新・読書日記 2019_038
『南三陸日記』(三浦英之、集英社文庫:2019、2、25)
著者は朝日新聞記者。東日本大震災から1年間、南三陸駐在として、大震災直後の南三陸の街と人に寄り添い、記事を書いた。それを集めた一冊。
東日本大震災から8年が経った。記憶は風化しつつある。しかし、まだ何も癒されてはいないのだと、改めてあの日を思い起こす一冊である。でも確かに歳月は流れ、人は生きて行かなくてはならない。
表紙の写真の、小学校の校庭にランドセルを背負ってたたずむ、とってもかわいらしい女の子。モデルさんかな?と思ったが、実はあの東日本大震災の後に生まれた女の子だ。しかも、父は3月11日に婚姻届を役所に出しに行って津波にのまれて亡くなった。彼女はその4か月後の2011年7月に、著者が立ち会う形で生まれたという。月日の流れが、確実に形になっているのだと、目に見えて思わざるを得ない。
見開きのモノクロの写真も、ほとんどが、著者が撮影したもの。
くじけずに、この本をきっかけに力強く生きてほしい。
私たちも東日本大震災を忘れてはいけない。
star5