事情

7121「『107日ぶり』の読み方」

3月6日、日産のカルロス・ゴーン前会長が保釈されました。逮捕から、

「107日ぶり」

ということでしたが、この「107日」の読み方は、

  1. 「ヒャクナナニチ」

  2. 「ヒャクシチニチ」

  3. 「ヒャクナノカ」

のどれでしょうか?と他局のアナウンサーから質問を受けました。

「100+〇日ぶり」

の読み方ですね。いろいろ、考えてみました。

「数字の読み方は、和語か?漢語か?」

ということですね。

*「漢語読み」=「数字」プラス「ニチ」

*「和語読み」=「百の位」プラス「和語の『かよみ』」

この「かよみ」と言うのは、

「フツカ」「ミッカ」「ヨッカ」「イツカ」「ムイカ」「ナノカ」「ヨーカ」「ココノカ」「トーカ」

と「日」を「カ」と読む読み方です。

「暦(こよみ)」

も、語源は「かよみ」で、それが訛って「こよみ」になったんですよね。

日本語の数の中では「忌み言葉」で、「4」を「シ(=死)」と読むことを避けて、

「よっ(つ)・よん」

と読むことがありますね。つまり「4日」は「シニチ」ではなく、

「ヨッカ」「ヨンニチ」

と読みます。こういうものが交じっているのも、問題を難しくしています。

「かよみ」=「こよみ・暦の範囲内(31日まで)」では、「和語のかよみ」が強いが、その範囲を超えると、「漢語プラス『ニチ』」が強くなる傾向があります。

「14日」=ジューヨッカ

「24日」=ニジューヨッカ

ですが、これが「34日」になると、「サンジューヨッカ」とも読みますが、

「サンジューヨンニチ」

が多くなるのではないか?「44日」ならば、まず間違いなく、

「ヨンジューヨンニチ」

でしょう。

ただし「日付」と「期間」でも違ってきます。

「あと44日」

という場合は、

「あとヨンジューヨンニチ」

でしょうけれども、

「44日間」

ならば、

「ヨンジューヨッカカン」

と言う人の方が多いのではないか?

つまり「〇〇日」の後に「間(カン)」や「ぶり」が付くと「かよみ」をする可能性が高くなる。「後ろに付くもの」(間・ぶり)との結びつきが、「前に付く数字」とのつながりよりも、強く感じられるからではないではないか。

だから、後ろに「日間」「ぶり」の付く「107日間」「107日ぶり」の「7日」も(「ナナニチ」とも、もちろん読みますが)、「ナノカ」と読みたくなるのでしょうね。

昔の「和語」の日にちの読み方ででは、「11日以上」の場合は、例えば、

「11日」=トー・アマリ・ヒトヒ

「12日」=トー・アマリ・フツカ

「13日」=トー・アマリ・ミッカ

というように区切っていました。その名残りも、あるかもしれません。

その証拠に「警察の電話番号」は「ヒャクジューばん」ではなく、

「ヒャクトーばん」

ですよね「10番」を「トーばん」と読みます。

さて、そしてきょう(4月3日)は「ミヤネ屋」のナレーターの藤田さんから、

「『20日ぶり』の読み方は『ハツカぶり』でしょうか?それとも『ニジューニチぶり』でしょうか?」

と質問を受けました。私は、

「『ハツカぶり』でしょう」

と答えたのですが、考えてみると、「〇〇日ぶり」の読み方は、

「1日ぶり」=イチニチぶり

「2日ぶり」=フツカぶり

「3日ぶり」=ミッカぶり

「4日ぶり」=ヨッカぶり

「5日ぶり」=イツカぶり

「6日ぶり」=ムイカぶり

「7日ぶり」=ナノカぶり

「8日ぶり」=ヨーカぶり

「9日ぶり」=ココノカぶり

「10日ぶり」=トーカぶり

とここまでは「1日ぶり」以外は、全部、

「和語の日にちの数え方(かよみ)」

ですね。そして「11日ぶり」からは「漢語読み」で、

「ジューイチニチぶり」「ジューニニチぶり」・・・「ジュークニぶり」

まで行って、「20日ぶり」は、

「ハツカぶり」

と、また「和語の日にちの数え方」に戻り、「21日ぶり」からは「ニジューイチニチぶり」・・・と「漢語読み」になりますね。

そして、またもとに戻って、「107日ぶり」の読み方ですが、結論から言うと、

「ヒャクナノカぶり」「ヒャクナナニチぶり」

の、

「どちらも可」

としか、言いようがないよなあ。

(2019、4、3)

2019年4月 3日 21:09 | コメント (0)